第7話 届かない音
第7話 届かない音
森の奥。
水辺から離れた場所で、三人は足を止めた。
「……はぁ……」
レオがその場に座り込む。
「……強すぎる……」
リリアも静かに息を整える。
「……正面からは厳しいですね」
ユウトは立ったまま、水辺の方を見ていた。
しばらくして、口を開く。
「……音で止まるのは確かだ」
リリアが頷く。
「はい。一瞬ですが、確実に動きが鈍っていました」
レオが顔を上げる。
「でも、それじゃ倒せなかったですよね……」
「ああ」
ユウトが答える。
「止めるだけじゃ足りない」
沈黙が落ちる。
その時。
「ぴよ……」
ヒヨコが小さく鳴いた。
リリアの腕の中で、ぐったりしている。
「……無理させすぎましたね」
優しく撫でる。
ユウトは目を逸らす。
「……あいつに頼りきるのはやめる」
短く言う。
レオが小さく頷く。
「……はい」
少しの間。
考える時間。
そして――
「……ガチャを使う」
ユウトが言った。
リリアがすぐに理解する。
「……そうですね」
この状況なら、試す価値はある。
ユウトは意識を集中する。
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無限ガチャ
実行可能
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「……頼む」
選択。
光が回る。
そして――
ポン。
何かが落ちた。
レオが拾う。
「……これ……笛?」
小さな金属の筒。
シンプルな作り。
だが、ただの道具ではない。
ユウトが受け取る。
軽く構え、口に当てる。
吹く。
――……
「……?」
音が出ない。
レオが首をかしげる。
「……え?」
リリアも試す。
「……失礼します」
同じように吹く。
だが――
何も起きない。
風が抜けるだけ。
「……音が出ません」
レオもやってみる。
「……ほんとだ……」
三人とも沈黙する。
ユウトが笛を見つめる。
「……壊れてるわけじゃないな」
手に持った瞬間から分かっていた。
これは“普通じゃない”。
リリアが静かに言う。
「……条件があるタイプですね」
「……使える者が限られているか」
ユウトが続ける。
レオが少し不安そうに言う。
「じゃあ……これ、意味ないんですか……?」
ユウトは首を振る。
「……いや」
少しだけ目を細める。
「意味はある」
確信している。
これは“当たり”だ。
ただ――
「……今は使えないだけだ」
リリアが考える。
「……あの存在と、何か条件が関係している可能性がありますね」
「音に反応していましたから……」
ユウトは笛を見ながら言う。
「……あいつに効く音」
「でも俺たちには出せない」
レオが言う。
「……じゃあ、どうするんですか?」
ユウトは少しだけ考える。
そして――
笛を無限収納バッグにしまう。
「……持っていく」
短く言う。
リリアが頷く。
「……いずれ使えるようになる、ということですね」
「ああ」
ユウトの視線が、水辺の方向へ向く。
「……次は別のやり方で行く」
レオが立ち上がる。
まだ不安はある。
だが――
「……やりましょう」
その目は、逃げていない。
ヒヨコが小さく鳴く。
「ぴよ……」
弱い声。
だが、確かにそこにいる。
ユウトが一歩踏み出す。
「……準備するぞ」
その一言で、空気が変わる。
撤退では終わらない。
次の一手へ。
三人は、再び動き出した。
第7話を読んでいただき、ありがとうございます。
今回は新たな手段が見つかりながらも、すぐには使えないという展開でした。
簡単に解決しないからこそ、どう乗り越えていくのかが重要になってきます。
手に入れたものの意味や、これからどう活かされるのか――
少しずつ繋がっていく部分も楽しんでいただけたら嬉しいです。
引き続き読んでいただけると励みになります。
いつも本当にありがとうございます。




