魔王召喚編 04
続けてもう一話、どうぞ!
メルクリア王女の急な横槍が入ったことにより、令士はこの国から追放されることになった。
彼自身はあの場で相手側、王の令士への要求と提案を聞いたうえでどのようにして自身の意に沿う様に誘導し、上手く妥協案を飲ませようと計画立てていた。
それがオウグと呼ばれた老人が持つ国宝という道具を使用してかそれらの計画が無意味となり、今現在は王城を出て街の大通りと思われる道を五人の騎士に囲まれて移動している。
(急にあの王女様の発言でこんなことになったが、一様は戦わなくてよくなったことには感謝しないといけないか。それにしても……酷いな)
王城から出た令士は、道中で見た街の光景に嘆息していた。
王城に近い位置にあるロシア建築によく似た建物はどれもしっかりとしたものばかりで、大きさもさることながら、その外観にかなりの資金を充てていることが窺える。更に歩く人々、特に女性などは宝石をふんだんに使った装飾品を身に纏い、金額が判らない程の服を着ていることから、この一帯は富裕層が住む区画なのだと見ただけで判断が出来た。
その通りを令士が抜けると、一般市民が住んでいる区画に入ると同時に、先程の区画との大きな落差を感じずにはいられなかった。
そこで見たのは、正に格差社会と言えるような現状だった。
まず建物に関しては、富裕層の建物と同じ木造建築ではあったが、あまりにも雑然と建てられている。建物同士が密集し、区画整理などされずに好き勝手に建てたことで大通りから先は迷路のように入り組んでしまっていることだろう。
通りに並ぶ物を売る店の方にも視線を向けたが、これもまた酷かった。売り物がしっかりしているところは大きな店舗を持ち、そこには比較的に裕福そうな出で立ちの者達が買い物し、逆に物がよくなさそうな品を売る方は路上に敷物を敷いていて、多くの人々はそちらのそうで買い物をしている。
その差は着ている服の差でハッキリと判断されており、前者は比較的にしっかりとした服を着て商売していて、後者では商人も購入者もくたびれていたり解れている服を着ている。酷い者だと、汚れた状態のまま着続けている人までいるのだ。
そこから少し離れてたところでは、子供から老人までホームレスのような人たちが通行人に物乞いをしていたりしていた。
そんな彼らのこともだが、令士はそれ以上に気になることがあった。それは___臭いである。
周囲から漂う酷い悪臭に、彼は眉間に皺を寄せる。
その臭いは、生活から出る煮炊きの匂いに混じり、排泄物特有の臭いから、まるで肉を腐敗させてしまったかのような腐臭も混じっており、人々は気にした様子はないものの確実に衛生問題が発生していると令士は危惧していた。
(そのこともあるが、問題は……)
また別に、彼の目に入ったある光景に、彼は知らないうちに奥歯を噛みしめ、表情も普段よりも更に剣を強めている。そんな令士の視線の先に見たものは___
____檻に入れられ、首や手足に枷を嵌められた者達がいたのだ。
まだこの時の彼は知りもしなかったが、この世界では奴隷制度が存在し、特に人間の築いた国では他の種族である亜人達から同じ人間に至るまで、犯罪奴隷を始め、何処からか連れ去られた人々や戦争で敗れた敵兵などを奴隷として扱いことを推奨している。
そんなあまりにも非人道程な行いに、令士はもはや隠しようのない怒りを感じていた。
(これが、これが同じ人間のやることなのか?! こんなのは人種差別と同じじゃないか!)
