第12話 獣人の街の案内
第12話 獣人の街の案内
市場を後にして、ユウトたちは通りを歩いていた。
焼き魚の味がまだ口に残っている。
ユウトは軽く息を吐いた。
「うまかったな」
レオは少し嬉しそうに笑う。
「この街の魚は人気なんです」
リリアも頷いた。
「とても美味しかったです」
市場を離れると、通りは少し静かになった。
さっきのような賑やかさはないが、あちこちで獣人たちが普通に生活している。
子供たちが走り回り、大人たちは店で仕事をしている。
ユウトはそれを見ながら言った。
「思ってたより平和だな」
レオは少し考えてから答えた。
「この街は森に守られているので」
「森に?」
リリアが聞く。
レオは頷く。
「はい。森は危険ですが、同時に街を守ってくれているんです」
ユウトは小さく笑う。
「魔物もいるけどな」
「それも含めてです」
レオはそう言った。
三人はしばらく歩く。
すると少し開けた場所に出た。
そこには大きな広場があった。
中央には――
巨大な狼の銅像。
石で作られた狼が、堂々と立っている。
リリアは思わず見上げた。
「やっぱり大きいですね」
レオは銅像を見ながら言う。
「この街の象徴みたいなものです」
ユウトはしばらく銅像を見ていた。
鋭い目。
堂々とした姿。
不思議な存在感がある。
「……」
ユウトは小さく呟く。
「やっぱり、どこか似てる気がする」
「え?」
リリアが振り向く。
「いや、なんでもない」
レオは少し首を傾げたが、それ以上は聞かなかった。
その時だった。
遠くから大きな声が聞こえる。
「おい!」
三人が振り向く。
数人の獣人が通りの奥から走ってきていた。
息を切らしている。
その表情は焦っていた。
「レオ!」
一人が叫ぶ。
「森の近くで魔物が出た!」
レオの表情が一瞬で変わる。
「魔物?」
男は頷いた。
「街の外だ!見回りの連中が戦ってる!」
周囲の空気が一気に緊張する。
ユウトはゆっくり立ち上がった。
「……なるほど」
どうやら――
静かな街の時間は、ここで終わりらしい。
第12話を読んでいただき、ありがとうございます。
今回は獣人の街を案内しながら、街の象徴である狼の銅像も少し登場しました。そして最後には森の近くで魔物が出たという知らせが入り、少し物語が動き始める流れになりました。
次の話では、その魔物の騒ぎがどうなるのか、ユウトたちがどう関わっていくのかが描かれていきます。ぜひ続きも読んでいただけたら嬉しいです。
いつも読んでくださり本当にありがとうございます。よろしければ感想やコメントもぜひお願いします。




