12 二日目、お昼すぎ 2
リシェルさんと司法官の皆さん、『転送』で去っていきました。
今回の事件、確かにノルシェのお手柄なのですが、
犯人逮捕の決め手はピザだったような……
「どうしよう、モノカ」
どうかしたのかな、アイネ。
「カミスさんが……」
どうしたのかなっ、アイネッ。
捕縛された犯人は、体内に魔導具が埋め込まれておりました。
で、そのままだと危なっかしくて『転送』させらんない、ということで、
ついさっきここで摘出されたそうなのです、魔導具を。
私はリシェルさんとの話に夢中で気付かなかったのですが、
マクラとハルシャちゃんは、シジミとエルミナさんがテント内へ連れて行ってくれたとか。
本当にありがとう、ふたりとも。
ところが、カミスがその現場をもろに見ちゃったらしくて、
シスカさんに付き添われて私物テント内で介抱されているそうです。
「もう少ししたら、カミスさんを元気付けに行ってあげてね」
ありがとう、アイネ。
シスカさんが手招きしてくれたので、カミスのテントへ。
「大丈夫?」
「ごめんね、本当にみっともないよね」
カミス、すごい弱ってる。
「異世界だもの、あっちと比べると、やっぱりキツいよね」
「魔物の解体とかはだいぶ慣れたけど、あれは僕にはまだ無理みたいだ」
人、だもんね。
「慣れなくても、良いと思うよ」
「でも……」
「さっき、あっちと比べるとって言ったけど、本当はあっちも変わらないかなって」
「……」
「私の知り合いで、交通事故の現場に居合わせちゃった子がいたんだけど」
「……」
「しばらく何にも出来なくなっちゃったんだって」
「……」
「でも、しばらく経ったら、普通に出来るようになったんだって」
「……」
「上手く言えないけど、あっちでもこっちでも、確かにキツいこともあるかもしれないけど、わざわざそれに近づかないようにすればぶつかることも少なく出来るだろうし、もしぶつかっちゃっても遠慮なく私たちに頼って欲しいな、なんて」
「ありがとう」
「……」
「優しいモノカを泣かせるのはイヤだから、僕なりに、頑張ってみるよ」
私、泣いてたんだ……




