第16話 襲われる街
第16話 襲われる街
森を抜けた瞬間、ユウトたちの目に飛び込んできたのは、すでに戦場と化している獣人の街の入口だった。
「……っ」
レオが息をのむ。
街の門の前で、獣人の戦士たちが人型の魔物と激しく戦っている。
剣と爪がぶつかり合い、金属音と唸り声が響いていた。
「グアアアッ!」
魔物が叫びながら飛びかかる。
それを獣人の戦士が槍で受け止める。
「押し返せ!」
別の戦士が剣を振るい、魔物の腕を斬り裂いた。
だが敵の数は多い。
一体倒しても、また別の魔物が前に出てくる。
街の奥からは、住民たちの慌てた声も聞こえてきた。
「街の中にも魔物が入ってるぞ!」
「子供たちを逃がせ!」
その声を聞いた瞬間、レオの表情が変わる。
「そんな……」
だがその時だった。
ドンッ!!
一体の魔物が勢いよく吹き飛び、地面を転がった。
周囲の戦士たちが一瞬そちらを見る。
そこに立っていたのは――レオの父だった。
巨大な剣を片手で持ち、静かに魔物たちを見据えている。
その足元には、すでに数体の魔物が倒れていた。
レオが叫ぶ。
「父さん!」
レオの父は一瞬だけ振り向く。
「レオか」
短くそう言うと、すぐに視線を魔物へ戻した。
その瞬間、一体の魔物が背後から飛びかかる。
だが――
剣が閃く。
ザンッ!
一瞬の斬撃。
魔物の体が真っ二つになり、そのまま崩れ落ちた。
周囲の戦士たちが息をのむ。
「さすがだ……」
レオも目を見開いていた。
「父さん……」
だが戦いは終わっていない。
森の方から、さらに人型の魔物が現れ始めていた。
ガルドが門の近くで叫ぶ。
「まだ来るぞ!」
その声に戦士たちが構え直す。
レオの父は剣を軽く振り、血を払った。
「数が多いな」
低く呟く。
その時だった。
ユウトが前に出る。
「ここからは俺もやる」
レオが振り向く。
「ユウトさん?」
ユウトは肩を回しながら言った。
「街の中で暴れられるのは好きじゃない」
その目はすでに魔物たちを見ている。
目の前には三体の人型の魔物。
黒い皮膚。
歪んだ顔。
長い腕を振りながら、ゆっくり近づいてくる。
一体が唸る。
「グルル……」
そして次の瞬間。
一斉に飛びかかってきた。
ユウトは動かない。
魔物の爪が振り下ろされる直前――
体をわずかにずらす。
爪が空を切った。
そのままユウトの拳が魔物の腹に突き刺さる。
ドンッ!!
鈍い音。
魔物の体が吹き飛び、地面を転がった。
続けて二体目が襲いかかる。
ユウトは腕を掴み、そのまま体を回転させる。
魔物の体が宙を舞い――
ドゴンッ!!
地面に叩きつけられた。
最後の一体が背後から爪を振るう。
だがユウトは振り向きもしない。
後ろへ一歩下がる。
爪が空を切る。
そして振り向きざまに拳を叩き込んだ。
ドンッ!
魔物はそのまま崩れ落ちる。
周囲が一瞬静まり返った。
戦っていた獣人の戦士たちが思わずユウトを見る。
「……なんだあの人間」
ガルドも目を細める。
レオの父は黙ってその様子を見ていた。
ユウトは軽く息を吐く。
だがその時。
街の奥から、さらに大きな音が響いた。
――ドン。
重い足音。
誰かが叫ぶ。
「まだいるぞ!」
通りの奥の影から、さらに数体の人型の魔物が現れる。
ユウトはそれを見て、小さく笑った。
「今日は忙しそうだな」
そして拳を握る。
どうやら――
この街の戦いは、まだ終わりそうになかった。
第16話を読んでいただき、ありがとうございます。
今回はついに街の中での戦いが始まりました。森での戦いが囮になっていたこともあり、街の中ではかなり激しい状況になっています。レオの父の強さや、ユウトの戦いも少し描くことができました。
この街の戦いはまだ終わっていません。ここからさらに大きな敵や展開も出てくる予定ですので、ぜひ次の話も読んでいただけたら嬉しいです。
いつも読んでくださり本当にありがとうございます。よろしければ感想やコメントもぜひお願いします。




