第2話 魔力に満ちた集落
第2話 魔力に満ちた集落
目の前に広がっていたのは、今まで見ていた景色とはまるで違う場所だった。
淡く光る空気。
地面には、複雑な紋様が浮かび上がっている。
それはただの模様ではない。
“魔力そのもの”が形になっているようだった。
「……なんだよ、これ」
レオが思わず声を漏らす。
「地面が……光ってる?」
リリアが静かに答える。
「魔力が可視化されていますね……ここまでの濃度になると、自然にこうなることもあるんです」
エルナが小さく笑う。
「“なることもある”ってレベルじゃないけどね」
ユウトは何も言わず、周囲を見る。
建物が見える。
だが、それも普通ではない。
石でも木でもない。
半透明のような素材でできており、わずかに揺らいでいる。
「……家、だよね」
レオが不安そうに言う。
少女が答える。
「そう」
短く。
迷いのない返答。
そのまま歩き出す。
ユウトたちも続く。
⸻
集落の中に入る。
視線を感じる。
気づけば、周囲に人影があった。
いつの間にか現れていた。
淡い色の髪。
静かな瞳。
どの個体も、どこか現実離れしている。
「……気配、なかったですよね」
リリアが小さく言う。
エルナも頷く。
「うん、全然感じなかった」
レオが小声で言う。
「こわ……」
少女は振り返らない。
ただ一言。
「気にしなくていい」
それで終わりだった。
⸻
しばらく進むと、少し開けた場所に出る。
中央に、大きな水晶のようなものがあった。
ゆっくりと光っている。
「……あれ」
ユウトが視線を向ける。
少女が足を止める。
「ここ」
短く言う。
「アルシア族の中心」
レオが近づこうとする。
だが――
「触らないで」
少女が止める。
「壊れるから」
レオが慌てて止まる。
「いや壊すつもりはないって!」
エルナが興味深そうに見る。
「……これ、魔力の塊だね」
リリアも頷く。
「かなり純度が高いです」
少女が言う。
「これがあるから、ここは保たれてる」
ユウトが聞く。
「外とは違う理由か」
少女は頷く。
「ここは“外から切り離されてる”」
その言葉に、空気が少し変わる。
レオが眉をひそめる。
「切り離されてるって……どういうことだよ」
少女は少しだけ間を置いてから言う。
「ここは、見つからない場所」
エルナが小さく呟く。
「……だから私も分からなかったんだ」
少女は答えない。
ただ、水晶に視線を向ける。
⸻
少しの沈黙。
ユウトが口を開く。
「……聞きたいことがある」
少女が視線だけ向ける。
「なに」
ユウトは迷わない。
「この場所から、外に繋がる道はあるか」
一瞬だけ、空気が張り詰める。
少女はユウトを見つめる。
「外に出たいの?」
ユウトは答える。
「ああ」
短く。
だが、迷いはない。
少女は少しだけ考える。
そして言う。
「ある」
レオがすぐに反応する。
「ほんと!?」
少女は続ける。
「でも、簡単じゃない」
リリアが静かに聞く。
「条件があるんですね」
少女は頷く。
「この場所の“奥”まで行けること」
エルナが眉を上げる。
「……試練ってこと?」
少女は答えない。
だが、それが答えだった。
ユウトはそのまま言う。
「案内できるか」
少女は少しだけ目を細める。
「……やる気なんだ」
ユウトは動じない。
「最初からそのつもりだ」
短い会話。
だが、それで十分だった。
少女はゆっくりと振り返る。
「……いいよ」
そのまま歩き出す。
「来て」
ユウトたちは視線を交わす。
そして――
迷わず、ついていく。
アルシア族のさらに奥へ。
まだ知らない“何か”が待つ場所へ。
第2話を読んでいただき、ありがとうございます!
アルシア族の領域の中、その一部が少しずつ見えてきました。
これまでの場所とはまったく違う空気や、魔力に満ちた環境――少しでも伝わっていれば嬉しいです。
そして、水晶の存在や“外へ繋がる道”。
簡単には進めない場所であることも分かってきました。
ここからは、いよいよ“奥”へと進んでいくことになります。
どんな試練が待っているのか、ぜひ楽しみにしていてください。
引き続き、よろしくお願いします!




