第5話 奪還への道
第5話 奪還への道
「……行くぞ」
アランの一言で、三人は動き出した。
石造りの通路。
冷たい空気。
どこまでも続くような閉鎖空間。
だが――迷いはない。
「アリスの場所……分かるのか?」
レオンが走りながら聞く。
アランは短く答える。
「完全じゃない」
だが。
「……あっちだ」
視線の先。
わずかに空気が違う。
圧が濃い。
「……気配か」
「たぶんな」
確証はない。
だが、止まる理由にはならない。
ピリムが後ろから小さく言う。
「……さっきより……近い……」
三人の進む方向は、間違っていなかった。
その時。
ガシャンッ。
前方の影が動く。
「……来るぞ」
アランが足を止める。
通路の奥から現れたのは、三体。
黒い装束。
無言。
武器を構え、一直線に向かってくる。
「数は少ないな」
レオンが笑う。
「一気に行くぞ」
「ああ」
次の瞬間。
アランが踏み込む。
最短距離。
迷いのない斬撃。
ズバッ!!
一体が倒れる。
だが――
残り二体がすぐに詰めてくる。
速い。
連携している。
レオンが前に出る。
「任せろ!」
拳を振るう。
ドンッ!!
一体を弾き飛ばす。
だが、もう一体が回り込む。
死角。
「……っ!」
その瞬間。
「……今……!」
ピリムの声。
わずかな光。
敵の動きが止まる。
ほんの一瞬。
それで十分だった。
アランが振り抜く。
ズバッ!!
二体目も沈む。
最後の一体が立ち上がる。
だが。
レオンが踏み込む。
「終わりだ」
叩き込む。
ドンッ!!
完全に沈黙。
静寂が戻る。
「……ふぅ」
レオンが息を吐く。
「思ったより楽じゃねぇな」
アランは倒れた敵を見ていた。
「……待て」
しゃがみ込む。
装備を確認する。
袋。
小さな瓶。
「……これは」
ピリムが近づく。
「……回復……かも……」
瓶の中には、淡い光。
試しに、ピリムが手に取る。
少しだけ口にする。
「……っ」
体がわずかに軽くなる。
「……回復してる……」
レオンが笑う。
「ラッキーだな」
アランはすぐに判断する。
「使うぞ」
三人で分ける。
完全回復ではない。
だが――動ける。
それだけで十分だった。
「……まだ行けるな」
「ああ」
ピリムも小さく頷く。
「……大丈夫……」
立ち上がる。
再び、進む。
通路の奥へ。
次第に、空気が変わっていく。
重い。
圧が増していく。
「……近いな」
レオンが言う。
アランも感じていた。
これは――ただの場所じゃない。
何かがある。
強い何かが。
ピリムが足を止める。
「……ここ……」
震える声。
「……アリスの……気配……」
その言葉で、空気が変わる。
アランの目が鋭くなる。
「……間違いないな」
レオンが拳を握る。
「行くぞ」
だが――
その前に。
通路の奥。
影が一つ。
静かに立っていた。
今までの敵とは違う。
気配が、明らかに違う。
「……通さない」
低い声。
空気が凍る。
アランは、剣を構えた。
ここが――分かれ目。
「……突破する」
短く言う。
迷いはない。
アリスのいる場所は、もうすぐそこだ。
第5話を読んでいただき、ありがとうございます。
今回はアリスの元へ向かう道中と、戦闘の中でのわずかな回復、そして少しずつ近づいていく緊張感を描きました。
限られた状況の中でも前に進む姿を感じていただけたら嬉しいです。
物語はいよいよ核心へ近づいています。
この先で何が待っているのか、ぜひ引き続き見守っていただければと思います。
いつも読んでくださり、本当にありがとうございます。
感想やコメントもお待ちしております。




