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鈴木さんと岡崎さん

オシャレアイテム?

作者: 須藤香一

 高校に入学をして教室に入った時私は戸惑った。

 教室に黒いモヤのようなものが漂っていたから。

 このモヤのようなものは他の人には見えないらしい。

 それはあまり良くないものだとわかっていながら私にはどうしたらいいのかわからなかった。

 私にはこのようなものが見える。

 霊能力といえる程たいしたものではない。

 ただ人の感情から生まれたであろうモヤが見える程度でそれを消す力があるわけではないのだ。

 こういうモヤは時間が経つにつれ変化していく。

 薄くなり消えていく時もあれば逆に濃くなっていく時もある。

 私には経過と結果が見えるけど何故そうなるのかはわからない。

 私には何もできないのだ。


 そんな事を考えていた時ある男子生徒が鞄から何かを取り出した。

 それはおもちゃの鉄砲だった。

 彼がおもちゃの鉄砲の引き金を引いたら霧状になった液体が飛び出した。

 霧吹き?いや水鉄砲なのかな?

 その霧が消えると共になにやらいい香りが漂ってきた。

 中身は香水なんだ。そう思ってたら周りもだんだん騒がしくなってきた。

「なに?いきなり」

「変なにおい」

「そう?そこまで悪くないと思うけど」

 教室中に様々な声が広がっていく。

「え?」私は思わず声をあげた。

 辺りを漂っていたあの黒いモヤのようなものが消えていっているのだ。

 こんなにも急激に消えていくのは初めて見た。

 もしかしてあの水鉄砲が?

 私はその男子生徒を見つめた。


 それから私はその男子生徒、田口君をよく見ていた。

 結構変わった人でまだ話しかける勇気はなかった。

 その間彼は水鉄砲や様々な道具を使って除霊?やおまじない?のような事をしていた

 ある日私は思い切って田口君に話しかけた。

「田口君、私岡崎紫。まだちゃんと話した事なかったよね」

 こちらを見てはいるが返事がない。

 心が折れそうだ。

「えっとね。そのね」

 なかなか本題に進むことが出来ない。

 ちょっと逃げたくなってきたけど勇気を振り絞って聞くことにした。

「その水鉄砲って特別なものなの?」

「いや」

 素っ気無い答えだったけど一応返事がきてホッとする。

「いい香りがするけど」

 緊張のせいかなかなか言いたい言葉を選ぶことが出来ない。

「ふーん」

「その水鉄砲って」

 とにかく話そうとする私の言葉を遮るように彼は言った。

「あまり気にしないで。ただのオシャレアイテムだよ」

 会話はこれで終わりとでもいうように少し強めのニュアンスに聞こえた。

 その後も話しかけてみたけどうまく言葉を出すことができない。

 そのまま言葉もなく立ち去ろうとした私に彼は呟いた。

「気にしなくてもいい。知らないままでいいんだ」


 席に戻って考えてみる。

 やはりあれは除霊みたいなもので水鉄砲と香水はその道具なのだろうか。

 少なくともオシャレで持っているわけではないと思う。

 でもあの香りの水はやっぱりオシャレのつもりなのかな?

 結論が出ないまま席に戻った私を見て友達が話しかけてきた。

 私が田口君と話してたのが気になってたらしい。

 まぁ確かに接点はないものね。

 水鉄砲がオシャレアイテムかどうかより私は友達との会話を楽しむ事にした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 素晴らしい作品ですね! ☆5個つけさせて頂きました。 これからも頑張って下さい! 応援してます。
2021/11/11 22:26 退会済み
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