10 二日目、お昼
もうすぐお昼、みんなで昼食作りの真っ最中。
場の空気感はいつも通り、ちょっとふざけてそれなりに真面目。
もちろん調理には真剣そのもの。
つまりは、みんな良い感じ、なのです。
「「出来たっ」」
マクラとハルシャちゃん、お料理完成に喜びのハーモニーですね。
今日のお昼はピザっぽいの、っていうか、かなり本格的なピザそのもの。
魔法班がいろいろと工夫して、いろんな魔法を組み合わせたりして、釜っぽい効果を再現しちゃったのです。
おかげで野外料理なのに本格釜焼きスタイルなのですよ。
「これは美味いな」
シスカさん、切れ長のお目目がまん丸ですよ。
「チーズがとろとろですわ」
エルミナさん、やけどしないでね。
「美味しくて、ピザって10回言いたくなっちゃいますねっ」
こっちの世界の人は引っかかるのかな、ネルコ。
「もう止まらなくなっちゃうっ」
このカロリーと闘うがいいさ、アイネ。
「アサリのピザがこんなに美味しいなんて、ちょっとくやしいの」
妙な対抗心は燃やさないでね、シジミ。
「この味の再現には、あれだけの魔法が必要なのですね」
あの魔法釜は野営料理にはちょっと贅沢すぎるかもね、クリス。
「はい、あーんして、マクラお姉さん」
「美味しいっ。 次はハルシャちゃんの番だよっ。 はい、あーん」
「美味しいっ。 じゃあ次はっ、これかなっ。 はい、あーん」
エンドレスあーん。 やってくれますね、ちっちゃなおふたりさん。
まあ、生地作りから頑張ったご褒美ってことで。
「みんな美味しそうで楽しそうで、すごく幸せそうですね」
カミスが嬉しそうで、私も幸せだよ。
「僕たちも、あーんとか、やっちゃいます?」
ごめんなさい、許してください。
今度ふたりきりの時にでも、ね。
はて、そういえば、ノルシェの姿が見えないが、
「そこですっ、見つけましたよっ」
ナニゴト!




