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  迷宮異種格闘技です ~神はヴェルさんに何をした?~

『さ、さあ始まります第二試合、解説は、ま、負け犬レイルさんでお送りします』

『誰が負け犬だっ!! 負けたけど、そりゃねぇだろマイア・・・・・』

『あたしに言わないで・・・カンペを渡した【ゴブ】に言って・・・・』

『・・・・・カンペって、ちょいと見せて見ろ・・・・・・マジで書いてやがる・・・・』

『さて・・・次の挑戦者は姉さ・・セラ選手ですが、どう云った試合が予想されますか? 咬ませ犬のレイルさん・・・睨まないでよ・・・カンペに書いてあるんだから・・・』

『何か俺に恨みでもあんのか、この迷宮?』


 試合前のトークはグダグダで始まる。

 流石のレイルも、負け犬だの咬ませ犬だの言われれば腹も立つのは当然か・・・・

 だが負けた手前強く言える訳でも無く、不機嫌に為るだけで当り散らさない分マシな人間だと云える。

 行き成りプロレスをしろと云われても無茶な話であり、格闘家と云う訳でも無いので対処の仕様も無かった。不幸とは続く時には、トコトンしつこく付き纏うのである。


『この試合、ね、セラ選手と王者【タイガー・マッスル】となりますが、【タイガー・マッスル】は先程試合をしているので不利に思われますが・・・』

『セラとの決定的な差は体格差だろうな、【タイガー・マッスル】は長身の上に筋肉の付き方も格闘に向いたものだ。小柄なセラでは全てに置いて不利とも言えるが・・・・あいつ何するか分からんから・・』

『ありがとうございます、流石何も出来ずに敗北した咬ませ犬さんですね』

『・・・・・マイア・・ひょっとして俺の事毛嫌いしてないか?』

『気のせいよ・・・単に興味が無いだけだから・・・・両者準備が整ったようです』

『如何でも良いが・・・実況に慣れて来てないか?』



 セラと【タイガー・マッスル】が、リング中央で互いに火花を散らす。

 先程までの紳士的な【タイガー】では無く、何処か獰猛な気配を漂う闘志が見え隠れしている。対してセラも表情が凍り付いたかのような無表情であり、静謐な中にも怖気を感じるような冷徹な印象が感じられていた。まるで普段のセラでは無い別人のような印象に、フィオ達も応援席で固唾を呑んで見守る事しか出来ないでいた。

【アムナグア】と戦っていた時とも違う本能すらも凍てつかせる様な気配に、【タイガー・マッスル】も警戒しているのだろう。それと同時に闘志むき出しの獣が、今目覚めようとしていた。

 恐らく【タイガー・マッスル】は、セラを強敵とみているのであろう、矢張りレイルは咬ませ犬だった。


 カ―――――――――――ン!!


 ゴングが鳴るや【タイガー・マッスル】はその体格差にものをいわせ、セラを捕らえようと走り出し、対するセラは構えを取ったまま静かに迎え撃つ様である。

【タイガー・マッスル】の太い腕がセラを捕らえようとした時、その巨体がまるで浮かび上がるかのように宙に舞い、マットに叩き付けられた。

 更に追い討ちとばかりに、セラの掌底が鳩尾に叩き込まれる。

 だが組み合う事はせず、瞬時に間合いを取り再び構えを見せていた。

【合気術】である。

 相手の勢いを殺さず僅かな動きで力の流れを逸らし、その流れすら利用し投げ飛ばしたのだ。

 これにはレイル達も驚愕していた。

 明らかな体格差をモノともせず、その巨体をいとも簡単に投げ飛ばした技量は恐るべきものが有る。

 桁外れに強い事は周知の事実ではあったが、まさか格闘センスも持ち合わせているなど誰が予想できたであろうか、リングの上は静と動の戦いと為っていた。


『意外な展開に為りました、姉さ・・セラ選手予想に反して真っ向から迎え撃っています。負け犬レイルさん、体格差があまり意味が無いようですが?』

『やっぱり俺の事嫌っているだろ・・・信じられねぇ事だがセラの奴、格闘技術を持っていたようだな。しかも相手の力を利用する対人戦の技術だ。どこまで常識外れなんだ? アイツ』

『レイルさんの予想を超えた状況に為っていますが?』

『それについては否定はしない、体格差はある意味だ武器に為るが、逆に小柄な体型も武器に為ると云う事か・・・・・しかしあんな戦い方観た事ないぞ? 何処で覚えたんだ・・・』

