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事の始まりを聞いてくれ

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VRMMOという、自分自身がキャラクターとして行動できるオンラインゲームがある。

そして最近、新しいゲームが出るらしい。

そのゲームは全VRMMOゲームの中で注目の作品らしい。

VRMMOというジャンルは、5年ほど前から出ていて、今では十数作品出ているらしいが、今作は全ての作品より抜きん出て素晴らしい…とは妹の話である。

そのVRMMOを俺は、プレイすることとなった。



今から5年前、俺が中学生3年生の時に両親が交通事故で死んでしまった。

ちょうどその日は、家族全員で車で出かけていた。

奇跡的に俺と妹は助かったが、その時の怪我で、妹は足が動かなくなってしまう。

幸い…とは言いたくないが、両親は自分自身に保険金を掛けていたので、当面の生活資金を手に入れた。

あと妹の怪我の治療費や両親が死んだことに対する慰謝料で、合計7億ほどの金を手に入れた。

多すぎると思ったが、相手側がかなりの大企業の息子らしく、裏事情で口封じを含めた金額らしい。

しかし金があっても俺達の心は癒されず、妹は足が動かない現実と両親が死んだ現実の両方に苛まれ、家に引きこもる様になった。

頼れる親戚も居なく、近所の人に助けられながらも、葬儀の手続きを進めた。

あまりの忙しさに、悲しむ暇もなく、妹を慰める事も出来ないまま、時間が経っていった。


妹との会話が無くなり始めたある日、妹が久しぶりにお願いをしてきた。


「姫華お兄ちゃん、お願いがあるの」


久しぶりの妹のお願いに有頂天になった俺は、即答した。


「なんだ命。お兄ちゃんが全て叶えてやろうっ」


ちなみに、俺は白百合姫華(しらゆりひめか)で、妹は白百合命(しらゆりみこと)である。

…俺の名前が女っぽい、いや女なのはほっとけ。

ていうか顏が女っぽいから、よく間違われるんだよな。

話が逸れたが、即答した訳だ。

そしたら妹が


「ありがとうっ。姫華お兄ちゃん大好きっ」


とか言って久しぶりに見せた笑顔+妹は美少女に抱きつかれてみろ。

俺はシスコンになった。

ちなみに妹はパソコンが欲しかったらしくて、周辺機器も買ってあげたりした。

…俺はこの時、妹がゲーム好きになるなんて思ってなかったからな。

そんで俺は、これからを考え始めた。


「これから、浪費していくのは嫌だな。そうだ、バイトを始めよう」


そう思った俺は、中学生でも出来るバイトを探した。

見つけたはいいが、給料の割に働かせる、力仕事ばかりだった。

それに、中学生でバイト出来る所は素行が悪い奴らが多く、暴力を振るわれたりもした。

…たまに俺にセクハラをしてくる奴らもいたが、俺は妹の為にも頑張ってきた。

その結果、何時の間にかバイト先のワル共の頂点に立っていた。

意味が分からない?俺もだよ。

経緯を話すと、バイト中の暴力は続き、さすがに我慢の限界が来てやり返してしまった。しかも、かなりの巨体であるボスに。

もともと空手を習っていたので、力仕事で筋肉が付いた結果か分からないが、鳩尾への一撃でボスを堕としてしまった。

そこからが運の尽き。

報復と撃退を繰り返し、俺はワル共の頂点に立っていたのだ!

…はぁ。


「何か…何か金になる事は無いか…。あいつらと付き合わずにやっていけて楽な仕事は…」


そう思った俺は妹のPCを借りて、色々検索した。

今思えば、俺は疲れていたのだろう。

色々探したが、全然見つからなかった。

少し冷静になってきたところで、ある会社を見つけた。


「VRソフト開発会社…?」


俺はなにか運命を感じた。リンクをクリックすると説明文が書かれていた。


「我らは、技術はあるが資金がない。技術があるなら資金援助もあるだろ、と思うだろうが、我らは

ハグれものの集まりであるからして資金援助がないのだ。3億あれば、世界を驚かせる発明をしてみせよう。

そして、3億の投資をしてくれたなら、貴方の家族全員の生活を約束しよう。…ねぇ」


何故か俺は、この話を信じてしまっていた。

いや、疑うことが出来るほどの精神状態ではなかったんだろう。

今読み返しても、胡散臭さしか感じない。

俺は疲れていたのだろう。二度目だが。


「うん。よし、3億投入っ」


俺は即座に住所などを記入して、3億円を投資した。

ちなみに妹には言ってない。失敗してたらどうしてたのだろう。


投資から1年経ち、とりあえず妹の様子を見た感想を言おう。


どうしてこうなった。


パソコンを買ってから、妹はMMOとかいうゲームにハマり、廃人プレイとかいうのをしている。

言動がオタクっぽくなり、綺麗な髪もボサボサだ。

しかし、こんな妹も可愛いっと思えるのは末期なのか。

それとも、美少女はどうやっても美少女だということか…、

とにかく、風呂は必ず入ることと、三食食べることを約束して、事なきを得た(俺の精神的ななにかが)


