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第9話 森を治める者

第9話 森を治める者


レオの父の後ろを、ユウトたちは歩いていた。


街の通りを抜け、少しずつ奥へと進んでいく。

最初に通った賑やかな場所とは違い、この辺りは静かだった。


大きな建物がいくつか並び、どこか落ち着いた空気が流れている。


リリアが小さな声で言った。


「なんだか……雰囲気が違いますね」


レオは頷く。


「この辺りは長老や街の偉い人たちがいる場所なんです」


ユウトは周囲を見回した。


建物はどれも立派で、通りも広い。

警備なのか、ところどころに獣人の戦士の姿も見える。


その視線が、ユウトたちに向けられていた。


人間がこの街を歩いている。

それだけで目立つのだろう。


ユウトは肩をすくめた。


「完全に見られてるな」


レオは少し苦笑する。


「すみません……」


「気にするな」


ユウトは軽く言った。


前を歩いていたレオの父が、ふと立ち止まる。


そこには大きな建物があった。


他の建物よりもさらに大きく、木と石で作られた重厚な造りだ。


入口の両側には、二人の獣人が立っている。


槍を持った狼の獣人の戦士だった。


二人はレオの父を見ると、すぐに姿勢を正した。


「お帰りなさい」


レオの父は軽く頷く。


そして言った。


「長老に会う」


戦士の一人が少しだけユウトたちを見る。


だが何も言わず、静かに扉を開いた。


「どうぞ」


レオの父は振り返り、短く言う。


「来い」


ユウトたちは建物の中へ入った。


中は外よりも静かだった。


広い通路が奥へと伸びている。

木の床が足音を静かに響かせた。


しばらく歩くと、また大きな扉の前に出る。


レオの父が扉の前で止まった。


そしてゆっくり扉を開く。


部屋は広かった。


中央には大きな机。

その奥に、一人の老人が座っている。


白い髪。


長い耳と尾。


狼の獣人だった。


だが普通の狼の獣人とは違う。


年老いているはずなのに、空気が違った。

その場にいるだけで、周囲が静かになるような存在感。


レオが一歩前に出る。


「長老」


老人は静かに目を開いた。


ゆっくりとユウトたちを見る。


その目は穏やかだったが、どこか鋭い光があった。


レオの父が言う。


「森で人間を見つけた」


長老はユウトを見つめた。


数秒の沈黙。


やがて静かに口を開く。


「……珍しいな」


低く落ち着いた声だった。


ユウトは少しだけ肩をすくめる。


「そうみたいだな」


長老は小さく笑った。


「この街に人間が来ることは、ほとんどない」


そしてゆっくりと言う。


「だが……」


長老の視線がユウトからリリアへ、そしてレオへと移る。


「森を抜けてここまで来たということは、理由があるのだろう」


静かな声だった。


部屋の空気が少し張り詰める。


長老はゆっくり言った。


「話を聞こう」


その一言で、部屋の空気が変わった。


ユウトは小さく息を吐く。


どうやらここからが本番らしい。

第9話を読んでいただき、ありがとうございます。


ついにユウトたちは獣人の街の長老と対面しました。静かな人物ですが、この街をまとめている存在でもあります。これから長老との会話で、森や獣人のことも少しずつ見えてくると思います。


ここまで読んでくださり本当にありがとうございます。よろしければ感想やコメントもいただけると、とても励みになります。次の話もぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

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