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社畜だった俺のスキルはガチャだけ。気づいたら最強になっていた  作者: 1315
第5章 「存在しないはずの魔法領域」
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第1話 見えない魔力の中へ

第1話 見えない魔力の中へ


少女の後ろ姿を追いながら、ユウトたちは歩いていた。


淡い緑の髪が、わずかに揺れる。


足音は小さい。


だが、その一歩一歩に無駄がない。


まるで、この場所そのものと同化しているかのようだった。


「……静かですね」


レオが小さく呟く。


確かに。


風の音もない。


鳥の声もない。


あるのは――


“何かが満ちている感覚”だけ。


リリアが周囲を見ながら言う。


「……魔力が濃すぎますね」


「肌に触れてくるような感覚があります」


エルナも頷く。


「普通じゃないね」


ユウトは何も言わない。


ただ前を見る。


少女の背中。


それだけを追っていた。



しばらく歩く。


景色は変わらない。


木々はある。


地面もある。


だが――


どこか現実感が薄い。


「……ねえ」


レオが小さく言う。


「これ、ちゃんと進んでるよね?」


その言葉に、リリアも少しだけ視線を動かす。


「……分かりません」


エルナが苦笑する。


「その感覚、正しいと思うよ」


レオが顔をしかめる。


「え?」


「ここ、“距離の感覚”おかしい」


その瞬間。


ユウトが止まる。


「……どういうことだ」


エルナが少しだけ考えてから言う。


「同じ場所を歩いてる可能性もある」


レオが一気に不安になる。


「は!?ループってことか!?」


少女が、そこで初めて振り返る。


「違う」


短く言う。


「ちゃんと進んでる」


レオがすぐに返す。


「じゃあなんで景色変わんないんですか!」


少女は少しだけ視線を上に向ける。


「ここは、“外側から見える景色”が固定されてる」


「中身は動いてるけど、見た目は変わらない」


「……は?」


レオが完全に混乱する。


エルナが小さく笑う。


「なるほどね」


「魔力で空間を“覆ってる”感じか」


少女は何も言わない。


ただ、また歩き出す。


ユウトも続く。


「……つまり」


レオが言う。


「ここ、普通の場所じゃないってことなんだ…」


ユウトが短く答える。


「ああ」


それで十分だった。



少し進むと、空気が変わる。


さっきまでとは違う。


“濃い”というより――


“重い”。


「……っ」


リリアが足を止める。


「今、さらに強くなりました」


エルナも目を細める。


「ここから先、さらに深い場所だね」


少女が言う。


「ここから先は、選ばれた者しか進めない」


その言葉に、レオが顔をしかめる。


「またそれですか……」


ユウトは前に出る。


一歩。


空気が押し返してくる。


だが、止まらない。


もう一歩。


さらに圧が増す。


それでも――


止まらない。


少女がそれを見る。


「……やっぱり変」


小さく呟く。


リリアも続く。


少しだけ苦しそうにしながらも、進む。


「……大丈夫です」


エルナも後ろからついてくる。


レオも歯を食いしばる。


「くそ……負けるかよ」


一歩。


また一歩。


全員が、進む。


その時――


少女が立ち止まる。


「……ここまで」


その言葉と同時に――


空間が、変わる。


景色が“ほどける”。


今まで見えていたものが、消えていく。


その先にあったのは――


まったく別の世界だった。


光。


淡く揺れる空気。


地面には、見たことのない紋様。


そして――


遠くに見える建造物。


「……これが」


リリアが息を呑む。


エルナが静かに言う。


「隠されてた“本当の景色”か」


レオが呟く。


「……すごいな」


ユウトは、ただ前を見る。


少女が振り返る。


「ここからが、アルシア族の中」


静かに言う。


「覚悟して」


ユウトは頷く。


「ああ」


そのまま一歩踏み出す。


新しい世界へ。


魔力に満ちた領域の、奥へ。


第1話を読んでいただき、ありがとうございます!


これまでとは明らかに違う空間に入り、少しずつ“この場所の異質さ”が見えてきた回になりました。

景色が変わらない感覚や、進んでいるのに進んでいないような違和感など、少しでも伝わっていれば嬉しいです。


そして最後に見えた“本当の景色”。

ここからいよいよ、アルシア族の領域の中へと踏み込んでいきます。


この先で何が待っているのか、どんな出会いがあるのか。

引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです!


これからもよろしくお願いします!

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