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第8話 決壊しそうなダム

16歳にして日本最高峰の剣道の大会の優勝者である高校1年の颯斗りくとは、

勇者召喚に巻き込まれて、異世界に転移する。

自分は勇者の付属品だと言う颯斗だが、

人の限界を遥かに越える力を驚く程の速さで付けていく。

 しばらく歩くと、少し先は暗雲が立ち込めていて、

 昼間なのに、まるで夜の様に暗かった。

「何だあそこ?こんなにいい天気なのに、あの辺りだけ暗い雲?

 まるであそこだけ夜みたいじゃないか」

「おいあんた、この先は危ないよ?間もなくダムが決壊しそうなんだ」

「ダム?」

「この先の村は、農業が盛んでね。

 水を安定供給する為に大きなダムがあるのさ。

 ここ10日ばかり、記録的な大雨が続いてね。今にも決壊しそうなんだよ」

「でも俺、あの村のもっと先のガードナー王国に行かなきゃならないんだ」

「そりゃ困ったね。あの村を通らないと先には行けないね。

 この辺は一本道で分かりやすい反面……迂回する道がないからね?

 仕方ないから、少し離れた所で待機して様子を見るしかないね」

「そうか……分かった、近くに行って様子を見てみるよ。

 教えてくれてありがと。じゃ」

「いや……近くじゃなくて遠く……ああ……行っちまったよ……」


「バケツをひっくり返したような雨ってこの事だな……」

「ねえ、貴方。ここは危険よ。早く逃げないと……」

 颯斗と同じくらいの年の女の子が話しかけてきた。

「うん、それはさっき聞いたよ。君こそ逃げ……」

「どうしたの?横を向いて。顔も赤いわよ」

 女の子の胸あたりを指差し……

「服が濡れて……その……なんで下着付けてないの?」

「えっ?きゃっ!み、見えた?」

「……ちょっと……」

「雨続きで、洗濯物が乾かなくて……白いシャツしか着てなかった……」

「取りあえず、これをはおって……早く避難しないと……君、名前は?」

「ソニアよ。でも……出来ないの……足の悪い妹がいて……

 私、妹との2人きりの家族で……あの子1人を置いては行けないわ」

「妹さんが危ないな。君の家はどこ?俺がその子をおぶって逃げるよ」



「ソニア、走るから落ちない様にその子をしっかり俺に縛って。

 いいか?じゃあ行くよ」

 〝ゴォォォォォォ……〟

「地響き……まずいな……よっと!」

「きゃっ!」突然ソニアを抱き抱える颯斗。顔を赤らめるソニア。

「ごめん、ソニアの足だと間に合わないから……しっかりつかまってて!」

 背中にサリナ、前にソニアを抱いて走り出す。

 走っているというより地面スレスレを飛んでいる様だ。

「……凄い……2人を抱えているのになんてスピード……」

「鍛えてるからね。しかし何でここだけ、こんなに雨が……」

「龍神様がお怒りになっているとみんなは言っているわ」

「龍神様が?どゆこと?」

「理由は分からない。龍神様の祠に、

 物すごい瘴気が漂ってると、みんなが言ってたわ……

 それからよ……雨が降り出したのは」

「龍神様に何かしたのか?」

「……全く分からない……」



「ここまで来れば、ダムが決壊しても大丈夫だよね?」

「ええ、多分大丈夫かと……ありがとう。リックさん」

「俺達同じくらいの歳だろ?さんはいらない。俺はちょっと、龍神様の祠を見てくる」

「やめた方が……危ないわよ……」

「確かに……そうだね。先にダムの水を少し減らしてからにしようか」

「……減らす?」

「アイテムボックス持ってるんだ。俺、随分レベルが上がったから、

 アイテムボックスの総量がレベルに同期して増えたみたいで、

 洪水だろうと何だろうと相当量入ると思うからさ」

「でも……流石にダムの水は……」

「どうかな?ま、やってみるよ」



「やばっ!……これって……まさに決壊寸前なんじゃないか。

 ダムがミシミシ変な音をたててる……急がなきゃ」


 〝ズシャ~~~~ッ!ズズズズ……〟

「やっぱりめちゃくちゃ入るな。でももうそろ、

 水位は平常時くらいに戻りそうだよな……」

 キョロキョロする颯斗。祠を探していた。

「あそこだな……凄い瘴気。祠で何が起きてるんだ?」


「クッ……とんでもない瘴気だな……近づいただけで、吐き気に頭痛……

 あっ、何だあれ?怪しく光ってる……

 魔道具か?それにしても気味の悪い形だな……」

 8個の魔道具で祠を囲み、薄っすらと魔法陣が形成されていた。

「見た事ない魔法陣だな?あの魔道具みたいなやつを壊せば、解除出来るかも?」


 〝ジャッキ~ン〟

「グワァァァァ~~!!」

 剣が魔道具に触れた瞬間、物すごい衝撃波が身体中を駆け巡った。

「雷でも剣に落ちたみたいな衝撃だ……まだ痺れてる……

 これを後7回やるんか?きつ~~」


 何とか全てを破壊すると、オスカーにもらった剣もボロボロになってしまっていた。

 次第に瘴気も消えていく。代わりに祠から虹色の光が漏れ出てきた。

 その光が、薄っすらと龍神の姿に変わる。


「少年よ。感謝する。記憶が定かではないが、

 危うく村人達を傷付けてしまうところだった様だ……」

「貴方が龍神様ですか?何か薄っすらとしか見えませんが?」

「まだ完全復活には程遠いからな……」

「何があったのですか?」

「悪魔の仕業だ。ここに魔道具を置き作動させたのは……

 あの瘴気で、我の神力を暴走させおった……」

「それであんな大雨が?」

「大雨?そうか……ダムを狙ったのか?

 途中からの記憶が曖昧なのだ。我が大雨を降らせてしまったのだな?」

「もう大丈夫ですよね?街道に足の悪い子を置いて来たので……

 無事を確認しないと心配なんです」

「少し待ってくれないか?何やら……あの悪魔、まだ近くにおる様なのだ……

 あの山の中腹……滝のあるあたり……

 すまんが少年、あれを何とかしてくれんか?」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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