妹に約束させた数日後、俺の携帯にメールが来る。


「ん?あ、あの時の会社からだ…」


内容を見た俺は、驚愕した。


『貴方様の投資のお陰で、経営の立ち直しに成功しました。

そして、会社名を『ワールド』に改名したことをお知らせします。

本題に入りますと、私達の技術が世界に認められ、VRソフトランキングで世界第一位を獲得した事をお知らせします』


俺は妹に、事実確認をすると(勿論、俺との関係は伏せて)


「え、お兄ちゃんTVとか見ないのに、よくしってるね。私もワールド製のソフト使ってるよっ。それに、最近ワールドの技術が世界第一位に輝いたらしいねっ」


と、肯定する返答をしたので、信じざるを得ない。


さらに続きを読むと


『貴方へ三億の返還をし、これからの生活援助に付いて話し合わせて頂きたい。

貴方の自宅近くにある、×××ビルまで起こし下さい。

時間は、本日の8時からお願いします』


俺は一度深呼吸をする。そして叫んだ。


「キターーーーーーーーーー」


俺は妹に引いた目で見られるまで、はしゃぎ続けた。

その後口座をみると、確かに三億が振り込んであった。

テンションが上がっている俺の元へ、メールがくる。


「誰かなー…うげぇ」


メール相手は、ワル共のまとめ役だった。

なにやら会合を開くから来て欲しいらしい。

そう、俺は未だにワル共と縁を切れてない。というか、投資に失敗したと思ってたので、バイトを辞めてなかったのだ。

それ以外にも理由はいくつがあるが、一番は奴らがこの一年で変わった事にある。

俺はボスになってしまったので、奴らがやったことの責任が俺に来るのだ。

なので意識改革を始めた。

まず、周りに住んでいる街の人達に優しくすること。

これは徹底的にやらせて、暴力を振るってる奴らとかを粛清したり、治安維持にも努めた。

最初は嫌がっていたが、段々感謝されることに喜びを覚えて、率先してやるようになった。

一度、ワル共がお年寄りを助ける所を見たが、かなりシュールだった。

まぁ、それにより一層ボスを辞めれなくなり、良いやつが沢山いるのもあって、縁を切れないでいる。

会合に参加するというメールをワル共のまとめ役に送った。


会合が終わり、家に帰って来た俺は、夕飯を作っている。

そうしている間に、時間がきたので妹に出掛けてくるとだけ告げて、時間通りにビルへ行った。

ビルは、俺の自宅から徒歩で数分の場所にある。

そこで俺を待っていたのは…



「懐かしい夢を見たな」


どうやら、何時の間にか寝ていたみたいだ。

凝り固まった筋肉をほぐし、メールをチェックする。

すると、ワールドからメールがきていた。

どうやらビルへ来て欲しいようだ。


ビルに着いた俺は、顔見知りの受付に挨拶をして、関係者以外立ち入り禁止の部屋に入った。

そこで待っていたのは


「待ってたぜぇ…ボス」


チンピラと


「わぁ、姫ちんだっ。いらっしゃいっ」


幼女と


「ふむ、よく来たな。ところで、この試薬を使ってみてくれないか?」


マッドだった。


最初に会った時は、失礼しました、と出て行ってまいそうになった。

こいつらが、ワールドを作った奴らだ。

こいつらの名前は、上から


藤堂彰久(とうどうあきひさ)


御影瑠璃(みかげるり)


全知求(ぜんちもとむ)