『さすがは姉さん・・・・・素敵です・・・・』

『アレは人間相手の技だが、弱点もあるな』

『弱点ですか? それはいったい・・・・・』

『攻撃力が無い、一撃の威力が弱過ぎる。長期戦は免れないと思うが・・・・・』

『・・・・・成程、ありがとうございます』


 果敢に攻めていた【タイガー・マッスル】は、セラの戦い方から何かを掴んだのか、距離を置き待ちの姿勢を取り始めた。自分から動かずに相手の動きを見極め迎撃する積もりなのであろう。

 セラも攻めようとはせずに動きを止め、間合いのギリギリまで詰め様子を窺う。

 攻めれば迎撃されると判り、逆に守りを固めて来たのである。


「動かなくなっちゃいましたね」

「動かないんじゃないわ、動けないのよ」

「セラさんは小柄なため捕まえられたら致命的、対する【タイガーさん】も下手に動けば返り討ちに合います。これは長期戦に為るのが避けられないですね・・・」

「セラさん・・・・」

「大丈夫よ、あの子非常識なんだから・・・・・たぶん・・・」

「・・・セラさんもこうなる事は想定していると思います・・・後はどう出るかですね・・・」


 だが先に動いたのは予想に反して、セラであった。

 まるで野を歩くが如く力を抜き、静かに歩きながら【タイガー・マッスル】に近づいて行く。

 目の前まで来たセラを捕らえようと【タイガー・マッスル】が手を出した瞬間、セラの躰がブレたような錯覚を覚える。だが、次に見た物はセラが既に右側に移動し、腕を突き出していた。

 巨体が有り得ない程の威力で飛ばされ、ロープで戻ってきた所を投げ倒し掌底を撃ち込まれ続ける。

 何が起きたのかは誰も分からなかったであろう。

 掴まれる瞬間にまでにセラは緩急を付けた動きで幻惑していたのである。

 そして掴まれそうになった時、速度を上げ右側面に回り込み腰の捻りと体重、更に速度を乗せた痛烈な一撃を加えたのである。動きに惑わされていた【タイガー・マッスル】は、捕えられると判断し力を入れた時、瞬時に回り込まれた一撃で感覚が麻痺、強烈な一撃を受け、込めた己の力で自ら飛んだのだった。

 これも錯覚なのだが、受けた者は強烈な一撃で吹き飛んだと思うだろう。

 無論、見ていた観客もそう思うに違いない。

 虚を実とし、実を虚とする【古流武術】の戦い方である。


『嘘だろ、タイガーが吹き飛んだぞ・・・・・』

『・・・・・体重差もかなりあると思うんだけど・・・姉さん、凄い・・・』

「どんだけチ-トなのよ、あの子・・・・・」

「うわぁ~~~~!! 凄いですセラさん!!」

「・・・一瞬ブレた様に見えましたが・・・・アレは何でしょうか・・・」


 レイルが言う様に、セラは一撃で致命傷を与える技を持ってはいない、だがそれを手数で補い確実に【タイガー・マッスル】を追い詰めていった。

 掌底での攻め方は、確実に相手の体内にダメージを蓄積させるために在る。

 迷宮の魔物にこの戦法が通用するかは疑問だが、人型である以上攻撃の仕方は変わらず、相手を投げ時には動きを封じ、的確に弱らせて行く技が多かった。

 元々体格が小柄のセラは、打撃よりも素早さや一撃の的確さでしか対応できないのである。

 その為無駄な攻撃は極力避け、確実な好機が訪れるまで攻める事は無い。

 まるで舞踊でも舞うかの如く、その動きは美しく苛烈であった。

【タイガー・マッスル】も果敢に攻めようとしている様だが、いなされ巻き込まれては投げられ、攻める要素が見つからないようだ。レスラーと武術では相性が最悪な位に悪い、何分上半身も裸なのだから筋肉の動きが丸分かりであり、動きを読まれては攻撃を受ける羽目に為る。対してセラは巫女装束、着物と袴は動きを相手に読まれ難く、確実に有利そうには見えるが、反面掴まれたら逃れる事は叶わない。

