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社畜だった俺のスキルはガチャだけ。気づいたら最強になっていた  作者: 1315
第3章 「響きの森と導きの旋律」
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第5話 揺らぐ旋律

第5話 揺らぐ旋律


水が膨れ上がる。


無数の腕が、一斉に振り下ろされた。


「散れ!」


ユウトの声。


三人が同時に動く。


地面を叩く水の衝撃。


土が抉れる。


ただの攻撃じゃない。


質量も、圧もある。


「……っ!」


レオがギリギリで回避する。


「速すぎる……!」


リリアも間合いを取る。


「正面は危険です!」


ユウトは水面の前で止まる。


双剣を構えたまま、相手を見据える。


「……本体を叩くしかないな」


だが、その瞬間。


――……


歌が、再び強くなる。


頭の奥に入り込んでくる。


視界が揺れる。


足元がズレる。


「……くそ……!」


踏み込みが狂う。


距離が合わない。


その隙。


水の腕が迫る。


「ユウトさん!」


リリアの声。


だが――


「ぴよッ!!」


ヒヨコが、強く鳴いた。


その瞬間。


空気が、震える。


――ビリッ


見えない衝撃が走る。


歌が、一瞬だけ途切れた。


「……っ!?」


“それ”の動きが止まる。


わずかに。


だが、確実に。


「……効いてる」


ユウトが呟く。


迷わない。


踏み込む。


一気に距離を詰める。


「はあっ!!」


双剣が閃く。


本体へ。


水面を裂きながら、斬り込む。


ズバッ!!


今度は、確かな手応え。


「……通ったな」


“それ”の体が揺れる。


だが――


すぐに水が集まり、形を戻す。


完全には崩れない。


リリアも気づく。


「……今の音で、動きが鈍りました」


レオも叫ぶ。


「でも、倒しきれてない……!」


その通りだった。


ヒヨコの鳴き声で“崩れる”。


だが、消えない。


ユウトが短く言う。


「弱点は音だ」


リリアがすぐに理解する。


「……はい。でも――」


言いかけて止まる。


答えは同じ。


「……足りません」


ヒヨコの力だけでは、削りきれない。


その瞬間。


歌が、戻る。


さっきよりも強く。


明確に敵意を帯びて。


「……っ」


空気が重くなる。


さっきよりも深く侵される。


「怒ってる……!」


レオが叫ぶ。


水が激しくうねる。


攻撃の数が増える。


速さも、圧も上がる。


ユウトが弾く。


リリアが避ける。


レオが耐える。


だが――


押される。


確実に。


「……このままじゃジリ貧ですね」


リリアが言う。


ユウトは一瞬だけ考える。


そして、言った。


「タイミングを合わせる」


二人が見る。


「音で止めて、その瞬間に叩く」


リリアが頷く。


「……一点突破ですね」


レオも強く握る。


「やるしかないですね!」


その時。


ヒヨコが、静かに羽を揺らす。


「ぴよ……」


さっきとは違う。


少しだけ、熱を帯びたような鳴き方。


ユウトが一瞬だけ視線を向ける。


「……いけるか」


ヒヨコは、水面を見ている。


まっすぐに。


次の瞬間。


水の腕が、一斉に迫る。


「……今だ!」


ユウトが叫ぶ。


ヒヨコが鳴く。


「ぴよッ!!」


空気が震える。


歌が止まる。


“それ”の動きが、止まる。


ほんの一瞬。


だが、それでいい。


ユウトが踏み込む。


限界まで加速する。


「はああああッ!!」


双剣が交差する。


本体へ――


一直線に。


第5話を読んでいただき、ありがとうございます。


ついに戦いの中で“攻略の糸口”が見えてきました。

ただ、それでもまだ決定打には届かず、簡単には崩せない相手であることも感じていただけたと思います。


ヒヨコの存在も含めて、少しずつ意味を持ち始めています。

この戦いがどんな結末を迎えるのか、ぜひ引き続き見守っていただけたら嬉しいです。


いつも読んでくださり、本当にありがとうございます。

感想やコメントもお待ちしております。

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