である。

ちなみに全員23歳である。

…瑠璃は見た目が12歳なので今でも嘘だと思っているが。


そして驚きなのが、藤堂はワル共のまとめ役だった奴だ。

あの日に会合を開き、終わった後カラオケにいく話があったが急いで帰っていた。

俺も断り、その後ビルへ行ったわけだが、そこでまた藤堂と会い二人で驚いていた。

話を聞くと、経営難の時の生活費を稼ぐ為にバイトをやっていたらしく、藤堂も親が居ないらしい。

見た目と口調のせいか、誤解される事も多く、何時の間にかまとめ役になっていたらしい。

まぁ、こいつも俺に暴力を振っていた一人だが、ストッパーもこいつだったので、少しは感謝していた。

その時は知らなかったが、ワールドが軌道に乗り始めたからバイトを辞めたらしい。だが、まとめ役は続けてくれていた。

ちなみに、今はワル共が『PEACE』という団体をつくり、世界平和の為に頑張っているらしい。



ここで一応言うと、俺は20歳で妹は17。

妹は、中学から学校に通い出して、良い友達に巡り会えたようでそのまま高校へ進学した。


…話が逸れたが、この三人は高校生で会社を作り、今では世界第一位の技術をもつすごい奴らだということだ。


「んで、用事ってなに?」


俺は呼ばれた理由を単刀直入に聞く


「あぁ、この前新しくVRのオンラインゲーム作ってクローズドβ版配信したんだがよぉ、それが人気過ぎてなぁ。ゲーム買えなそうだからボスにやるよって話だ」


「ふーん。で、ゲームの名前は?」


「あぁ、名前h「ちょっと待ったぁ!私も言いたいっ。」あ?分かったよ」


「でね~。名前は『WorldOnline』略してwoだよっ。自由度がすごい高いんだよっ」


「そしてこれは私達の全てを注ぎ込んだと言っても過言ではないのだよっ。何処が素晴らしいかというと…」


瑠璃が名前を宣言した後マッドが語り出したので無視した。

あぁなったマッドは止められないのだ。

一応妹の分も貰っておく。


「あぁっと、俺に妹がいるんだが、そいつがオンラインゲーム廃人でな。妹の分も貰ってもいいか?」


「え、姫ちん妹居たの!?長い付き合いだけど始めて知ったよっ。ぶーぶーっ、なんで教えなかったんだよ~」


瑠璃がブーたれ始めたので無視した。

無視!?とか聞こえるが知らない。


「いいぜぇ、ちなみに俺らもやるからな」


ソフトを二つ渡しながら、彰久は言った。


「え、お前等やんの…?。妹と居る時は話しかけんなよ」


「なんでだよ」


「俺の可愛い妹に変態が移るだろ」


「…ボスの俺達に対する評価はよく分かった。表出ろ」


チンピラが怒ったので、謝りながら帰ることにした。

チンピラの舌打ちと瑠璃のばいば~いという間の抜けた声を聞きながら。

ちなみにマッドはまだ説明してた。


帰宅したら、妹が玄関で待っていた。

妹は車椅子に乗っているが、特に不自由な所はなさそうだ。

それもこれも、友達のおかげだろうと名も知らない友達に感謝した。

そんな妹はなにか言いたそうにしていたので、こちらから聞いてみる。


「命、どうした?なにか言いたそうだけど…?」


すると命は、モジモジしながらゆっくりと口を開いた。

モジモジしている時点で抱きつこうとしたなんてことはないぞ。


「あのね、お兄ちゃん。お兄ちゃんって何時も頑張ってるでしょ。だから最近遊べてないなぁって。だから、この前クローズドβ版をしに行ったゲームが出るんだけど、手に入れたら一緒にやらない?」


「やるっ。やふやるやる!命の為なら何だってするよっ。それで、なんて名前のゲームなんだい?」


はっ?即答したけどなにか。

あと頑張ってるってニートしてるだけじゃねぇか、とか思ってるかもしれないけど、平日はワールドで仕事してるからな。

生活費を出してくれるって言われたが、さすがにヒモは嫌だったので働かせて貰っている。

あいつらに色々仕込まれたから独立しても良いくらいの技術をゲットした。

ハッキングからソフト開発まで何でもござれだぜっ。

…おっと、妹の話を聞き逃してしまう。


「えーっと。woって名前なんだけど」


「はっはっは。woね。え…それってWorldOnlineってやつ?」


「え、うん。よく分かったね。もしかしてTVで見たの?」


「持ってるんだけど」


「えっ」


「えっ」


「あ、あはは。いくらお兄ちゃんでも嘘はいけないよ」


「これだろ?」


「違うよ~、これみたいにWorldOnline書いてあって派手な魔法と剣とモンスターが書いてないとって、ええええぇっ。なんで、なんで持ってるのっ!?」


「何でって、製作者に貰った」


「…こいつ、早くなんとかしないと…ていうかどんな関係なの!?うぅ、なんか複雑だよぉ。嬉しいけど、うぅぅ……」


なんか妹が落ち込んだみたいだが、結局喜んでるみたいだし良いか。


「でも明後日からじゃなきゃ出来ないらしいけどな」


「はぁ…。じゃあ明日はwoの予習をしよ。私がクローズドβやってるし、ネットにも情報あるからね」


「あぁ、よろしく頼むよ」


妹はため息を吐きながらも、俺に言った。

命可愛ぇぇぇぇぇぇぇっ。

なんて思ってないからなっ。




感想などお待ちしてます。



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