彼の目に入る檻の中にいる人の中には、頭や腰の辺りから動物の耳と尾が生えた者達から、日に焼けた肌に砂色の鱗が手足や顔に張り付いている人達も見て取れる。確かに同じ人間と比べれば異様に見え、忌むべき対象として見られるかも知らない。
だが、そんなことはただの違いにしかならない。
彼の元いた世界でも同じか、それ以上に多くの迫害と争いが存在した。それが人種か宗教、価値観の違いなどの些細なことで数え切れないほどの命を奪いあった歴史がそれを物語っている。そんことをこの世界でもしていることが、それが同じ人間であることが彼にはどうしようもなく歯痒かった。
(こんな外見の違いだけで、その人たちを害することがまかり通っていいはずがない……あってはならないんだ……)
令士は己が信じる価値感と、相手の持つ価値観を測り、互いに尊重し合うことで多くの人が幸せになれることを心から信じていた。それを真っ向から否定するかのような目の前の現状に、彼の中で明確な人間への憤りと落胆を覚えた。
そんな彼の表情と体から感じる雰囲気から、周囲に居た街の人々は怯えて離れて行く。
令士を囲いながら移動している騎士達もまた、彼から感じる言いようのない異様な威圧感に額や背に冷や汗を流しながらも、今にも逃げたい気持ちを抑える。
この場で職務を放棄して逃げ出さないのは、彼らがこの国の王女……王族からの勅命に逆らうことは出来ないからであった。もしは歯向け、玉座の間で言った全ての一族を死罪にするとなれば、背ける筈もない。
こんな騎士たちの王女の命に対する忠誠心と、令士から感じる威圧感がせめぎ合い、その令士本人はこの世界の人間への軽蔑と落胆を拭えないまま、彼らは周囲の者達から様々な眼差しを向けられる中で大通りを歩いて行った。
それから約一時間後、令士は大きな石の壁……城壁の外に一人立っていた。
騎士達は令士を城壁まで連れ、兵士用の通路を通って外に出ると
「貴様はこれよりこの王都への踏み込むことを禁ずる。これを違えた際、問答無用で打ち首にする故、肝に銘じておけ。ではな」
たったそれだけ言うと、通路の扉を閉め、それ以降は開くことは無かった。
この時、本来は「国の外へ追放」連れていくはずだったのだが、彼らはこれ以上令士と共に行動したくない理由から王女の命を「国の中心である王都からの追放」とこじつけのような解釈して彼を放置したのだ。
そんな騎士たちの考えなど知らない令士は、この世界の知識もないまま放り出されたことに特に動揺することもなく、今現在持っている持ち物の確認を始める。
(さて、まず携帯は……使える筈がないか。次に財布だが、日本の紙幣が使えるとは思えない。それと他は……ハンカチに風呂敷、そして__)
ズボンのポケットの中に入っていた物を確認し終えた彼は、最後に自身の首にかけていた形見の指輪を取り出す。
(これを奪われなかったことだけでも、良かったと思おう……)
そのことに安堵し、またシャツの中にしまうと城壁とは逆方向に視線を向ける。
視界の先には舗装されていない道があり、その先には林が広がり、更にそこから微かに青い色……海か湖があることが確認できる。
それもどうにかギリギリ視界にとらえることが出来るといった程度で、ここから徒歩で真っ直ぐに移動するにしても何日かかるかすら分からず、また道に沿って移動となればその距離は見当がつかない。だが__
「ここに居ても意味が無いか……一か八か、行ってみるか」
彼は水場があるならば人が住んでいるとすれば、港か漁村が存在するかもしれないと考え、ひとまずそこを目指すことにした。それ以前に、彼をこの場所……世界に呼び出した張本人が国の、それも王族ともなれば、一度は追い出されるようなことがあったとしても何かしらの問題に巻き込まれないとも限らないため、できうる限りここから離れれた方がいいと考えたからだ。
……それに加え、この国の在り方自体が、令士にとって看過できないという私情も含まれてはいる。
