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第7話 街を守る狼の影

第7話 街を守る狼の影


森を抜けた瞬間、視界が一気に開けた。


木々の壁が途切れ、その先には石でできた道と、大きな木の門が見える。

森の奥とは違い、人の気配がはっきりと感じられた。


そして――


広場の中央には、ひときわ目立つものがあった。


巨大な狼の銅像。


前足を力強く踏みしめ、遠くを見据えるその姿。

鋭い牙と鋭い目は、まるで今にも動き出しそうな迫力を持っていた。


ユウトは思わず足を止める。


「……なんだ、この狼」


リリアも銅像を見上げる。


「すごいですね……本物みたいです」


ユウトはしばらく銅像を見つめていたが、やがて眉をひそめた。


「……なんか、似てるな」


「え?」


「誰かに……いや、何かに」


だが思い出せない。

胸の奥に小さな違和感だけが残る。


レオは銅像を見上げながら言った。


「この街の守り神なんです」


「守り神?」


「はい。昔、この森を守った狼の英雄がいたって言われてます」


レオはそう言って、少し誇らしそうに笑った。


その時だった。


「止まれ」


低い声が響く。


街の門の前に立つ鎧姿の男が、こちらを見ていた。

大きな槍を持った門番だ。


鋭い目が三人を順番に見ていく。


「森から来たのか?」


ユウトは少しだけ警戒した。


だがその瞬間――


「あ、ガルドさん」


レオが声をかけた。


門番は一瞬きょとんとしたあと、目を丸くする。


「……レオ?」


そしてすぐに眉をしかめた。


「お前また森の奥まで行ってたのか」


レオは苦笑いする。


「ちょっとだけです」


「ちょっとじゃないだろ。前も魔物に追いかけられてただろうが」


「今回は大丈夫でした」


レオはそう言ってユウトたちを振り返る。


「この人たちに助けてもらったんです」


門番――ガルドはユウトとリリアを見る。


鋭い視線だったが、敵意はない。


「……そうか」


腕を組む。


「レオを助けてくれたのか」


ユウトは軽く肩をすくめた。


「たまたまだ。魔物に襲われてたからな」


リリアも小さく頭を下げる。


「危ないところでした」


ガルドはしばらく二人を見ていたが、やがて息を吐いた。


「なるほどな」


槍を肩に担ぐ。


「レオの知り合いなら問題ない」


門を指さした。


「街に入っていい」


レオはほっとした表情になる。


「ありがとうございます」


三人は門をくぐった。


そして――


ユウトは思わず立ち止まった。


「……すごいな」


街の中には、さまざまな獣人たち が暮らしていた。


狼の耳を持つ者だけではない。


猫の耳を揺らしながら屋台で魚を売る獣人。

大きな熊の体をした職人が木を削っている。

長い耳を持つ兎の獣人が軽やかに道を走り抜ける。

小さなリスの獣人たちは、木の上を器用に移動していた。


それぞれ姿は違うが、皆この街で普通に暮らしている。


リリアは目を輝かせた。


「こんなにたくさんの獣人が……」


レオは少し照れくさそうに言う。


「ここは獣人の街ですから」


ユウトは改めて広場を見る。


その中央には――


やはりあの 巨大な狼の銅像 が立っていた。


街のどこからでも見えるほど大きい。


まるでこの街すべてを見守っているかのようだった。


ヒヨコが胸元で小さく羽を震わせる。


ユウトはもう一度銅像を見上げた。


「……やっぱり似てる」


だが、まだ思い出せない。


その違和感が、これから先の出来事に繋がっていくことを――

ユウトはまだ知らなかった。


第7話を読んでいただき、ありがとうございます。


今回はついに獣人の街に到着し、レオの知り合いである門番とのやり取りや、狼だけでなく様々な獣人たちが暮らす街の様子を描きました。少しでも街の雰囲気や賑やかさを感じてもらえたら嬉しいです。


そして街の中央にある 狼の銅像。

ユウトが感じた「何かに似ている」という違和感も、これから少しずつ意味を持っていきます。


よろしければ感想やコメントもぜひお願いします。とても励みになります。

次回も読んでいただけると嬉しいです!

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