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社畜だった俺のスキルはガチャだけ。気づいたら最強になっていた  作者: 1315
囚われのアリス ―紅き翼の檻―編
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第3話 歪みの敗北

第1章8話でワープの中に入った後の話です

第3話 歪みの敗北


足場はない。


それでも、立っている。


感覚が狂う。


上下も、距離も、すべてが曖昧だった。


「……ここが……」


レオンが息を吐く。


「ワープの中かよ……」


アランは答えない。


ただ、前を見る。


歪みの奥。


そこに――いた。


黒いローブの男。


そしてその手前。


動けずに拘束された、二つの影。


「……ピリム!」


「アリス!」


声が届く。


だが、二人は動けない。


鎖のようなものが、体に絡みついている。


空間ごと固定されている。


「……来るな……」


ピリムの声。


弱い。


だが、はっきり聞こえた。


アランの目が変わる。


「……行くぞ」


「おう」


レオンが並ぶ。


次の瞬間。


二人は同時に踏み込んだ。


歪みの中を駆ける。


空間が伸びる。


距離が狂う。


だが、止まらない。


一直線に斬り込む。


アランの剣が閃く。


レオンの拳が唸る。


だが――


止まる。


「……っ!」


見えない壁。


斬撃が、届かない。


ローブの男は動かない。


ただ、そこに立っているだけで。


すべてを遮っている。


レオンが吠える。


「邪魔なんだよッ!!」


力任せに叩き込む。


だが同じ。


届かない。


「無意味だ」


ローブの男が呟く。


その瞬間。


空間が歪む。


グニャリ、と。


「……っ!?」


足場が消える。


位置がズレる。


アランの体が横に引きずられる。


「距離が……!」


レオンもバランスを崩す。


ローブの男は、一歩踏み出す。


その動きだけで。


圧が変わる。


「……っぐ!」


体が沈む。


見えない重さ。


膝が軋む。


それでも――


アランは前に出た。


「関係ない」


低く言う。


「止まる理由にならない」


踏み込む。


今度は、感覚ではなく“気配”で追う。


歪みの中で、存在を捉える。


一瞬。


ローブの輪郭が固定される。


「――そこだ!」


斬る。


わずかに触れる。


ローブが揺れる。


だが――


それだけ。


「……浅い」


ローブの男の声。


次の瞬間。


ドンッ!!


衝撃。


アランの体が吹き飛ぶ。


「……っ!」


視界が流れる。


歪みの中を叩きつけられる。


レオンが踏み込む。


「……やらせるかよ!」


拳を振るう。


連撃。


だが――


すべて、空を切る。


距離がズレる。


位置が合わない。


攻撃が届く前に、空間が変わる。


「……なんだよ、これ……!」


焦りが滲む。


ローブの男は、静かに手を上げた。


その瞬間。


「……っ!?」


レオンの体が止まる。


動かない。


見えない力に縛られる。


「動くな」


低い声。


それだけで。


完全に封じられる。


「……くそ……!」


アランが起き上がる。


再び踏み込む。


だが――


遅い。


ローブの男の手が、空間をなぞる。


歪みが、収束する。


ピリムとアリスの周囲に、黒い渦が現れる。


「……っ、待て!!」


アランが叫ぶ。


全力で踏み込む。


距離を無理やり詰める。


手を伸ばす。


あと少し。


届く。


その瞬間。


グンッ。


体が止まる。


「……っ!?」


見えない拘束。


全身が固定される。


動けない。


指先すら。


「……遅い」


ローブの男が言う。


そして。


アランに向けて、手をかざす。


「……っ!!」


同じ。


同じ力。


体が縛られる。


動けない。


レオンも同じように。


完全に、封じられる。


「……くそが……!」


叫びも、届かない。


ローブの男は、興味を失ったように言う。


「すべて、回収する」


その言葉と同時に。


黒い鎖が現れる。


空間から伸びる。


アランの体に絡みつく。


「……っ!」


振りほどけない。


力が抜けていく。


レオンも同じ。


完全に拘束される。


ピリムとアリスと――同じように。


「……アラン……」


ピリムの声。


今度は、近い。


だが。


何もできない。


ローブの男が手を振る。


歪みが閉じる。


空間が収束する。


視界が暗くなる。


最後に見えたのは――


ローブの奥の、冷たい視線だった。


そして。


完全な暗闇。


「……っ……」


声も出ない。


意識が落ちていく。


こうして。


四人は――


同じ場所へと、捕らえられた。


第3話を読んでいただき、ありがとうございます。


今回は過去編として、歪みの中での戦いと敗北を描きました。

あと一歩届かなかった距離、そして圧倒的な力の差――それぞれの悔しさや無力感が、これからの物語に繋がっていきます。


アランたちがなぜ捕らえられたのか、その過程を知ることで、現在の状況もより重く感じていただけたのではないでしょうか。


ここから物語は再び現在へ戻り、動き出していきます。


いつも読んでくださり、本当にありがとうございます。

続きも楽しんでいただけたら嬉しいです。感想やコメントもお待ちしております。

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