バースデイ
長谷川ケイスケの長男、ケイタの誕生日は奇しくも一月一日だった。
因みに一月一日の誕生花は「福寿草」、花言葉は「幸福」であると言う。ケイタもそんな花言葉が似合うような、幸福な人生を送るよう両親に望まれて生まれてきた。
彼は幼い頃から友人を大事にしたし、両親の愛の下に真っ直ぐに育ってくれた。一月の誕生石は「ガーネット」、その意味付けは「真実」や「友愛」、「忠実」と言った類である。
誕生肉の「肩ロース」が大好物だった彼は、肉言葉の「誠実」を表すかのように、健全な小学校時代を過ごした。
だがケイタが中学校に上がる頃、両親が離婚。この時たった一人の母親と、そして妹と生き分かれてしまうことになる。彼の誕生魚は「マダイ」、魚言葉は「宿命」であった。
それからの彼は荒れた。誕生武器の「十徳ナイフ」を何時も懐に忍ばせて、誰彼構わず喧嘩を挑んだ。放課後になると誕生色の「深紅」のように血走らせた目で他の同級生達を威嚇し、誕生階の「屋上」で誕生酒の「フローズン・ダイキリ」を浴びるように飲んでいた。
そんな彼が変わるきっかけを作ってくれたのが、誕生担任の「伊藤先生」である。「そんなことよりお前、明日は学校に来いよ」と言う伊藤言葉のお陰で、彼は徐々に、受け止めきれなかった現実と向かい合うことが出来た。
数年後、無事高校まで卒業した彼は、地元の小さな誕生会社に就職。そこで出会った誕生人の「佐藤智恵子」さんとめでたく誕生結婚した。結婚言葉は…二人だけの秘密にしておこう。生き別れた家族と再会したのも、この時であった。
それから二人は誕生幸せな誕生家庭を築き、やがて誕生子供が誕生。そんな彼の自慢の一人誕生娘もすくすくと誕生成長し、数十年後には彼の誕生家を出ていった。
誕生妻に先立たれ、定年後は誕生趣味の囲碁に明け暮れた彼も、昨年誕生永眠。七十六歳の若さだった。奇しくも彼の誕生死は、一月一日。誕生家族に見守られ、息を引き取る際の死言葉は、「生まれてきてくれてどうもありがとう」だった。




