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社畜だった俺のスキルはガチャだけ。気づいたら最強になっていた  作者: 1315
第1章 「眠れる竜の血を引く少女」
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第2話 赤毛の少女の目覚め

第2話 赤毛の少女の目覚め


朝の光が村を柔らかく照らす。

通りには普段のざわめきが戻りつつあったが、広場の一角にある小屋だけは、異質な静けさに包まれていた。


ユウトとリリアは肩のヒヨコを抱え、小屋の中にそっと入る。

赤く長い髪を床に広げ、背中の小さな翼を折りたたんだ少女は、深い眠りに沈んでいた。

胸の上下する動きは規則正しいが、その呼吸からは、眠りに潜む力が微かに伝わる。


「ユウトさん……そろそろ目覚めるかもしれません」

リリアの声には低い緊張が含まれていた。

「……もう?」

ユウトは息を呑む。

「はい……生命の気配が少しずつ強くなっています」


ヒヨコが肩で小さく羽を震わせ、「ぴよ……ぴよ……」と警戒の声を上げる。

ユウトは肩に抱き直し、静かに少女を見守った。


少女のまぶたがわずかに揺れ、口元が震える。

「……ふぁ……」

眠りから覚める声が、小屋の空気を微かに揺らす。


ユウトは息を潜め、リリアと視線を交わす。

「……目覚めたな」

「落ち着いて観察してください。慌てる必要はありません」

リリアは短剣を握り直し、警戒を崩さずに少女に語りかけた。


少女の目がゆっくりと開く。

黄金色の瞳は周囲を注意深く見渡すが、不安と戸惑いが入り混じる。

背中の翼がわずかに広がり、羽の先端が光を受けて微かに揺れる。


「……ここは……?」

かすれた声に、ユウトは一歩踏み出して答える。

「大丈夫だ。ここは村だ。怪我はしていない」


リリアも肩に手を添え、静かに告げる。

「安心してください。私たちはあなたの味方です」

少女はゆっくり頷き、まだ幼い体の力を意識しながら慎重に立ち上がった。


翼がわずかに震えると、床の埃が舞い、微かな風が小屋に流れる。

羽先から伝わる力の存在は、まだ制御されていないが確かにそこにあった。


「……力……覚えて……いる……」

少女は自分の中に眠る何かを感じ、手を震わせる。


ユウトはそっと少女の肩に目をやり、リリアに囁く。

「……本当に、何が起こるかわからないな」

「はい……でも、今は安全です。落ち着くように見守りましょう」


しばらく沈黙が続く中、ユウトは少女に静かに声をかける。

「君には名前があるか? 教えてくれるか?」


少女は黄金の瞳で二人を見つめ、かすかに答える。

「……アリス……」


リリアは肩を軽く撫で、柔らかく言った。

「アリス……ですね。わかりました。これからはその名前で呼びます」


ユウトも頷き、静かに告げる。

「アリス……覚えた。よろしくな」


アリスは小さく頷き、背中の小さな翼をそっと揺らした。

その姿はまだ幼く、力も不完全だが、名前を持つことで少しだけ落ち着きを取り戻しているようだった。


ユウトは少し微笑み、声をかける。

「俺の名前はユウトだ。君が呼ぶときはそう呼んでくれ」

リリアも優しく言う。

「私はリリアです。敬語で話してくれてもいいですし、自然に呼んでくれても構いません」


アリスは黄金の瞳を二人に向け、かすかに口を動かす。

「……ユウト……リリア……」

小さな声で名前を繰り返す。その口調には慎重さと、少しの安心が混じっていた。


外では子供たちの声が聞こえる。

「赤い髪だ! 本当に竜族だ!」

「翼もあるぞ!」

ユウトはヒヨコを肩に戻し、アリスを守るように立つ。

「落ち着け……ここは危険じゃない」


リリアも肩に手を添え、静かに告げる。

「慌てず、ゆっくりで構いません。私たちがそばにいます」


黄金色の瞳に不安と警戒は残るが、名前を得て、ユウトとリリアの存在を知ったことで、アリスは少しだけ安心した表情を見せた。

小さな体に宿る未知の力は、まだ制御されていないが、確実に存在していた。


――こうして、赤毛の竜族少女アリスの目覚めは、名前を知ることで最初の一歩を踏み出した。

そして、ユウトとリリアとの関係も、静かに始まったのだった。

本作を最後までお読みいただき、ありがとうございます。


アリスをはじめ、ユウトやリリア、そして村や竜族の世界に触れてくださった皆さまに、心から感謝申し上げます。

物語はまだ始まったばかりで、彼らの旅はこれからも続いていきます。


読者の皆さまに支えられながら、この世界を描けることを、とても幸せに思います。

今後もアリスたちの歩みを、一緒に見守っていただけたら嬉しいです。


最後にもう一度、読んでくださったすべての方へ――

本当に、ありがとうございました。


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