第11話 目覚めと再出発
第11話 目覚めと再出発
静かな風が吹いていた。
どこか知らない大地。
戦いの気配も、敵の影もない。
ただ、穏やかな時間だけが流れている。
その中で――
「……ん……」
小さな声が響いた。
アランがすぐに顔を上げる。
「……アリス?」
横たわっていた少女の指が、わずかに動く。
ゆっくりと。
まぶたが開いた。
黄金の瞳。
今度は、はっきりと焦点が合っている。
「……ここ……」
かすれた声。
だが、確かに“意識が戻っている”。
ピリムが駆け寄る。
「……アリス……!」
その声に、アリスは視線を向ける。
少しだけ驚いたように。
そして――
「……ピリム……?」
名前を呼ぶ。
その一言で。
空気が一気に緩んだ。
「……よかった……」
ピリムの声が震える。
レオンも大きく息を吐く。
「……マジで……戻ってきたな……」
アランは何も言わなかった。
ただ、静かに頷いた。
アリスはゆっくりと体を起こす。
まだ少しふらつく。
だが――
「……平気……」
そう言って、しっかりと立つ。
その動きに、違和感があった。
前よりも、軽い。
そして――
「……力……」
アリスが自分の手を見る。
微かに空気が揺れる。
無意識に。
ほんの少しだけ。
だが確かに、変わっていた。
アランがそれを見て呟く。
「……制御できてるな」
ピリムも頷く。
「……さっきとは全然違う……」
アリスは少しだけ戸惑ったように目を伏せる。
「……さっき……覚えてない……」
無理もない。
あれは、完全な暴走だった。
レオンが軽く肩をすくめる。
「まあいいさ。生きてりゃそれでいい」
その言葉に、アリスは小さく頷いた。
少しの沈黙。
そして、アランが口を開く。
「……ここがどこか、分かるか?」
誰も答えられない。
見たことのない場所。
地形も、空気も、まったく違う。
ピリムが不安そうに言う。
「……戻れる……かな……」
その言葉に。
全員の意識が、一つに向く。
戻る。
元の場所へ。
そして――
「……ユウト」
アリスが、小さくその名前を口にした。
その一言で、空気が変わる。
アランが頷く。
「ああ」
レオンも立ち上がる。
「……あいつ、絶対探してるぞ」
ピリムも強く頷く。
「……合流しないと……」
アリスは静かに目を閉じる。
そして、開く。
その瞳には、迷いがなかった。
「……行く」
短く、はっきりと。
アランはその言葉を聞いて、剣を持ち直す。
「……決まりだな」
レオンが笑う。
「やっと話が早くなった」
ピリムも小さく笑う。
「……うん……」
静かに。
だが確かに。
空気が変わる。
守られる側ではない。
進む側へ。
アランが前を向く。
「……まずは情報だ」
「ここがどこか知る」
「それから――」
アリスを見る。
「ユウトと合流する」
その言葉に、全員が頷いた。
風が吹く。
さっきまでの静けさとは違う。
どこか、前へ進むような風。
アリスが一歩踏み出す。
小さな足取り。
だが、確かに強い。
「……行こう」
その一言で。
全員が動き出した。
ここからが、本当の始まり。
別れた仲間を繋ぐための――
新たな冒険が、動き出した。
第11話を読んでいただき、ありがとうございます。
ついにアリスが目を覚まし、ここから新たな物語が動き出しました。
これまでの戦いを経て、ただ守られる存在ではなく、自分の意思で進もうとする姿を描いています。
そして目的は一つ――ユウトとの合流。
離れてしまった仲間を繋ぐ旅が、ここから本格的に始まります。
新たな場所、新たな試練、そして少しずつ明かされていく世界。
これからの展開もぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。
いつも読んでくださり、本当にありがとうございます。
引き続き感想やコメントもお待ちしております。




