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社畜だった俺のスキルはガチャだけ。気づいたら最強になっていた  作者: 1315
第3章 「響きの森と導きの旋律」
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第14話 響き合う音

第14話 響き合う音


水面から現れたそれは、静かに揺れていた。


形は人に近い。


だが、存在はまったく違う。


水で構成された身体。

長く流れるような髪。


そして――


こちらを見ている。


「……」


ユウトは動かない。


ただ、正面から見据える。


次の瞬間。


音が来た。


――グゥン……


耳ではない。


頭の奥。


直接揺らされるような感覚。


「……っ!」


リリアが膝をつく。


レオも片手で頭を押さえる。


「……くそ……!」


動きが鈍る。


思考が揺らぐ。


それでもユウトは一歩踏み出す。


「下がるな」


短く言う。


だが――


音が強くなる。


空気が歪む。


視界がぶれる。


ユウトの足が止まる。


「……これ……」


その時。


――ピィ……


澄んだ音が割り込む。


エルナ。


笛を吹いている。


その音が、押し返す。


侵食してくる音を、打ち消す。


「……効いてる」


ユウトが呟く。


リリアが顔を上げる。


「……動けます」


レオも立ち直る。


「今なら……!」


エルナは音を止めない。


むしろ強める。


波のように重ねていく。


「止めないで」


短く言う。


ユウトは頷く。


「任せろ」


踏み込む。


一気に距離を詰める。


速い。


だが――


セイレーンが動く。


水面が弾ける。


水の刃が飛ぶ。


ユウトは双剣で弾く。


「ちっ……!」


重い。


ただの水じゃない。


圧がある。


リリアが横から入る。


「いきます!」


短剣を滑り込ませる。


だが――


触れた瞬間、弾かれる。


「……硬い!」


レオが後方から叫ぶ。


「普通の攻撃、通りにくい!」


ユウトが踏み込む。


エルナの音が重なる。


その瞬間。


感覚が研ぎ澄まされる。


「……今だ」


双剣を振る。


交差。


深く斬る。


水の身体が揺れる。


確かに、通る。


だが――


再生する。


すぐに戻る。


「……厄介だな」


ユウトが舌打ちする。


その時。


音が変わる。


セイレーンの音。


より強く。


より深く。


押し潰すように。


「……っ!!」


リリアが再び膝をつく。


レオも動きが止まる。


エルナの音が押される。


「……強い」


エルナの表情が変わる。


初めて。


余裕が消える。


「……これ、本気だ」


ユウトは構え直す。


呼吸を整える。


そして言う。


「……いい」


一歩踏み込む。


「やってやる」


エルナの音が再び強まる。


ぶつかる。


音と音。


空間が震える。


水面が荒れる。


森の空気が揺れる。


戦いは、まだ始まったばかりだった。

あとがき


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


今回は「音 対 音」の戦闘でした。

剣だけでは届かない相手に対して、別の手段でどう立ち向かうかを描いています。


エルナの存在が戦いの軸になりつつありますが、それでもまだ決定打にはなっていません。

少しずつ状況は見えてきましたが、簡単には終わらない戦いになりそうです。


この先、どう崩していくのか。

ぜひ引き続き読んでいただけると嬉しいです。


感想やコメントもお待ちしています。

いつも読んでいただき、本当にありがとうございます。

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