表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜だった俺のスキルはガチャだけ。気づいたら最強になっていた  作者: 1315
第3章 「響きの森と導きの旋律」
70/104

第2話 水面の向こう

第2話 水面の向こう


森の奥で、水の音が聞こえ始めた。


流れる音ではない。

どこかに溜まっているような、重たい音。


「……近いですね」


リリアが言う。


ユウトは短く返す。


「ああ」


やがて木々が途切れ、視界が開けた。


そこにあったのは――水。


広く、静かで、動かない。


風は吹いているのに、水面は揺れない。


「……なんだ、これ……」


レオが呟く。


リリアがわずかに目を細める。


「……おかしいです」


ユウトも同じ違和感を感じていた。


「……止まってるな」


その時だった。


ぴたり、と周囲の音が消える。


風も、葉も、何もない。


ただ水だけがある。


「……静かすぎる」


ユウトが低く言う。


リリアが耳を澄ます。


「……何か、聞こえます」


最初は微かだった。


だが、少しずつはっきりしていく。


「……歌……?」


レオが眉をひそめる。


言葉にはならない声。


だが確かに、どこかから響いてくる。


リリアの表情が変わる。


「……危ないです」


ユウトは動かない。


ただ、水面を見ている。


その時。


「ぴよ」


ヒヨコが鳴いた。


肩の上で、水の奥をじっと見ている。


次の瞬間。


水面が、わずかに揺れた。


外からではない。


内側から。


「……今、動いたな」


ユウトが言う。


全員が自然と一歩下がる。


そして――


歌が、少し近づく。


耳ではなく、頭の奥に響く感覚。


レオが顔をしかめる。


「……なんだこれ……」


リリアが静かに言う。


「……直接、頭に響いてきてます」


ユウトは双剣に手をかける。


「……下にいる」


その一言で、全員の意識が揃う。


水の中。


見えない奥。


そこに――いる。


ほんの一瞬。


水の奥で影が揺れた。


人のようで、人ではない何か。


すぐに消える。


だが――


確かに見えた。


レオが息を呑む。


「……今の……」


ユウトは短く言う。


「距離を取れ」


三人がゆっくり後退する。


その直後。


歌が、さらに深くなる。


優しいようで、冷たい声。


拒めない何か。


空気が、静かに侵されていく。


ユウトが低く言った。


「……来るぞ」


その瞬間。


水面が、歪んだ。

第2話を読んでいただき、ありがとうございます。


少しずつですが、これまでとは違う“異質な気配”が見えてきたと思います。

静かなはずの場所にある違和感や、不自然な空気を感じていただけていたら嬉しいです。


まだ正体ははっきりしませんが、この先で少しずつ明らかになっていきます。

ユウトたちがどう向き合っていくのか、ぜひ見守っていただければと思います。


いつも読んでくださり、本当にありがとうございます。

感想やコメントもお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