 これは力と技の勝負である。

現時点ではセラが有利に思われたが、【タイガー・マッスル】の蹴りがセラを初めて捕えた。

 小柄のセラはロープまで飛ばされ、反動で帰るセラにラリアットを見舞う。

 其れを屈み込んで避け、何とかダメージを負わないよう距離を取った。


『・・・・・ヴェルさん、コイツ何か強く為ってない?』

『・・・・・まさか、アレかのう・・・某超人の・・・・・』

『・・・・・アレか・・・必殺技を使わないと思えば・・・癪だから【バーサーク】としておこう』

『そうじゃの、色々問題が出るのじゃ・・・著作権とか、著作権とか、裁判とか・・・・・』

『・・・・何故に著作権を二回も・・・他にもあると思うよ?』

『我はあのアニメが好きなのじゃ、特にお付きのチビ助がバラバラにされて以降の話が・・・』

『・・・・・ピラミッドの方じゃないんだね・・・・何でヴェルさんが知ってるのさ?』

『あ奴が徹夜で見ておった・・・LⅮでじゃがの・・・・』

『いまどきBLⅮじゃないのっ!? 何て懐古趣味っ!!』

『〇ラタックも見ておったのう・・・・・』

『知らねぇ~~~~~っ!!』

『あと、レ〇リオンもじゃ!!』

『もっと、知らねぇ~~~~~~~っ!!』

『更に、のらくろもじゃが・・・・・』

『何で在るのっ!?』

『奴が自作しおった、アフレコは一人でやったとか・・・そう云えば、ク〇ィーミー〇ミは神じゃと言っておったのう・・・』

『・・・・・神が?・・・・・僕たちの世界・・・大丈夫なの?』

『某魔法少女は、新旧どちらも死ぬのがいただけんとも言っておったのう・・・・我的には〇ーガスが一番じゃが・・・あれ、台詞回しが今の時代では禁止されそうじゃの? 倫理的に・・・』

『〇ス〇ーダは? 〇クロスは? どうなのさ?』

『プラモのバランスが悪いのじゃ・・・・・変形せぬし、再設計をお勧めするのじゃ!!』

『昔のだからねぇ~~~、再販しないんじゃないかな・・・・へブシッ!?』

『オゴニョッ!?』


 アホな事を話している間に、【タイガー・マッスル】のドロップキックをまともに受けてしまった。

 再びロープ際まで吹き飛ばされるも、何とか体勢を維持する事が出来た。

 注意一秒怪我一生である、戦いの最中に何とのんきな事か・・・・・・


『・・・・・そろそろ始末を着けようと思うんだけど・・・』

『ふむ、出来るのかの?』

『布石は上々、後は仕上げを御覧じろ。こいつを潰すよっ!!』

『これは見物じゃのう、思いっ切りやると良いっ!!』

『うっしっ!!』

『同でも良いことじゃが、〇らの〇との多脚戦車、プラモ化せぬかのう・・・・』

『カッコいいよねっ、アレっ!!』

『うむ、アレは欲しいのじゃ!! 〇ンバルカンロボはプラモ化しておったのに・・・・・』

『それは知らねぇ~~~~~~~っ!!』


 余裕綽々な会話を弾ませつつ、セラは【タイガー・マッスル】に接近戦を仕掛けた。

 流水の動きで攻撃を避けながら、その機会をうかがっている。

どうも寝技に持ち込む気の様だが、筋肉隆々の男性型モンスターに寝技に掛けられるのは、何か危険な気がした。邪な方の意味でだが、セラにとっては悍ましい技である。

 見た目が美少女なだけに、その意味合いは結構ヤバイ。

 下手すると放映禁止ギリギリまでの状況に陥るかもしれない、それだけは何が何でも避けたかった。

 その前に何とか始末をつける積もりなのである。


『のう、セラよ』

『なに? ヴェルさん、今忙しいんだけど・・・・ッ!!』

『〇イガ―〇スクの敵役、ミ〇ター〇Oなのじゃが・・・頭の上に鉄球を入れて首を痛めぬのかのう?』

『それ、今言う事っ!? ていうか、なんで知ってるのさっ!?』

『ローカルで再放送をみたのじゃ、〇イム〇カンシリーズで、悪役が出撃する際に部品を落としていくシーンが有るのじゃが・・・・・アレは要らないパーツなのかのう? 其れとも欠陥品での出撃? 最後に負けておるのは奴らが馬鹿なだけと思うのじゃが・・・・・アレの所為で負けたのかのう?』

『知らねぇよっ!? そもそも、ヤ〇〇ーマンしか観た事無いんだけどっ!?』

『それは実写版かのう・・・・・キ〇〇〇―ンは良く分からぬかったが・・・・・その内ポ〇マーもやりそうじゃのう。ガ〇〇ャマンも作りおったし・・・・・・』

『何でそんなに詳しいのっ!? 凄い気に為るぅ!!』

『科学〇法〇の鳥は欠陥技じゃと思うのじゃがどう思う? アレを見ておるとテ〇クレス〇ーを思い出すのじゃが・・・・・機体が燃え上がるのなら耐熱処理をすればよいのじゃ!! 〇ンダムだって大気圏突入をやり遂げたのじゃぞ? おかしいではないかっ!!』