まだこの世界の常識や知識がないことに先の見えない不安を感じながら、令士はこの世界で生き残り、元いた世界への帰還の方法を模索せべく、王都を後にした。
令士が王都から舗装されていない道を歩いてから、既に三時間が経過していた。
特に何も荷物のない彼は、代わり映えのない道を休憩を挟みながら歩き続けた。だが、この荷物がないことは何もいいことばかりではない。
確かに何も無いということは、身軽で移動に支障がないことに繋がるが、それは同時に食料や水などの人間に必要な最低限の栄養補給、更に自信を護るために必要な護身具や外で寝起きするために用意するテントやライター等の野外宿泊道具すらも持っていないことになる。
これがまだ安全な日本の管理された場所であるなら問題ないが、彼がいるのは異世界。それも何が起こるか、どのような生き物がいるのかすら把握していない。そんな中を歩く間考えていれば、どのような人でも精神的にも肉体的にも消耗は激しくなる。
「い、いったい、どれくらい距離が、あるんだ……?」
朝食を摂ってから既にかなりの時間が経過し、休憩はしているが水分補給すらできていない彼は、まだ先の長い道のりに空腹と喉の渇きを覚えながらも歩き続ける。
(このままじゃまずいな。いっそ、林の方に行って水と何か食べられる物を……いや、それは危険すぎる。何がいるか分からない場所に入るのはあまりに不用心すぎる。なら雨が降った際に……これも無理か)
令士は道から外れた林の中に入ろうか考えたが、そう言ったところには危険があることは判り切っていることなので直ぐに断念し、雨が降った際に雨水で喉の渇きを癒せないかとも思いついたが、それも頭上を仰ぎ見た青空と、彼の顔に当たる涼しげだが湿気の感じない風を感じてそれも無理だと諦める。
歩く歩調が遅くなりながら、令士がどのようにして水と食料を確保するか悩んでいると、彼が歩いて来た道の方からこちらに近づいて来る音に気付く。
(これは、蹄の音に……荷車の車輪かなにかか?)
その音が気になり、一旦足を止めて後ろを振り向くと、視界に入って来たのは一頭の馬に引かれてやって来る馬車の様な乗り物だった。
彼の知る馬車は、イギリスの観光に使われているオープンタイプだが、今見えているのは荷車を改良し、それに幌で屋根を張ったような造りの馬車だ。西部開拓時代に使われていた幌馬車と同じような物だろう。
令士はもしかしたら水を分けてもらえないかと思い、その馬車に手を振ってみる。
その彼の姿を、御者台に座っていたまだ若い青年が視界にとらえる。そこに立って手を振っている見たことも無い服の相手に、青年はもしかすると儲け話があるやもと馬車を近付ける。
だが、徐々にその姿を明確にしていくと、その判断が失敗だったと後悔した。
そこに居た人物の男性は、遠くからでも解る見たことのない綺麗な服を着ており、服の上からでも鍛えられた肉体は一般人のそれではない。それに加え、鋭い眼光に首に彫られた異様な模様があることが分かったことがその大きな理由だ。
もしかすると盗賊か何かだった時のためにナイフを隠し持ちながら、馬車を令士のすぐ傍で止める。この時に走って逃げなかったのは、もし近くに仲間が隠れていた場合に弓で狙われかもしれないと思ったからだ。
「そ、その~……私に、何か御用でしょうか?」
間近で見た令士の顔に、恐る恐る止められた理由を尋ねる青年。
そんな彼の反応に、令士は自身の目つきの悪さを理解している為、特に気を悪くするどころか逆に怖がらせてしまったことに申し訳なく思ってしまう。
「急に御停めして申し訳ない。私は黒騎 令士という者ですが、あなたに訪ねたいこととお願いがあり、お急ぎのところを御停めいたしました」
「お、お願い、ですか……」
青年はまさか目の前の男がここまで丁寧に話しかけてくることに拍子抜けしたが、令士からの「お願い」と言う言葉に、気の抜けかけた気持ちが一気に引き締まる。
