第4話 橋の先に潜む魚影
第4話 橋の先に潜む魚影
街の外れから続く道は、やがて一本の橋へと変わった。
水の上に架かる、長い橋。
先は霧に包まれ、どこまで続いているのか分からない。
「……この先ですね」
リリアが静かに言う。
ユウトは橋の先を見つめた。
「ああ」
水面は不自然なほど静かだった。
まるで何かを待っているかのように。
「ここから先が“奥”だよ」
エルナが言う。
ユウトは一歩、橋へ踏み出した。
木が軋む音が小さく響く。
リリア、レオも続く。
ヒヨコが鳴く。
「ぴよ……」
⸻
橋を進む。
霧が濃くなる。
視界が狭くなる。
水面だけが、ぼんやりと見える。
「……なんか嫌だな、ここ」
レオがぽつりと言う。
「落ち着かない」
ユウトは少しだけ笑う。
「そういう場所だ」
リリアも小さく頷く。
「はい……気配が不自然です」
その時だった。
ガコン――
足元で音が鳴る。
「え、なに今!?」
レオが驚く。
次の瞬間。
水面が大きく揺れた。
そして――
魚型の魔物が跳ね上がる。
巨大な体。
黒い鱗。
鋭い牙。
濁った目がこちらを睨む。
「来たか」
ユウトが双剣を抜く。
さらにもう一体。
そしてもう一体。
橋の上に敵が現れる。
「ちょ、ちょっと多くない!?」
レオが叫ぶ。
「落ち着いてください!」
リリアが構える。
ユウトが前に出る。
「前は任せろ」
魚が突っ込んでくる。
ユウトが斬る。
一体を弾き飛ばす。
レオも動く。
「うわっ、危なっ!」
回避して、すぐ反撃。
鉤爪で叩きつける。
リリアが隙を突く。
素早く一撃。
だが――
数が多い。
「全然減ってないんだけど!」
レオが叫ぶ。
ユウトが低く言う。
「騒ぐな、数は見えてる」
「見えてるけど多いって!」
それでも、止まらない。
ヒヨコが鳴く。
「ぴよぴよ!」
その声が橋に響く。
その瞬間――
魚たちの動きがわずかに鈍る。
「……今だ!」
ユウトが踏み込む。
双剣の連撃。
一気に数を減らす。
リリアも続く。
レオも勢いよく飛び込む。
「よし、いける!」
流れが変わる。
ヒヨコがもう一度鳴く。
「ぴよぴよ!!」
今度は強く。
魚たちの動きが崩れる。
ユウトが最後の一体へ踏み込む。
一閃。
橋の外へ吹き飛ばす。
水面に落ちる。
――戻ってこない。
⸻
静寂。
橋の上には、もう何もいない。
水面も、再び静かになる。
レオが大きく息を吐く。
「はぁ……終わった……」
リリアも呼吸を整える。
「はい……今ので最後ですね」
ユウトは橋の先を見る。
霧の奥。
何も見えない。
だが――
確かに、何かがある。
「……行くぞ」
レオも頷く。
「うん、さっきよりマシな気分だ」
少しだけ笑う。
さっきより、余裕がある。
エルナが前を見る。
「もうすぐだよ」
橋の先へ進む。
霧の奥へ。
歪みのある場所へ――。
⸻
橋はまだ続く。
静かに。
真っ直ぐに。
そしてその先に――
“次”が待っている。
第4話を読んでいただき、ありがとうございます!
橋での戦闘、いかがでしたでしょうか。
ここで一度しっかりと区切りをつける形になりました。
ユウトたちの連携や、レオの成長、そしてヒヨコの不思議な力――
少しずつですが、それぞれの役割も見えてきたと思います。
そして、物語はいよいよ次の段階へ進みます。
この先にある“歪み”、そして待ち受ける存在とは何なのか。
次回から、物語がさらに大きく動きます。
引き続き、楽しんでいただけたら嬉しいです!