『まさかのゲームネタ、キタ――――――――――――ッ!! 僕に聞かれても困るんだけどっ!!』

『まさか最近の配管工が〇ンツに乗っておるとは・・・・・儲かっておるのじゃな・・・仕事不足じゃと云うのに羨ましい事じゃて』

『そうだねぇ~~~~・・・・・』

『〇の紋章の〇ミュウ将軍なのじゃが、戦場で散った筈なのに何故か海に流されて、よくサメに喰われなかったのう。記憶を無くして他の女とデキておるし、イケメンは得じゃの・・・・・元カノの旦那はヤサグレて悪の道に走りおるのも当然じゃて、三姉妹は何と報告したのかが気に為る所じゃ!!』

『アンタ何者!? メッチャ詳し過ぎっ!! 僕の居た世界で何してたのさっ!!』

『・・・・・回復役が少なくて序盤難儀したのじゃ・・・戦略間違うと苦労したし、何故か回復役に集中攻撃されるのじゃ・・・・・無尽蔵に敵兵が出て来るのは卑怯じゃ!! 〇ウガバトルを見習うのじゃ!! 自分のユニットのカルマ値が何故か上昇しやすいのじゃが・・・・・・』

『・・・・・遊んでたんだ・・・・ゲーム迄して・・・・・アニメも見て・・・・・』

『・・・・・・・・』

『・・・・・・・何か言えや、コラッ!!』

『『アベシッ!!』』


 戦いの最中と云う事を忘れたセラは、【タイガー・マッスル】に右ストレートを喰らってしまう。

 流石に大ダメージで、これ以上攻撃を受けるは得策では無い、しかし集中している時に限ってヴェルさんのオタクな会話が邪魔をしてくる。

 攻撃を受ければ仲良く痛み分けな事が頭から抜け落ちていた。


「ヴェルさん・・・この機に乗じて僕を葬ろうなんて考えていないよね?」

『そ、そんな訳無いのじゃ!! お主に何かが有れば、我も無事では済まぬのじゃ!!』

「・・・・・ならいいんだけど・・・」

『疑われておるのじゃ!! 我はそんな事はせぬのじゃああああああああああああっ!!』

「・・・・・・・」


 大事な局面なのに、集中が必要な時にヴェルさんが余計な茶々を入れて来る。

 セラが疑惑の目を向けるのも当然の事であった。

 何とか弁明しようにも、状況がそれを許してくれない。

 しかもダメージを受けてしまっている、余計な事に意識を裂いている時間が無かった。



『何か・・・先程より動きのキレが悪いな・・・・・』

『ヴェルさんと言っていたけど・・・・・まさか戦いの最中に気の散る様な事を言ったの?』

『在り得るな・・・何せ、かなり茶目っ気が強いからな、ヴェルグガゼル・・・・・』

「セラさぁ――――――んっ!! 頑張ってくださぁ―――――――いっ!!」

「何やってんのよアンタっ!! もっと早く動けるでしょ、気合入れなさいっ!!」

「あ、あの・・・・・がんばって・・・・・」

「ミシェルっ、声が小さいっ!!」

「ひゃいぃっ!!」 


 温かな応援を受け、セラは一か八かの賭けに出た。

 真正面から堂々と仕掛けに出たのだ、狙うは鳩尾、【タイガー・マッスル】が迎え撃つ。

【タイガー・マッスル】のジャブを紙一重で交わし、懐の内に入り込み、左肘を右手で固定して鳩尾に叩き込む。小柄なセラの攻撃は致命傷にはならない、誰もがそう思われた時、【タイガー・マッスル】が吐血した。しかも緑色した、粘り気のある血液だった。

 セラは何も無意味な攻撃をしていた訳では無かった、威力では落ちても確実に体内にダメージが重なる様に、少しずつ急所に違和感が無いように破壊していたのである。

 最後の鳩尾の攻撃で、仕掛けられたダメージが連鎖的に許容範囲を超え、決定的な致命傷に至らしめたのだ。

 完全に人間を殺すための技である。


「瀬良紅月流影技、【伏竜死連撃】・・・・巧くいったぁ~~~~っ」

『・・・・・・えげつない技じゃな・・・人殺しの技じゃぞ?』

「これから・・・・殺すんだけどねっ!!」


 すかさず【タイガー・マッスル】の首に、勢いを付け絡みつくようにしがみ付き、刹那の瞬間に体を捻り、勢いの反動を利用して首を圧し折る。


 ――――ゴキャッ!!


