表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/22

群青の歌とその手の温もり

 空気が気体ではなくなっていた。まるで、粘液質の液体のようだ。いつまでも、体にまとわりついてくる。光は見えない。私は深海にいるのだろうか。


 誰にも会いたくなかった。見られたくも無かった。一人で居たかった。どのように道を歩いたのか覚えていない。断片的な記憶はある。分かれ道では、できるだけ細い道を、もしくは踏みならされていない道を選んだ。幾度か転んだはずだ。休憩はとっていない。喉が渇いたため、川の水を飲んだ気がする。視界は常にぼやけていた。


 この大陸へ辿り着いた時点で、私は全てを失っていた。何かに対する自負や執着もなかった。分かっていたはずだった。それなのに、広場の前で、精神の支柱を砕かれたような気がした。少年たちを救おうとしなかったからだろうか。傍観者へ成り下がったからだろうか。それとも、悲しい視線を浴びたからだろうか。


 なぜ、強烈な絶望を感じるのだろう。精神の深海には、同じような絶望が幾つも沈んでいた。剣の道は捨てたと納得しながらも、頭のどこかで剣技に対する自信を持っていたというのか。精神的な脆弱さを嫌というほど認識しておきながら、無様な傍観者と成り下がりながら、それでも、心のどこかで肉体的な強さを当てにしていたのだろうか。


 私という人間が分からなかった。歩きながら空を見上げた記憶はある。空は、いつ見ても、くすんだ色をしていた。


 もしかすると、ただ純粋に、あの男に敗北して悔しかったのだろうか。


 戦場や剣術大会でもなければ、稽古場でもない。山の中で偶然出会った見知らぬ男に負けた。完膚なき敗北であり、二度も殺された。一度目は、存在に気づくことすらできずに背後から斬られた。二度目は、向かい合った直後にナイフを跳ね上げられ、顎から脳までを貫かれた。私は、衰弱から回復したばかりだ。体調は万全ではない。当然の結果だ。いや、違う。死んだ人間に言い訳は許されない。分かっている、万全の状態で戦場に臨める機会は多くない。戦士は、与えられた状況で最善を尽くすしかないのだ。


 前に歩いていたはずだが、下へと更に落ちていくようだった。底は見えない。どこまでも落ちていく。




 どれほどの時間が経過したのだろう。気が付くと、地面の感触が変わっていた。思考が止まっていたのだろうか。まるで、歩きながら、気を失っていたかのようだ。砂浜を歩いていた。視界は薄暗い。水平線の先に見える太陽が沈み始めている。汗で濡れていたはずのシャツは乾き、所々、白い粉のようなものが付着していた。


 足が重かった。引きずるようにしか歩けない。


 疲労を意識するべきではなかったことに気づいた。体力は、とうに限界を超えていたのだ。絶望の泥沼から顔を上げて下半身の状態を考え始めた途端、膝や足首の関節が痛みだした。構わずに歩き続けたが、痛みが酷くなり、脚全体に力が入らなくなった。骨が薄くなり、脚の大部分が空洞になったかのように頼りない。痛む箇所を庇うようにして歩くと、別の箇所が痛み始める。ぎこちない足取りになった。精神同様に情けない姿だ。


 ついに、下半身の全筋肉と全関節が激しい悲鳴をあげ始めた。病み上がりにもかかわらず、無理をしたせいだ。いっそのこと、毀れてしまえばいい。そう感じたが、すぐに心が挫けた。私は弱い人間だ。何をしても、うまくいかない。歩くことにも意味は無いのだ。


 砂に足を取られ、抗わずに転んだ。やめよう。向かうべき場所などない。立ち上がらず、砂浜に座り込んだ。


 目の前には、大海が広がっている。何気なく、後ろを振り向くと崖があった。見覚えのある風景だ。私は、小舟で辿り着いた場所へ戻っていた。


 水平線が淡い臙脂色に燃え、空には黒い幕が下りている。夕方と夜の境界線だ。たちの悪い冗談のようだが、あれほど苦しんだ波の音が、どこか懐かしかった。私はこの波に流され、大海原を彷徨った末に、名前も知らない大地へと辿り着いた。瞳が濡れ、視界が歪む。


 ずっと、同じことの繰り返しだ。私の精神状態は、螺旋を描いている。刺激を受ければ不安定になって現実から逃げ出し、螺旋階段を転げ落ちる。底まで落ちると、遠い過去の世界と妄想に浸りながら、自らを騙すようにして精神を安定させる。その後、ようやく立ち上がり、長い時間をかけてゆっくりと階段を登ろうとするが、結局は現実に耐え切れず、また螺旋を落ちる。成長もなければ、変化も無い。同じ場所に佇んでいるようなものだ。何もかもが無意味だ。


