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悲恋想歌  作者: 龍也
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始動

「暑い…」

男が空を睨んで悪態をついた。

それもそのはずである。なぜなら今は夏だからだ。この日の平均気温は30度を超えていて、太陽も燦々と輝いている。

ジリジリと焼けるような日差しが男の肌を焼く。

「行くか」

いつまでも空を睨んでいても始まらない。

男はそう思うと、歩き出した。

炎天下の中歩いていると、どこからか風鈴の音がして少しだけ、涼しくなれた気がした。

そのまま歩いていると、何人かの男女にすれ違う。

よく見てみれば彼らは同じ服を着ていた。

自分も着ているこの服は、我らが学び舎の制服だ。


10年ほど前、突如として宇宙から飛来してきた謎の敵。

彼らは機械の体をしていて、人類は彼らを、普通じゃない存在〈アブノーマル〉と呼んだ。

彼らがなぜこの星に来たのかなど、彼らの目的は判明しなかったが、彼らは我々人類に牙を剥いた。

彼らが使うのはビーム兵器や巨大ロボットではなく銃だ。

個々の戦闘力も高くなく、普通に銃弾を10発も打ち込めば死ぬ。(いや、機械の体に命が有るとは思えないので壊れる、の方が正しいだろう。)

だが、彼らの最も恐ろしい所は、その数である。

倒しても倒しても湧いてくる彼らに人類は徐々に消耗していった。幸いにも、彼らが使っている銃などは我々が使っている銃と似た構造をしていたので、弾不足や、資材不足にはならなかった。

しかし、数の暴力により、人類は少しづつ消耗していった。そして、戦闘が始まって5年もすれば、民間人すらも戦わせなければいけなくなった。しかし、なんの訓練もしていない民間人を戦場に出しても無駄死にするだけなのは分かっていたことなので、各国政府は軍人養成学校の設立を始めた。その一つが我が校である。

学校の設立や、アブノーマルに関する事はまだ有るのだが

、ここでは省略させていただこう。

俺は今年で3年だ、この学園は三年制につき、俺は来年戦場に送られる。そのことに何か思うことはない。

周りの奴らは

「死にたくない!」「国のために!」

とか言うやつもいるが、俺にとっては、その日の夕食の方が大切である。

俺は…もう諦めていたのかもしれない。

どうせ卒業したら戦場に送られて死ぬ。

なら、何を目標に生きればいい?

何をすればいい?

何も考えない方が楽だった。

ずっとこのような事を考えていた俺からすればやっとか…としか思えないのはやはり俺が諦めていたからだろう。

…だから、俺は今日も学校へ向かう。そこに俺の意思はない。


校門をくぐると、一面の桜の木が出迎えてくれる。まあ、今は夏なので一面の緑だが。

入学式の時期には一面の桜が広がるのでとても見応えがあったりする。

学校の詳しい説明は省くが、基本的な校舎だ。

違うことといったら、総面積がとても広いことだろう。

射撃訓練やランニングをするときに、狭いとできないためだ。

あと、特筆すべきことはない。強いて言うなら海がすぐ近くにあることだろう。

…あ、俺たち学生は基本的には、全員寮に入っている。

それぐらいだな。


そんな事を考えながら昇降口に入り、靴を履き替える。そしてそのまま階段を上る。

俺は3年なので二階だ。

教室に入ると大体のクラスメートが揃っていた。時計を見てみれば、始業5分前だ。

この学校は規律がとても厳しい。

遅刻なんてしたらキツイ罰が待っている。

だから、この時間…始業5分前には基本的に全員揃っている。

俺の席は窓側の一番後ろ。

窓から外を見れば、視界いっぱいに海が広がる。

窓を開けてみれば、潮風が頬をなでる。

潮の匂いがかすかに香る。

この学校で俺が一番好きなものだ。


ふと、何気なく教室を見回してみる。

…、やっぱり見慣れた顔だ。特に何かがあるわけでもない。

いや、一人だけ。そう、一人の女子に目が止まった。

彼女は…そう、一時期学校中で話題になった奴じゃないか。







物語は始まる。主人公の目に止まった女子とは…?

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