 嫌な音がリングの上に響く。

 あらぬ方向に首が回った【タイガー・マッスル】が、リングの上に沈んだ。

 ゆっくりと崩れ落ち、やがて塵と為って消えて行った・・・・・


『タイガー――――――――つ!! ヒデェよセラっ、其処までする必要があるのかっ!!』

「・・・・・エゲツない・・・・アンタ酷過ぎ・・・・・」

『・・・・・姉さん・・・・流石にこれは弁護できませんよ・・・・・』

「ふぁああああああああああああああああぁん!!」

「怖い物を見てしまいましたね、フィオさん、落ち着いて・・・・・」

「あれぇ~~~~~~~っ!? 何でぇ~~~~~~っ!?」


 一生懸命に戦った筈なのに、なぜか報われないセラ、全力で挑んだのに非難が殺到する。


「もう少し遣り様が有ったんじゃないの? 何なのよ、あのエゲツない技はっ!!」

「祖父から教えて貰ったんですけど・・・・・一子相伝の武術・・・・レイルさんが負けちゃいましたし、僕が勝たないといけなくなりましたから・・・・・」

「俺の所為っ!?」

「一子相伝て、姉さんの御実家、武闘家なんですか?」

「そう云う訳じゃ無いけど・・・・・・」


 セラこと【瀬良優樹】は、物心ついてから中学生の間、祖父から厳し鍛錬を仕込まれていた。

 多感な時期に遊ぶ事すら許されず、修行三昧の寂しい時期を送っていたのだが、祖父が老衰で他界した後に状況は一変、今まで出来なかった物に全力で挑み、見事引き籠りのゲーマーに転職を果たしたのである。だが、幼少から叩き込まれた習慣は消える事は無く、今も修練に励んでいたりする。

 此処まで来ると呪いにしか思えなかったが、【優樹】は引きこもり生活を満喫していた。

 まさか、異世界でこの武術を使うとは思わなかったであろう。

 何が役に立つかは分からないモノである。

 しかし、この技は【瀬良優樹】自身の物で、後付けされた今の自分は偽物であり、チートとは関係ない事が妙に嬉しかった。

 まぁ、非難の的にされているのだが・・・・・




 戦いも終わり、ボスエリアの視界が一時的に霞がかり、視界が晴れた時には白いマットのジャングルや、観客席などが綺麗サッパリ消えていた。

 石造のギリシャ風建築の様な、セラ達にはお馴染みの部屋である。

 所々に彫刻が飾られており、中央には下層に降りる為の階段が姿を見せていた。


「・・・・・俺、この迷宮嫌いだな・・・・」

「僕も狩りがしたいですよ・・・・・」

「依頼が無いんだからしょうがないわよ、もう少しすれば商人たちの伝手で、依頼が来るように手配しているらしいわよ?」

「ヒュグ・・・・ングッ・・・うえぇえぇっ・・・」

「・・・・・大丈夫ですか? フィオさん、もう終わりましたからね?・・・・・」

「・・・・・アレは私も少しだけショックだったわ・・・・・」


 迷宮探索班の間には疲れた様相が見えていた。

 主に精神的になのだが、何とも遣る瀬無い空気が漂っている。

 

「・・・・・・帰りますか? こんな気分じゃ先に進む気にもなれないですよ・・・」

「だな、俺もそんな気分じゃねぇわ・・・・」

「・・・・・撤収ね、何だかんだで時間も経っているみたいだし」


 ミシェルは泣きじゃくるフィオを宥めて会話には参加してこない。

 マイアもそんな気には為れないのだろう、無言で溜息を吐いていた。

 彼等は重く感じる足で、来たエリアを疲れた表情で戻るのであった。



『時にセラよ・・・』

『なに? ヴェルさん・・・・』

『〇イジシステムは捨てられた女子の様じゃのう、ガ〇ダムと武器を作れば用無し。尽くして、貢いで、用が無くなればさようなら・・・・世知辛いのう・・・・』

『まだ引っ張るの? ヴェルさん・・・』

『うむ、ゲ〇ターの変形構造を考えると夜も眠れぬのじゃ』

『お願いだから眠ってね、僕が大変だから・・・・・・』


 帰る間もヴェルさんのアニメ評価は続いた。

 最強の竜種を此処までのオタクにした神を、いつか徹底的にフルボッコにすると誓うセラであった。

  

 アニメに関して、何か間違いが有れば教えてください。

 何分腐り果てた記憶なモノでして、色々間違っているかもしれません。

 ・・・・・多脚戦車・・・いいよねぇ?

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