 自分が自分であることに、堪らなく嫌気がした。


 太陽が沈んでいく。落日は、朝焼けと比較して圧倒的に力が無い。闇に吸収されるように消えるからだろうか。それとも、滅び行く国家に喩えられるようなイメージが頭のどこかにあるからだろうか。


 内にも外にも闇が広がった。なぜ、こんな土地に辿り着いてしまったのだろう。ここへ辿り着いたときの予感は正しかった。私には、希望の無い未来しか待っていてくれなかった。上半身を倒して、仰向けに転がった。私の存在が許される場所など、どこにも無いのだ。生きる意味もない。それでも、臆病な私は、自ら命を絶てなかった。幾度となくあった機会を全て見過ごしてしまった。


 無謀な考えが浮かんだ。どこにも居場所がないのなら、いっそのことバルガルディアへ戻る術を本気で探してみようか。できないことは分かっている。どうやって、この大地へ辿り着いたのかすら知らないのだ。舟や海流に関する知識も無い。知り合いもいなければ、金もない。


 砂粒が付着した両手を見つめ、あるはずのない答えを強引に探した。私が心の底から望むのは、バルガルディアへの帰還だ。今までのように、現実から逃げ、自分を誤魔化すように呼吸を続けても、精神に構築された螺旋階段を登りきることはない。ならば、全てを失った祖国を目指し、たとえ一歩でもそこへ近づくために努力をする。その過程で息絶えるのであれば、今の状態を続けるよりも、よほど幸せだ。


 この道しかない。何とかして金を蓄え、舟を手に入れよう。小舟でもいい。その日までに、航海に必要な知識や技術を習得する。全ての準備が整ったら、海へ出よう。誰もが反対し、正気ではないと首を横に振るかもしれない。それでも、私は私を信じる。精神的な逆流にも乗って深淵を飛び出し、バルガルディア大陸を目指すのだ。


 目的さえあれば、呼吸を続ける意味も、明日へと向かう必要性も見つかる。落ちるのでも、立ち止まるのでもなく、前に進むことができる。


 疲労がまぶたを重くしていた。短絡的な結論だが、やるべきことは決めた。今は、泥のように眠って疲れを癒そう。目を覚ましたあとは、どんなことでもいい。はじめの一歩を踏み出してみせる。


 欲求に抗わず、眠りを受け入れながら祈った。祖国へ帰ろうとする想い自体が、現実からの逃避で無いことを。この想いが妄想であり、目が覚めた私にとって馬鹿馬鹿しい考えであれば、私はもう何処へも行けない。永久に精神の螺旋階段を登っては転げ落ちるしかない。



 

 下半身の痛みで目が覚めた。筋肉痛だ。


 視界の先には、夜空が広がっていた。満天の星空だ。舟の上で飽きるほど眺めたはずだが、悪くない光景だった。幾万の光が今にも闇色の弓から放たれ、私と世界を撃つ流星群となって落下する。まどろみの中に幻がみえた。


 鼻から空気を吸った。熱を帯びていない。胸を満たした暗い感情は薄くなっている。安心した。祖国へ戻るという意志も消えていない。


 首を回して海を見た。波の音は聞こえるが、空と海の境界線は見えない。


 私は一人だった。一人で星々の光を独占していた。海も空も広い。私に見えるのは水平線までだが、どちらもその向こう側まで広がっている。茫漠たる世界に佇む私は、たしかに取るに足らない存在だ。しかし、私だけにあてはまるわけではない。人間そのものがちっぽけなのだ。


 そう、誰もが何かしらの悩みを持っている。当たり前のことに気が付いた。なぜ、こんなことを思いついたのか分からない。全身で汗をかき、体力が尽きるまで身体を動かしたのがよかったのだろうか。

眠気を感じ、再び、抗わずに受け入れた。


 浅い眠りに落ちたのかも知れない。身体は動かないが、意識はあった。夜空ではないものが見える。昼間の光景だ。圧倒的な存在感。俊敏な動作。顎の下で止まったナイフ。感覚も蘇った。私は、金髪の男と対峙していた。この男が優れた戦士であることは間違いない。どうすれば、この男と渡り合える。動きは目で追えるが、男の動きに身体がついていかない。素早い動きを封じるために、先手を取るべきだ。主導権を奪われてしまえば、勝負にならない。頭の中で、昼間の男と何度も立ち合った。




 目を開いたとき、はじめは色に見えた。視線の先には、夜空があったはずだ。しかし、見えたのは、漆黒の濃さを保ちつつ、鮮やかに群青へ変わるグラデーションだった。質量も意志も持たないはずの闇が、自己の存在を主張しているように感じた。


