表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜だった俺のスキルはガチャだけ。気づいたら最強になっていた  作者: 1315
第3章 「響きの森と導きの旋律」
72/104

第4話 深淵の顕現

第4話 深淵の顕現


水面が、大きく歪んだ。


内側から押し上げられるように。


「……来る」


ユウトが低く言う。


次の瞬間。


――バシャッ!!


水が裂け、細長い腕のようなものが飛び出した。


青白い。

人に似ているが、明らかに異質。


「……っ!」


レオが息を呑む。


だがユウトは迷わない。


踏み込む。


双剣を振る。


一閃。


腕を斬り裂く。


だが――浅い。


「……硬いな」


直後、水の中からさらに腕が伸びる。


二本、三本。


一斉に叩きつけられる。


ドンッ!!


地面が震える。


「下がってください!」


リリアが声を上げる。


三人が散開する。


水の腕が追う。


ユウトが弾く。


リリアが潜る。


レオが受ける。


連携は取れている。


だが――


「再生してる……!」


レオの声。


切り裂いたはずの腕が、すぐに元に戻る。


水が形を保ったまま。


ユウトが舌打ちする。


「面倒だな」


その時。


――……


歌が、強くなる。


頭の奥に直接響く。


視界が揺れる。


距離感が狂う。


「……っ」


一瞬、足が止まる。


リリアも顔を歪める。


「……強いです……!」


レオの動きが鈍る。


その隙。


水の腕が一直線に伸びる。


「危ない!」


だが――


「ぴよ」


ヒヨコが鳴いた。


その瞬間。


ほんの一瞬だけ、歪みが消える。


レオが我に返る。


回避。


ユウトが踏み込む。


「集中しろ」


短く言う。


そのまま、水面へ一気に距離を詰める。


「……そこだろ」


双剣を振り下ろす。


ズバッ!!


水面が大きく裂ける。


その奥――


見えた。


顔。


人に似ている。


だが、どこか違う。


整いすぎている。


不自然なほどに。


深く沈んだ目。


ゆっくりと開く口。


そして――


歌っている。


「……っ」


ユウトの動きが一瞬止まる。


その瞬間。


水が爆発するように盛り上がった。


ドンッ!!


衝撃。


三人が吹き飛ばされる。


地面を滑る。


息が詰まる。


だが、すぐに立て直す。


視線を前へ。


水が、持ち上がっていた。


中心から。


ゆっくりと形を作る。


人の上半身。


長く揺れる髪のような水。


細い腕。


だが、その下は――


繋がっている。


水面と。


切り離されていない。


「……なんだ、あれ……」


レオの声が震える。


リリアが静かに言う。


「……本体です」


歌が止まる。


一瞬の静寂。


そして。


“それ”が、こちらを向く。


目が合う。


全身が凍るような感覚。


「……っ」


呼吸が浅くなる。


ただ見られているだけで、動きが鈍る。


ユウトが双剣を構える。


強く握る。


「……ようやく出てきたな」


低く言う。


その時。


“それ”の口が動いた。


音にはならない。


だが――


意味だけが、頭に流れ込む。


拒絶。


排除。


侵入者。


「……来るぞ」


ユウトが言う。


次の瞬間。


水が膨れ上がる。


無数の腕が同時に形成される。


逃げ場はない。


空間そのものを覆うように。


三人が構える。


そして――


“水の中の存在”が、完全に姿を現した。

第4話を読んでいただき、ありがとうございます。


ついに“正体”が姿を現しました。

これまでの違和感や声の正体が、少しずつ形になってきたと思います。


ただ、まだ戦いは始まったばかりです。

この存在にどう立ち向かうのか、そしてユウトたちがどこまで踏み込めるのか――物語はここからさらに激しく動いていきます。


引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。

いつも本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