もし目の前の男が金銭を要求してくるのでは、と考えた青年は命をとられるよりよりはマシで、こちらを襲って来ることも考え、更に体を強張らせたが__
「はい。実はここまでかなりの距離を歩いたせいでかなり咽喉が乾いていて、もしお水をお持ちでしたら少し分けてはいただけないでしょうか?」
「……み、みず?」
「はい、そうです」
令士から出た予想斜め上の言葉に、青年は素っ頓狂な声で返す。
そんな青年の反応を特に気にせず、令士は水が欲しい理由について説明を始める。
「実は、ここに来るまで王都と呼ばれている街から歩いていたのですが、なにぶんこの国の者ではない上に、金銭どころかこの国のことを何も知らないんです。街からも殆ど追い出される形で出たため、これからどうするか考えながら歩いて移動し、喉が渇いている時にあなたがここを通ったので、お水を持っているのであれば少しいただけないかと思い、こうして御停めした訳です」
「え?は? あんた、ここまで王都から歩いて来たのか?」
「はい、その通りです」
令士の話を黙って聞いていた青年は、まさかの内容に怯えていたことも忘れ、素の状態で聞き返してしまう。
だがそれも仕方のないことだった。何せこの街道から王都まで馬車で一時間くらいかかる道のりを一人で、それも荷物も何も持たずに移動していること自体異常だ。
それによくよく見れば、武器らしいものすら持っていない。この世界では何時どこで盗賊や野盗に襲われるか分からない為、武器を持っておくことは子供ですら知っている常識を知らない令士に、青年が訳が分からず首を傾げていると
「それで、水の方を分けてもらえるのでしょうか?」
「__あ、あぁ、水な。いいよ、それくらい」
「ありがとうございます」
青年は令士の対応に困惑しながらも、自身の持つ水の入った袋を渡す。
それを見た令士は、その水の入った袋を見て昔に上司に連れられて行った砂漠での出来事を思い出す。
(あぁ、懐かしいなぁ。確か、水袋だったか? 動物の胃袋を使って作った物で、上司に付き合って行った「砂漠横断ツアー」の時に昔ながらの水筒を、と言って持たされたっけ……)
そんなことがあったことを思い出しながら、令士は水袋の栓を開け、口を付けないように水筒を傾けて水を飲む。これは現地で水の入った容器に口を付けて飲むことが忌避されていると教わった際、この方法を上司と共に教わっていた。
水袋に入れてあった水はまだ十分に冷えており、歩き続けていた令士にとってこれ以上ない程に美味く感じた。それからまだ中身が半分も減っていないうちに飲むのを止め、栓をしてから青年に返す。
「お水、ありがとうございました。助かりました」
「いいよ別に、ただ水を分けただけだしな」
「それでも、私からしたら十分に感謝するに値することです。本当に、ありがとうございました」
「……なんか、調子狂うなぁー」
令士から必要以上に感謝されていることに戸惑いながら頭を掻く青年。
そんな青年の様子に令士は好感を覚えると共に、内心で申し訳なさを感じながら彼と話す際に言った質問をすることにした。
「水を頂いたばかりで申し訳ないんですが、一つ聞きたいことがあるんです」
「ん? なんだい? 俺が答えられることなら、何でも聞いてくれ」
令士からの質問に、青年は快く頷いてくれる。
既にこの時、彼は令士が普通でないことを除いても善良な人物であると感じ、警戒するのも忘れ彼の普段道理の話し方で話していた。
「実は、王都かた見えた水源……海か湖がある場所までここからあとどれくらい歩いてらいいのでしょうか?」
「……あんた、モッカス男爵領まで歩いて行くつもりか?」
「そのモッカスと言う男爵様が治めている土地が私の目的の場所であるなら、その通りだと思います」
「あぁー、そうなのか……」