 しばらくして、ようやくそれが歌声だと気付いた。闇に溶けて一体となっていた低い歌声が、浮き上がるように高い響きへ変わったからだ。


 聴いたことのない唄だった。女性の声だが、全てを許容して優しく包み込むような静かな唄ではない。うまく表現できないが、強く深く扇情的に心が揺さぶられる。否応なく惹きつけられてしまうが、旋律に緊張感があるため不安な気持ちにもなった。


 高音域へと辿り着いた歌声は、さらに高い音域へ向かった。空間を強く震わせていた豊かな響きは失われ、代わりに、煌くような透き通った音色へ変わっていく。夜空の星が輝きを増したように感じた。


 海の前に立つ女性は、水平線に向かって歌っていた。雲に隠れた月の淡い光が、女性の身体をしなやかな線として縁どっている。私は上半身を起こした。


 伸びやかな声と静かな波の音。漆黒の海と輝く星空。全身を黒と群青のベールで覆われた女性。聴覚と視覚を刺激する全てが幻想的だった。


 歌声に浸っていた。いや、満たされていた。感情豊かな調べに乗って紡がれる言葉の意味は判らない。頭の中に浮かぶ情景もない。それでも、声の響きに酔っていた。頭の中へ、澄んだ藍色の液体が注がれていく。不思議な感覚だった。同じ旋律が、緩やかな周期で繰り返される。女性は、同じ唄を繰り返し歌っているようだ。もしかすると、旋律は同じでも言葉は違っているのかもしれない。


 やがて、女性は歌を終えた。こちらへ振り返る。私には身体の輪郭しか見えない。しかし、見えないはずの彼女の表情が見えた。いつもの笑顔を感じたのだ。


 「起きてしまいました? ごめんなさい。昔から、気持ちよく歌っていると、いつのまにか大声になってしまうんです」


 話し声はいつもの声だ。歌声は、普段の声とあまりにも違う。実際に話しかけられるまでフィリスの姉だとは確信できなかった。幻想世界から帰ってきた、いや、緊張が解けたのだろう。彼女の話し声を聞いて、体が筋肉の悲鳴を思い出した。


 「フィリス、泣きながら探していましたよ。お兄ちゃんが迷子になってしまったって」


 「なぜ?」


 「分かりませんか? 寂しいからですよ」


 私の言葉が足らなかった。疑問に感じているのは、フィリスが私を探している理由では無い。しかし、寂しいという言葉が胸に響いた。少女の泣き顔も思い浮かぶ。


 「なぜ、私がここにいると分かったのですか?」


 「魔法を使いました」


 「えっ」


 「冗談です」


 表情は見えないが、微笑んでいるに違いない。


 「忘れ物です」


 言葉の意味が判らなかった。私は何も持っていない。精神的な「忘れ物」のことを言っているのだろうか。そうであったとしても同じだ。彼女は、私の過去も、今の私が抱えている絶望も知らない。


 「絵に描いたように、きょとんとされていますね。もしかして、忘れ物をされていることに気が付いていないんですか?」


 やはり、忘れ物が何を指すのか分からない。フィリスの姉は顎の下に右手を当て、首を傾げている。


 「ガルトーシュさんが言われてましたけど、あっ、知らないですね。ファラッシュさんを、この砂浜から家まで運んでくれたシトカ警備隊の隊長さんです。本職はシトカで一番腕のいい漁師さんで力も強いのですが、あなたが見た目以上に重いので、運ぶのが大変だったと言われていました」


 彼女は、小さく咳払いをしいた。


 「体の線は細く見えるが、痩せているんじゃない。筋肉質で、全身が引き締まってる。肩幅も広い。この兄ちゃん、傭兵に違いない。漁師じゃこんな筋肉の付き方はしない、とのことです」


 口真似……のようだった。しかし、私はガルトーシュに会ったことがない。似ているのかどうか分からなかった。逆光のため、私の表情は彼女に見えてしまう。間違いなく、困惑した表情を見せつけているのだろう。


 「あれっ、まだ、思い出しませんか? では、ヒントをあげましょう。ヒントその一、傭兵さんが持っているもの。ヒントその二、忘れ物は舟の中にありました。ヒントその三、その忘れ物には、独特な模様が施されていました。ファラッシュさんにとって、特別なものではないのですか?」


 ようやく、思いついた。確かに特別で大事なものだった。


 「剣、ですか」


 「正解です」


 完全に忘れていた。私は、自分がそう望んだように、騎士から遠い存在になってしまったのだろう。


 フィリスの姉が頭を下げた。


 「ごめんなさい」


 「えっ」


 「叱られる前に、謝っておきます」


 「えっ?」


 「なんとなくですけど、もしかしたら、突然いなくなってしまうような気がしていたんです」


 言葉を返せなかった。彼女の予感は、見事に当たったのだ。


 「でも、どこかへ行かれるとしたら、その前に、剣を探されると思ったんです」


 「だから、この場所へ来たんですか?」


 彼女は、首を横に振った。


 「半分だけ当たっています。ここには、昼間に一度来ました。でも、あなたはいなかった。もう一度ここへ来たのは、この場所へ向かうあなたの後ろ姿を偶然見かけた人がいたからです」


