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15 二日目、夜


 暗くなる前に、狩猟班が戻ってきました。


 獲物は、いのししをひとり一匹ずつ、です。



「さすがはライクァさん仕込みの狩りの技、だな」


「いえいえ、熟達した剣使いの技前、勉強になりました」


 バトル乙女たち、楽しそうですね。



 クリスは早速、野営料理の準備を始めました。


 シスカさんとふたりで、豪快にさばいております。


 串焼きいのしし、じゅるり、ですね。



 お料理班は、大量のおにぎりを握ってくれました。


 エルミナさんも、楽しそうに握っておられましたよ。


 ちっちゃいふたり組に負けず劣らずの可愛らしいお手手から生み出されるおにぎりたち。


 めっちゃ美味そう。


 この異世界では、お米が普通に食べられていることが、とてもありがたいですね。



 夕飯は、焚き火を囲んでのおにぎりパーティー。


 漬け物やら、から揚げちっくお肉やら、さまざまな具材のおにぎりと、串焼きいのしし。


 カミス特製ソースも大活躍。


 とても美味しくてとても楽しい夕食でした。



 片付けも終わって、今日の見張りは、ノルシェとクリスです。


 カミスは早々に私物テントに入っちゃいました。



「クリスさんにお聞きしたいことがあるのですが」


「何なりと、ノルシェさん」


「ライクァさんについて、なんです」


「はい」


「王国一の武人との誉れも高いライクァさんなのですが、得意武器は何なのでしょうか」


「おじさまは様々な武具に熟達しておられますが、あえてひとつ挙げるなら、徒手格闘かと」


「素手、ですか」


「モノカお姉さまはご存知なのでしょうが、己の肉体を鍛えることに関しては妥協しない人なのです」


「……」


「何かお悩みでも」


「私は短剣使いなのですが、モノカからもう少し防御や回避に気を使うようにして身体を労って欲しいと苦言を呈されまして」


「……」


「よろしければライクァさんから近接戦闘の心得をご教授願えれば、と」


「残念ですが、おじさまの闘い方は全く参考にならないかと」


「全く、ですか」


「おじさまの徒手格闘は、受けた攻撃を鋼の如き肉体で全て無力化する闘い方なのです。 おじさま以外の方では、まず不可能かと」


「それほどなのですか」


「私の槍の全力でも、かすり傷すら」


「それは、自分には無理、としか……」


「そして、あの肉体に匹敵するほどの鍛錬を成し得たのがモノカお姉さま……」


「あちらの世界では闘いの無い平和な暮らしを営んでいたと聞きましたが、それならなぜあそこまで鍛錬しちゃったのでしょうね」


「私ごときがおこがましいのですが、こちらに来ることが運命だったのではないかと」


「確かに、モノカはとても生き生きとした生活を送っていますね。 特にカミスさんと出会ってからは」


「まさに運命、でしょうか」


「私に出来ることは、モノカとカミスさんの平穏な暮らしを守ること、ですね。 もちろんクリスさんとカミスさんの暮らしも、ですよ」


「ありがとうございます、ノルシェさん。 それで、ノルシェさんには運命の人は」


「えーと、特に無しって事で。 それよりも、最近女の子たちが群がってきちゃって逃げるので精一杯な感じなんです」


「それはそうでしょう。 なにせ『乙女の守り神』にして『生ける乙女の守り樹』。 並の男性騎士などではお話にもならぬほどの乙女騎士っぷり」


「運命の出会いはまだまだ先、ですかね」


「ノルシェさんは、カミスのことはどう思われますか」


「とても誠実な男の子、ですかね。 守ってあげたくなるタイプではありますが」


「ノルシェさんは守られたい、のですね」


「どうでしょう。 背中を預けられる人が理想ですかね」


「ノルシェさんの背中は、かなり理想が高そうですね」


「そんなことは無いんですけどね。 今はモノカの背中を守るので精一杯です」


「それって、とんでもなく理想が上がりましたよ」


「そうかも……」



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