青年は令士の質問を聞き終えると、何とも言えない難しい表情を浮かべて腕を組む。それから少し唸ったと思うと、青年は令士の質問に答え、令士自身は彼の表情の意味を理解した。
青年の話では、モッカス男爵領は海辺を中心とした村々を束ねている下級貴族の領地で、そこで獲れる少ない海の魚を干した物を売って生計を立てているのだという。
そんな貧しい領地までの道のりだが、馬車での移動でも三日は掛かる道のりで、途中で分かれ道も存在するため道を間違えると更に数日かかってしまうらしいのだ。それだけでも大変なのに、徒歩となれば十日以上は掛かるのは想像に難くない。
それだけではなく、道中には盗賊が出たという噂まで出てるという話まで聞いた令士は、あまりの内容に自然と額に手をあて、頭痛を堪えながら唸ってしまう。
「なぁ、もしモッカス男爵領に行きたいなら、俺の馬車に乗せてやろうか?」
「……いいんですか?」
令士の様子を見かねた青年が目的地まで馬車に乗っていくことを提案してくれるが、そんな彼の審議が判らない令士は警戒するように疑問を投げかける。
そんな令士からの反応を見越していた青年は、そうと言うことも無いように口を開く。
「なに、あんたをこのまま見捨てたら、寝覚めが悪くなるだけさ。因みに俺の目的地もモッカス男爵領でな。そこで干物を買って、また別の領地にむかうつもりだったし、ついでだよ、ついで。それに……」
後半になると、青年は視線を令士の顔から少し下……彼が着ているシャツやズボンに向けられる。
(……あぁー、なるほど)
青年の視線が自身の服に向けられていることに気付いた令士は、彼が何を思っているのかを理解した。
この世界での一般人は麻で作られた荒い作りの服を着ており、令士のような仕立てのいい……それもこの世界ではまだ作ることのできない製造法で作られた服となれば、いったい幾らの値が付くのかすら判らないのだ。
そこまでほぼ事実だろう青年の考えを読んだ令士は、それならと彼の話に乗ることにした。
「では、お言葉に甘えて、同乗させていただきます。それと、もしよろしければお名前を窺っても?」
「おう、俺はディグ。駆け出しの行商人だ。あと、その畏まった話し方はやめてくれ。俺よりあんたの方が年上だろ? そんな風に話されると、こっちまで息苦しくて仕方ねえや」
「……わかった。これでいいのか?」
「おう!」
令士が砕けた話し方をすると、ディグは年よりも子供っぽい笑顔で答える。
そんなディグの顔を見ながら、令士も少し口の端を吊り上げると
「なあ、ディグ」
「ん? なんだ、レイジ?」
「お前、この服が欲しくないか……?」
「っ!?」
ディグは令士の口から出た言葉に、御者台かた身を乗り出す。
そんな彼の反応をおかしいく思いながらも、令士は一旦落ち着くように言い含める。
「無論、こっちの条件を呑んでくれたら、だ」
「じょ、条件……」
「そう、条件。その条件だが……ディグ。お前の荷物の中に、衣服は含まれているか?」
「あぁ、あるぜ。今から行く漁村では、服を用立てるのも一苦労だからな。金銭の少ない奴らと物々交換用に買ってある」
「そうか。なら、これを渡すかわりに、俺が着れる服をくれ。それと、道中の食事をそっちが持つのに加え、道中の間この国のことや常識について俺に教えてくれないか?」
「国のことは解るが、なんで常識なんだ……?」
「俺はこの国の人間じゃない。だから、この国の通貨も、地理も、風習も何もかもわからないんだ。それについてお前の知りうる限りを教えてくれるなら、この服をお前にやろう。……どうする?」
「乗った!」
令士は彼に手を差し出しながら言うと、ディグは御者台から飛び降り、一二もなくその提案を呑んだ。
そんな二人はお互いに握手を交わしながら、令士はようやくこの世界でまともな交渉ができたことに満足し、ディグは令士の着ている服がどれ程の額で取引されるのか期待しながら、それぞれが有益な交渉が出来たことで満面の笑みを浮かべていた。