 「その人が、私の存在をあなたに伝えたのですか。でも、その人は、どうやって、この場所へ向かう人間が私だと判別できたのですか?」


 この大陸に知り合いはいない。私を私だと判別できる人間は、彼女くらいしかいないはずだ。もしくは、あの金髪の男が知らせたのだろうか。


 「後ろ姿だから、あなただと分かったのです。実は、シャツの後ろに目印をつけていました」


 「目印?」


 「はい。突然いなくなっても、一度は家へ戻ってきてもらえるように、染料で文字を書いていたんです。“忘れ物はベッドの下”って」


 苦笑が浮かんだ。私を見かけた誰かは、私というよりも、背中に書かれた印象的な文字の方を記憶に残したのだろう。金髪の男に、寝坊助と呼ばれた理由も解った。


 「剣は、あなたがいつも寝ているベッドの下に置いています。あなたが剣を探せば、いずれ、背中のメッセージを読んだ誰かがあなたに伝えてくれると思っていました」


 「そうですか」


 「怒ってます?」


 言葉とは反対に、楽しんでいるようなキラキラとした声だ。私が怒ってないことを知っている。


 「なぜ、そうまでして、私に気をかけてくれるのです」


 正直な想いを、直接的な言葉にして投げかけた。昨日までの私にはできなかったことだ。


 「フィリスを助けてくれたじゃないですか」


 彼女は微笑んだ。表情は見えないが、間違いない。


 「私にとって、フィリスとファーンの二人は宝物です。あなたはフィリスを助けてくれました。あの日、フィリスを探して崖の上からこの砂浜を見下ろしたとき、生きた心地がしませんでした。でも、フィリスは、あなたの胸に抱きしめられていました。本当に、本当に心の底から安堵しました。今でも感謝しています。私たちにとって、あなたは掛け替えの無い命の恩人です」


 「あなたは勘違いをしている。あの高さから落ちる人間を崖下から救う方法は無い」


 「そうだとしても、いいじゃないですか。フィリスは、あなたが記憶を失くした魔法使いだと思っています」


 「ありえない」


 「私も、そう思います。でも、たとえ勘違いから始まったとしても、今はもう立派な家族です。何が立派なのか聞かれても困りますけど」


 「私は……」


 続く言葉は、頭の中にある。しかし、声にすることを躊躇った。私は、どこまでも臆病な人間だ。


 話し好きであるはずの彼女は、私の言葉を待った。


 二度深呼吸をして、勇気を振り絞った。


 「私は、ここに居ていいのでしょうか?」


 「もちろんです。それが家族ですよ」


 いつもの声だ。胸の裡に熱いものが込み上げた。正体はわからない。しかし、体は反応している。涙が溢れ出た。私は、絶望の果てで私の存在を許してくれる人に出会っていた。


 「私は、あなたたちのために何かができる人間ではない。何かを成し遂げることもできそうにない」


 少しだけ間があった。


 「それって、普通の人ってことですよね。それで、いいじゃないですか。今まで何をされていたのか知りませんけど、思い詰めて生きるだけが人生じゃないと思いますよ。もっと気楽に、毎日を楽しむ生き方もあるんじゃないかと思います。ほら、小さな幸せって、沢山あるじゃないですか」


 闇の中にもかかわらず、視野が広がった。今まで気付きもしなかった世界が見えそうな気がする。


 「たとえば、私の料理を食べて美味しいと言ってもらえると、私は小さな幸せを感じます。実は、料理には、結構自信があるんです」


 視界が滲み、星々の輝きが空全体でつながった。


 「私はかなり楽観的な性格だと思いますけど、家族がいて健康的に生活ができるのなら、それだけで充分に幸せです。ファラッシュさんにとっては少し物足りないかもしれませんけど。でも、たぶん、慣れますよ」


 今までの私には欠けらも無かった価値観だ。どこまでも自然体で、何事に対しても構えることが無い。能力で他人を選別することもなく、包み込むような優しさで目の前の人間を理解しようとする。そんな人生もあるのだろうか。私にもできるのだろうか。


 「さあ、帰りましょう。フィリスはもう寝ているでしょうけど、明日は覚悟してください。長いお説教が待っていますよ」


 ありがとう。


 思うだけで言葉にすることはできなかった。立ち上がりながら、差しだしてくれた彼女の手を握った。人を救うためには、神の存在も、卓越した剣技も、明晰な頭脳もいらないのかもしれない。家族や隣人、恋人に抱く優しさと思いやりを素直に表現することができれば、人は人を救うことができる。


 彼女の手のひらは、想像通りに温かだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