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社畜だった俺のスキルはガチャだけ。気づいたら最強になっていた  作者: 1315
序章:出会い――ユニークスキルの覚醒
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第8話 森の奥の咆哮――古代種の影

第8話 森の奥の咆哮――古代種の影


森の奥から響いた咆哮は、それまでの空気を一瞬で変えた。


「グォォォォオオオ!!」


低く、重い。


まるで大地そのものが唸っているような声だった。


その瞬間、枝に止まっていた鳥たちが一斉に飛び立つ。


バサバサと羽音が広がり、森の静寂が崩れた。


俺は思わず足を止めた。


「……今の、聞こえたよな」


「はい……」


隣に立つリリアの声は、小さく震えていた。


彼女は短剣を握りしめているが、その刃には小さな欠けが残っている。


ヒヨコも肩の上で羽を膨らませていた。


「ぴよ……」


いつもの元気な声ではない。


明らかに警戒している。


森の奥から、重い音が聞こえてくる。


ドシン……


ドシン……


一歩。


また一歩。


何か巨大なものが歩いている音だった。


地面がわずかに揺れる。


俺はゆっくり息を吐いた。


「……大きいな」


リリアも森の奥を見つめる。


「普通の魔物じゃありません」


俺は小さくつぶやいた。


「もしかして……古代種か?」


その言葉に、リリアが驚いた顔をした。


「知ってるんですか?」


「名前だけはな」


俺は苦笑する。


町に来てから、酒場やギルドで何度か聞いたことがある。


古代種。


普通の魔物とは別格。


何百年も生きると言われる、伝説級の魔物。


下手をすれば、一体で村を壊滅させることもある存在。


「でも実物を見るのは初めてだ」


俺が言ったその時だった。


森の奥の影が動いた。


巨大な何かが、ゆっくりと木の間から姿を現す。


「……!」


リリアが息を呑む。


そこにいたのは――


巨大な狼だった。


だが、普通の狼ではない。


体の大きさは馬以上。


黒い毛並みは逆立ち、ところどころに古い傷跡が残っている。


何度も戦いを生き延びてきた証のようだった。


鋭い牙は剣のように長く、


赤い目が静かに光っている。


そして何より――


その存在感。


ただそこに立っているだけで、森の空気が重くなる。


圧力。


威圧。


本能が警告していた。


「逃げろ」と。


リリアが震える声で言う。


「間違いありません……古代種です」


俺はドラゴンスレイヤーを握り直した。


手に汗がにじむ。


「……逃げるか?」


正直、それが一番いい。


だがリリアは来た道の方を見た。


「この森を抜けた先は……町へ続く道です」


つまり。


この魔物が森を出たら――


町に被害が出る。


俺は小さく息を吐いた。


「……そういうことか」


リリアは短剣を握り直す。


だがその刃は欠けている。


「短剣、大丈夫か?」


「正直……良くないです」


彼女は苦笑した。


「でも逃げません」


ヒヨコも肩の上で鳴いた。


「ぴよ!」


その声を聞いて、俺は少し笑った。


「だな」


俺は剣を構える。


その瞬間だった。


古代種の狼がゆっくりと頭を下げる。


赤い目が、まっすぐ俺たちを捉える。


次の瞬間――


地面を蹴った。


「速っ!?」


信じられない速度だった。


巨大な体なのに、まるで影のように動く。


一瞬で距離を詰められた。


巨大な牙が迫る。


俺は反射的に剣を振る。


ガキィィン!!


衝撃が腕に走る。


「なっ……!?」


ドラゴンスレイヤーが弾かれた。


古代種の爪は、まるで鋼のように硬い。


次の瞬間。


横から巨大な爪が振り下ろされる。


ドォォン!!


地面が砕けた。


土と石が吹き飛ぶ。


「ユウトさん!」


リリアの叫び声。


俺は転がるようにして避けた。


もし直撃していたら――


確実に死んでいた。


古代種はゆっくりこちらを見る。


赤い目。


完全に獲物を見る目だった。


俺は剣を握り直す。


心臓がうるさいほど鳴っている。


「……これは」


思わずつぶやく。


「想像以上だな」


リリアも短剣を構えた。


欠けた刃。


それでも彼女は一歩前に出る。


「ユウトさん」


「なんだ?」


「……死なないでください」


俺は笑った。


「そっちこそな」


古代種がゆっくりと歩き出す。


一歩。


また一歩。


森の影が揺れる。


そして俺は理解した。


この戦いは――


間違いなく命がけだ。


そして、


まだ本当の地獄は始まっていない。

第8話「森の奥の咆哮――古代種」を読んでいただき、本当にありがとうございます。


ついに森の奥で姿を現した古代種。

これまでの魔物とはまったく格の違う存在に、ユウトとリリアは真正面から向き合うことになりました。


短剣の不調、圧倒的な敵、そして逃げられない状況――

ここから物語はさらに緊張感のある展開へと進んでいきます。


ユウトたちはこの強敵を前にどう戦うのか。

そして《無限ガチャ》の力は、この絶望的な状況でどう動くのか。


ここまで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございます。

もし「続きが気になる」と思っていただけたなら、とても嬉しいです。


次の物語でも、ユウトたちの冒険をぜひ見守っていただけたら幸いです。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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