19 三日目、お昼すぎ
アルセリアうどんは、山菜やら根菜やらで具沢山、さすがは名物。
みんな、満足げな表情ですが、
「出発予定時刻だけど、みんなはどうしたいのかな」
「帰ろっか」
カミスの声に、みんながうなずきました。
「それでは、出発しますね」
いざ、王都へ。
いつもの御者席なのですが、なぜかとても気分が良いのです。
隣のカミスも、にこにこ顔。
「楽しかったですね」
正直、最初は観光地化にがっかりだったのですが、なんだか予想外に楽しかったです。
「まさか、観光地化の黒幕がアランさんだったとは」
ユイさんたちも、あそこの施設を楽しんだのでしょうね。
「僕たちも、帰り道を楽しみましょう」
楽しませてくださいね、フィアンセ様。
「……」
照れ顔カミスは、とても可愛らしいのです。
『なんだかとっても良い感じ、なの』
「正式な婚姻まで、もはや時間の問題、かな」
「油断してはいけませんよ、クリス。 私たちはモノカとカミスの幸せのためならあらゆる手段もいとわない、謎の秘密結社なのですよ」
「えーと、エルミナさんに変な設定を教えちゃったのは、たぶんネルコさんですねっ」
「大きな目的のためなら手段は選ばず、私たちは大局を見誤ってはいけないのです、ノルシェさん」
「私たちがどうこうしなくても、自然とどうにかなっちゃいそうなんだけどなっ、あのふたりなら」
「それはいけない、アイネさん。 子供たちふたりの目の前でどうにかなっちゃうのは、さすがにまずかろう」
「シスカお姉さん、どうにかなっちゃうってどうなっちゃうの?」
「しまった、このふたりを秘密結社に巻き込むわけにはいかんのだっ」
「「キャー」」
「シスカさんがふたりを抱っこして個室の方へ。 さすがは守護騎士様、頼りになりますねっ」
「しかし輪投げに熱中して悔しがる姿は、あのふたりと同年代の子どものようでしたよ」
「何事にも一生懸命な姿勢が、昔から変わらないシスカの魅力なのです」
「とりあえず、監視はナシにして、あのふたりにお任せってことで良いんじゃないかなっ」
秘密結社一同「意義ナシッ」
『では、監視魔導具スイッチオフ、なの』




