第7話 冒険者ギルド
16歳にして日本最高峰の剣道の大会の優勝者である高校1年の颯斗は、
勇者召喚に巻き込まれて、異世界に転移する。
自分は勇者の付属品だと言う颯斗だが、
人の限界を遥かに越える力を驚く程の速さで付けていく。
「それでは、アンナさん、お世話になりました。
この恩はいつか必ず返すからね?」
「何言ってるの、リック。
この地から魔物をこんなに減らしてくれて、
安心して暮らせる様にしてくれたんだから……
こっちこそ、ありがとうよ」
「やりたい事をやっただけだから気にしないで。
エイミーも元気でな」
エイミーもすでに8歳。
少しずつ、女の子らしい表情を見せるようになっていた。
「用事が済んだら戻ってくるんでしょ?お兄ちゃん」
「ああ、そのつもりだよ。ジェームス家は俺の家族。
ここは俺の故郷だと思ってるからね。
また帰ってきていいかな?」
「うん! もちろんよ!
リックは、私のお兄ちゃんだもん。
エイミー、待ってるね」
「……でっかい建物だな。
ここがサンタリアの冒険者ギルド?
街の規模の割に、やけに立派だ」
「冒険者ギルドは、
どこの国にも属さない独立した組織なんだ。
建物もそれなりにしっかりした強固なものにしないと、
色々都合が悪いんだよ」
「ふ~ん……そうなんだ……人の出入りも多いよね」
「そんじゃあ、まずは受付で、冒険者登録をして、
その後、ステータスの、測定だな。それでランクが決まる」
「そこのカウンターだ。リック」
「あの、冒険者登録をしたいんですけど」
「ではこの水晶の球に触れて下さい。ステータスを確認します。
その数値と、ステータスに記録されている、
今まで倒した魔物のレベルと数により、
自動的にクラスが決まります」
「へ~……ステータスには、
今まで倒した魔物のレベルと、
数まで記録されているんだ?
気付かなかったな?
あっ……ステータス2ページ目がある……
この水晶に触れればいいんですね? こうかな?」
水晶に触れると、それは蒼く澄んだ光に包まれた。
「ええ~!?レベル105?何なんですかこれ!?
他の数値も……討伐した魔物102345体……
あ、貴方は一体何者なんですか!?」
「何を騒いているんだ」
「ギルマス!この数値を見て下さい!」
「お、お前……どんな偽装を……」
「ギルマス、こいつは偽装なんぞしていないぞ?」
「あ、貴方は、元S級冒険者のオスカー殿。
では、この少年は……?」
「俺の弟子であり、息子みたいなもんさ」
水晶の表面に、
はっきりと……Sの文字が浮かび上がった。
「リクトさん、貴方はS 級冒険者と判定されました」
「えっ……いきなりS級?
最初はE級とかなんじゃないの?」
「お前は俺に勝てるんだぞ?
間違いなくS級認定されると思っていたぞ?
変な私情が入らないようにと、
自動判定になっているんだからな」
「冒険者の事、
右も左も分からないのに大丈夫なのかな?」
「上級じゃなきゃ入れない場所もあるし、
泊まるところとかも優遇されるんだから、
その方が良いんだよ」
「そうなんだ?うん分かった」
「はい、リクトさん。
こちらが貴方の冒険者カードです」
「S級ってプラチナカードなんだね?」
「ああ、懐かしいな。今も変わらないんだな」
「さっき受付嬢さんに説明を受けたけど、
これ自分の魔力を通すと青く光るんだよね?
他の人の魔力だと、
光らないんでしょ?偽造防止なんだよね?」
「それもあるし、盗んだカードや拾ったカードの、
悪用を防止するためでもあるな。
そのカードで、
金を預けたり引き出したりも出来るからな」
「そういえばさあ……
魔石やら何やら売ったら1億ギルにもなったんだけど。
そのお金、持って帰って、村のために使ってよ」
「その必要はない。増えた魔物のおかげで……
てのも妙だが、討伐した素材やら何やらで、
村は潤っているからな。
お前が討伐した魔物の素材……それも全部、
村の資金にって寄付してくれてたろ?
あれどれくらいになってたか知ってるか?
あれだけでも2億ギル以上になっているんだぞ?
もう十分過ぎる。
だから気持ちだけ貰っておく。
それはお前が持っていて、
お前が本当に必要だと思う時に使えば良い」
「分かった。必要になったら、いつでも言ってね?
お金はまだまだ増えてきそうだからさ」
「じゃあ俺は行くよ」
「ああ、絶対死ぬんじゃないぞ?」
「ははは、やだな~縁起でもないこと言わないでよ」
「まずは、
ガードナーの未踏の迷宮に行ってみるんだったな?」
「手に入れられるかは分からないけどね……
本当にそれがあるのかすら分からないんだから」
「ライアン様の予言に間違いはない。
それは、お前もよく分かってるだろ?」
「うん、そうだね……
そんじゃ、行ってきます。オスカー……父さん」
「ああ、無事に帰ってくるんだぞ。我が息子」
ライアンの予言で、
迷宮で何かを手に入れようとしている颯斗だった。
(一本道ってのは分かりやすいよな。
人や馬車のために整備された道を、
真っ直ぐ行けばガードナー王国だもんな。
だけど、この際だからと、
回り道して森や谷とかを通って魔物退治……
レベルアップも兼ねてと思ったけど、
雑魚ばっかりで、全然レベル上がらなかったな……)
「おい、お前!お前がS級冒険者のナギ・リクトか?」
「さあ?どうだろ?」
「ふざけるな!冒険者カードか、身分証を出してみろ」
「やだね、断る。なんでお前達に見せる必要がある?」
「何だと?俺らは、王直属の騎士団だぞ!逆らうのか?」
「王直属の騎士団?それがどうした?俺には全然関係ないな。
冒険者ギルドは、世界共通、1つの組織。
俺達冒険者は、どこの国にも属さない。
王直属だかなんだか知らないが、
お前達に従う義務はない」
「そうはいかん、お前、その名前からして、
この国の者じゃ無いだろう?
つまり……不法滞在の疑いもある」
「さっき聞いたよな?俺が、S級冒険者かって。
冒険者のA級以上は、
貴族相当なんだろ?ましてやS級は、伯爵以上。
それを〝お前〟呼ばわりか?お前、名を名乗れよ。
あとできっちり王家に抗議してやる」
「……うるさい!強制送還しても良いんだぞ?」
「やってみたら良い。S級相手に、
10人やそこらの騎士で出来ると思うならな」
「…………」
「話は終わりか?じゃあ失礼する」
(聞いてた通りのクソ王家だな。
早速、目を付けてきやがった。
この名前で冒険者登録したのはまずかったかな?
いきなりS級とは思わなかったから油断した。
リック・ジェームスとかにしとけばよかったかな?)
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