お題:魔法・可愛い女の子・金属バット
「ん…んぁ?ど、どこなんだここ? 」
目を覚ませば俺は硬く黒い道の上で寝転んでいた。
道ゆく人は見たこともない綺麗な服を着て歩きながら俺を横目に見ていた。
石の塔が森のように立ち並び、珍妙な鉄箱が馬よりも早く走る。
空は遠くに見え、息苦しい。
俺はどこに来てしまったのだろうか。
道行く人をよく見てみる。
弟くらいの歳の少年少女は赤や黒、青色の色とりどりな小さな背 負子を背負い皆一同に集まり山ではないどこかへと向かい歩いている。
俺はここがどこなのか聞くためにそのうちの1人の可愛らしい少女に声をかけてみた。
「もし、そこの少女や。ここは一体どこなのだ? 」
すると少女は驚いた顔をしてこちらを向き、背負子に付いていた玉の紐を引っ張った。
するとどうだろうか、辺りに爆音が響き渡ったではないか。
どうやら彼女は魔法を使えるようだ。でなければここまでの爆音を普通の少女が出せるはずがあるまい。
俺は少女から一気に距離を取り警戒した。
おばぁが言うには魔法使いは他に仲間がいる可能性が高いのだとか。
おそらくあの爆音魔法は俺を驚かす目的と仲間を呼ぶ目的で発動させたのだろう。警戒するに越したことはない。
すると遠くの方から鉄の長い棍棒のようなものを持ったところどころ土で汚れた白い服を着ただいたい俺と同じくらいの歳の男が走ってやってきた。
「てめぇ、こんな少女に何してんだ。さては不審者だな? 」
彼はそう言うと棍棒で俺を突いてきた。
どうやら少女から俺を離したいらしい。俺は彼に従うように少女から離れ、鉄の棍棒なら殴った方がいいんじゃないのか?という疑問を持ちつつ、その場を走り去った。
少女と男の元から走り去ったものの、相変わらず俺がどこにいるのか分からなかった。
「俺は一体どこに来てしまったのだろうか」
俺の独白は誰にも聞かれることもなく息苦しい空気へと溶けていつくのだった。
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