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右手


無意識に握ろうして

空を掻く



ああ あの人では

無かった

あの細い指では

無かった



苦し紛れに

音を奏でる

振りをする



左手にショパン

右手は空虚

何の曲と問われ

応える術が無い



ああ あの人では

無かった

あの細い声では

無かった



やがて空虚の音は止み

向き合わざる真実のみ

残る



空は高く

何処までも 遠く

心までも やはり

飛んで行ってしまう



震える声に

掛ける言の葉は散る

解き放たれ 一人

彼の地へ立つ



送り名の無き

葉書を片手に

無意識にまた 空を掻く



ああ あの人では無かった

ああ あの人では



あの人が



滑らかな手だった

張られた手だった

捕らえ 包み 撫り 抱いた



もう失うことは

無かった

離すことは

無かった









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