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社畜だった俺のスキルはガチャだけ。気づいたら最強になっていた  作者: 1315
囚われのアリス ―紅き翼の檻―編
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第7話 届きかけた手

第7話 届きかけた手


重い扉が開いた。


軋む音が、静かな空間に響く。


その先。


薄暗い部屋の中央。


そこに――


少女がいた。


「……アリス」


アランの声が、静かに落ちる。


赤い髪。


小さな体。


そして、全身を縛る黒い鎖。


微かに呼吸はある。


だが、目は閉じたまま。


動かない。


「……見つけた……」


ピリムの声が震える。


レオンが小さく息を吐く。


「やっとだな……」


三人は、ゆっくりと近づく。


警戒は解かない。


だが――敵の気配はない。


「……急ぐぞ」


アランが言う。


アリスの前に立つ。


鎖を見る。


触れる。


ビリッ。


微かな反発。


「……普通じゃないな」


レオンが覗き込む。


「壊せるか?」


「やるしかない」


アランは剣を構える。


一撃。


力を込める。


振り下ろす。


ガキンッ!!


火花が散る。


だが――壊れない。


「……硬ぇな」


レオンが舌打ちする。


ピリムが近づく。


「……魔力……強い……」


完全な封印。


だが――


アランは目を細める。


「……一点だ」


「全部じゃない」


鎖の一部。


わずかに、弱い箇所がある。


「そこを狙う」


レオンが頷く。


「任せろ」


ピリムも手を伸ばす。


「……補助する……」


三人が息を合わせる。


アランが構える。


レオンが位置を固定する。


ピリムがわずかな魔力で支える。


「……いくぞ」


振り下ろす。


ズバッ!!


鈍い音。


そして――


パキッ。


一本、鎖が砕けた。


「……いける!」


レオンが叫ぶ。


続けて、もう一撃。


ズバッ!!


さらに砕ける。


アリスの体が、わずかに揺れる。


「……アリス!」


ピリムが声をかける。


反応はない。


だが――確実に、近づいている。


アランが最後の一本に狙いを定める。


これで終わる。


手が、届く。


「……これで――」


その瞬間。


空気が、変わった。


「……遅い」


低い声。


凍るような気配。


三人の動きが止まる。


振り向く。


そこに――


黒いローブ。


静かに立っていた。


いつからいたのか分からない。


音も、気配もなかった。


ただ、そこにいる。


レオンが歯を食いしばる。


「……てめぇ……!」


アランは動かない。


目だけで捉える。


「……ここまでか」


ローブの男が言う。


ゆっくりと手を上げる。


次の瞬間。


ドンッ!!


見えない衝撃。


三人の体が同時に弾かれる。


「……っ!!」


壁に叩きつけられる。


息が止まる。


「……くそ……!」


レオンが無理やり起き上がる。


アランも立つ。


だが――体が重い。


圧が違う。


完全に別格。


ローブの男は、アリスの前に立つ。


残った鎖に手を触れる。


「……回収する」


淡々とした声。


「待て!」


アランが叫ぶ。


踏み込もうとする。


だが――


動けない。


足が止まる。


見えない圧に、押さえ込まれる。


ピリムが震える声を出す。


「……ダメ……」


アリスの体が、ゆっくりと持ち上がる。


「……っ!」


アランが手を伸ばす。


あと一歩。


届く距離。


それなのに――


届かない。


ローブの男が、こちらを見る。


その奥の視線は、冷たい。


「無駄だ」


その一言。


空間が歪む。


黒い渦が現れる。


アリスの体が引き寄せられる。


「……アリス!!」


叫ぶ。


声が響く。


だが――


届かない。


アリスの姿が、闇に沈む。


消える。


完全に。


渦が閉じる。


静寂。


何も残らない。


アランの手が、空を掴む。


「……っ……」


拳が震える。


あと少しだった。


本当に、あと少し。


それなのに――


「……くそ……!」


レオンが床を殴る。


ピリムは言葉を失う。


アランは、ただ前を見ていた。


何もない場所を。


だが、その目は――消えていなかった。


「……まだ終わってない」


低く言う。


確実に。


次へ繋がる声だった。


第7話を読んでいただき、ありがとうございます。


ついにアリスのもとへ辿り着き、あと一歩というところまでいきましたが――その距離の重さを描いた回になりました。

届きそうで届かない、その瞬間の悔しさや無力感が少しでも伝わっていれば嬉しいです。


そして、ついに現れたローブの存在。

ここから物語はさらに大きく動いていきます。


いつも読んでくださり、本当にありがとうございます。

引き続き応援やコメントもお待ちしております。

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