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社畜だった俺のスキルはガチャだけ。気づいたら最強になっていた  作者: 1315
第5章 「存在しないはずの魔法領域」
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第3話 静かな滞在と、試練の前触れ

第3話 静かな滞在と、試練の前触れ


アルシア族の集落の中での時間は、驚くほど静かに流れていた。


森の奥にあるはずなのに、ここだけ切り離されたような感覚がある。


風は吹いている。


葉も揺れている。


だが――音だけが遠い。


「……なんか、落ち着かないな」


レオがぽつりと呟いた。


周囲を見渡しながら、ゆっくりと言葉を続ける。


「静かすぎるっていうか……整いすぎてる感じがする」


エルナが小さく笑う。


「ここ、音を抑えてるからね」


「……音を?」


リリアが問い返す。


「はい。魔力の流れに合わせて、音も制御されているんだと思います」


「正解」


エルナが軽く頷く。


ユウトは何も言わない。


ただ、集落の中を見ていた。


人の気配はある。


だが、近づいてこない。


距離を測るように、こちらを見ている。


「……見られてるな」


リリアが静かに答える。


「はい。でも敵意はありません」



そのまま、数日が過ぎた。


何も起きない時間。


だが、それぞれが整えていた。


リリアは短剣の動きを研ぎ澄ませる。


レオは鉤爪の扱いを身体に馴染ませる。


エルナは目を閉じ、音を拾う。


ユウトは、それを見ていた。



夕方。


四人は自然と同じ場所に集まっていた。


火の揺らめき。


静かな空気。


その中で――少女が口を開く。


「……名前、まだ聞いてない」


ユウトが先に言う。


「ユウトだ」


リリアが続く。


「リリアです」


「エルナ」


「レオだ」


「ぴよ」


ヒヨコの鳴き声が、わずかに空気を揺らす。


少女は小さく頷く。


「……リーフ」


その名が、静かに落ちる。



少しの沈黙。


そして――


「ここに来た理由」


リーフの視線が、ユウトに向く。


「仲間を探してる」


リリアが続ける。


「連れ去られた人たちがいます」


エルナが補足する。


「黒いローブの連中」


レオが静かに言う。


「……あいつらか」


リーフは少しだけ目を細める。


「……奥に行けば、何か分かるかもしれない」


ユウトが聞く。


「どうすれば行ける」


リーフは一度、視線を外した。


そして――


「……試練を受ける」


その言葉が落ちる。


空気が、わずかに張り詰める。


リリアが小さく息を整える。


「試練……ですか」


リーフは頷く。


「ここから先は、誰でも入れる場所じゃない」


「認められた者だけ」


エルナが軽く言う。


「やっぱりそういうやつか」


レオは静かに言う。


「避けては通れないな」


ユウトは短く答える。


「受ける」


迷いはない。


その瞬間――


リーフが続けた。


「……でも、その前に」


ユウトが視線を向ける。


リーフは言う。


「王に会う」



「……王?」


レオがわずかに眉を動かす。


リリアも驚きを隠さない。


「この集落に、王がいるんですか」


エルナは納得したように呟く。


「なるほどね……だから外と切り離されてる」


リーフは歩き出す。


「試練は、勝手には受けられない」


「王の許可が必要」


ユウトは短く言う。


「案内できるか」


「できる」


それだけだった。



集落の奥へ進む。


空気が変わる。


さらに静かに。


さらに深く。


やがて、一つの大きな建物が見えてくる。


自然と一体化したような造り。


だが――確かな“中心”。


リーフが立ち止まる。


「……ここ」


振り返る。


「準備、いい?」


ユウトは答える。


「ああ」


リリアも頷く。


「はい」


レオも静かに言う。


「問題ない」


エルナが小さく笑う。


「面白くなってきたね」



リーフが扉に手をかける。


ゆっくりと開く。


その先に――


“王”がいる。


試練の前に。


まずは、その存在と向き合うことになる。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


静かな滞在から一転、物語は少しずつ動き出してきました。

試練の前に“王”と対面することになり、ここからさらに展開が大きく変わっていきます。


それぞれが準備してきたものが、どう試されるのか。

そして、この場所に隠された意味とは――。


引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。

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