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社畜だった俺のスキルはガチャだけ。気づいたら最強になっていた  作者: 1315
第5章 「存在しないはずの魔法領域」
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第9話 声なき試練 (ヒヨコ試練)

第9話 声なき試練


光の中で――


ヒヨコは、ひとりだった。


「ぴよ……?」


小さく鳴く。


ユウトも。


リリアも。


レオも。


誰もいない。


静寂。


音のない空間。


「ぴよ……」


一歩、踏み出す。


だが、その足音すら響かない。


その時。


「……なるほど」


声が響く。


姿はない。


だが確かに“何か”がいる。


圧だけが、そこにある。


「器は小さい。だが中身が違う」


ヒヨコは首を傾げる。


「ぴよ?」


次の瞬間。


空間が歪む。


重圧。


体が押し潰される。


「ぴよっ……!」


地面に押さえつけられる。


動けない。


だが。


その瞳は逸れない。


まっすぐ前を見る。


「……恐れないのか」


ヒヨコは震えながらも、立ち上がる。


「ぴよ……!」


羽を広げる。


小さい。


弱い。


それでも、逃げない。


「……ほう」


空間が揺れる。


影が現れる。


黒い存在。


形の定まらない敵。


ヒヨコに向かって襲いかかる。


「ぴよ!」


跳ぶ。


避ける。


だが速い。


攻撃を受ける。


転がる。


それでも立つ。


何度でも。


だが――


攻撃がない。


届かない。


「……無力」


声が落ちる。


影が迫る。


終わりが近づく。


その時。


ヒヨコが止まる。


「ぴよ」


小さな声。


だが。


空気が震える。


音が広がる。


見えない波。


影が一瞬止まる。


「……これは」


ヒヨコの羽が揺れる。


その先に――


赤い光。


一瞬だけ、炎のように。


すぐに消える。


影が再び動く。


だが。


ヒヨコは動かない。


「ぴよ」


もう一度。


音。


今度ははっきりと。


影が鈍る。


止まる。


その瞬間。


ヒヨコが踏み出す。


「ぴよ!!」


音が弾ける。


衝撃。


影が崩れる。


消える。


静寂。


ヒヨコは立っている。


変わらない姿で。


だが、その奥は違う。


「……目覚めかけているな」


声が静かに言う。


その時。


足元に光が落ちる。


小さな粒。


ヒヨコはそれをついばむ。


「ぴよ」


飲み込む。


体の奥が熱を帯びる。


羽が揺れる。


今度は、さっきよりはっきりと。


赤い光。


だが――まだ不完全。


「……種だ」


声が告げる。


「成長するか、消えるか」


「それはお前次第だ」


ヒヨコは動かない。


座らない。


眠らない。


ただ、立つ。


「ぴよ」


その時だった。


視界の奥。


ほんの一瞬だけ――


何かが見えた。


炎。


揺れる赤。


空を舞う影。


一つじゃない。


いくつも。


羽ばたく。


大きな翼。


燃えるような光。


まるで――


同じ“存在”の群れ。


「……」


声がわずかに止まる。


「……見えているのか」


ヒヨコは首を傾げる。


「ぴよ?」


だが次の瞬間。


それは消える。


まるで幻のように。


「……なるほど」


声が小さく呟く。


「やはり、そういうことか」


空間が揺れる。


光が広がる。


ヒヨコの体を包む。


「ぴよ」


小さく鳴く。


そのまま――


現実へと引き戻される。


光の中へ消えていく。


だが。


その小さな体の奥には。


確かに、“何か”が芽生えていた。


第9話、ここまで読んでいただきありがとうございます!


今回はヒヨコの試練回でした。

小さな存在でありながら、これまでとは明らかに違う“何か”を感じていただけたと思います。


戦う力ではなく、「音」や「存在そのもの」で干渉する――

他のメンバーとは全く異なる方向の成長が見え始めました。


そしてラストに一瞬だけ描かれた“あの光景”。

あれが何を意味するのかは、これから少しずつ明らかになっていきます。


次は、いよいよ合流。

それぞれが試練を越えたあと、どう変わっているのか――ぜひ見届けてください!


引き続き応援よろしくお願いします!

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