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第51話 いやいや……願ってもない展開でさ

16歳にして日本最高峰の剣道の大会の優勝者である高校1年の颯斗りくとは、

勇者召喚に巻き込まれて、異世界に転移する。

自分は勇者の付属品だと言う颯斗だが、

人の限界を遥かに越える力を驚く程の速さで付けていく。

「サエキ。聖女たちの件はどうだ?」

「まあ、順調かな……」


 テーブルの上を見る颯斗。

(ああ〜〜米だ……ご飯だ……うわぁ〜)

(リック……お前……よだれよだれ…て)


「誰だ!」

「どうした?急に?」

「あそこ……あそこに魔力の(よど)みを感じる」

「あ〜もう……速攻でバレたじゃないか!

 食いもんに心を乱されおって」

「しょうがないだろ!故郷の食いもんだぞ?

 もう何年も食ってないんだぞ!」

「何者だお前たち」

「佐伯先輩。俺です。那岐です」

「ナギ?誰だ?」

「高校の後輩じゃないですか……

 二人が召喚された時、一緒にいたでしょ?

 あの時、俺もこっちに飛ばされたんですよ」

「召喚?飛ばされた?何の話だ?」

「近藤先輩!先輩は俺のこと分かりますよね?」

「分かりかねますが?」

「おにぎりは覚えているのに俺が分からないのか……」

「おにぎり?貴方、おにぎりを知っているのですか?

 私の故郷の食べ物だそうですが……」

()()()()()?何言ってるんだ……

 何も覚えていないのか?

 あんた達いつからの記憶がないんだよ?」

「そんな事はどうでもいいのよ?もう良いわ。

 捉えてちょうだい」

「どうでもいいって……

 なぜ俺を捉えなきゃなんないんだよ?」

「不法侵入しておいて……当たり前じゃない?」

「あっ……不法侵入?……それもそうか?ハハハ……」

「ハハハじゃないぞリック?どうすんだよ?」

「あんた達、少しで良いから話を聞いてくれないか?」


 〝ガキンッ!〟

 一瞬。

 佐伯の姿が掻き消え、次の瞬間には背後。

 喉元に冷たい刃が伸びる。


「ちょ……捉えるんじゃないの?

 殺しに来てるよね佐伯先輩」

「こうも簡単に剣を跳ね返されるとはな?

 お前本当に何者だ?」

「だからあんた達の後輩だって……

 あれ?近藤先輩……お腹が?おめでたですか?」

「あら?このお腹?何?おめでたって?」

「リック……だめだこりゃ……完全に正気を失ってる」


 〝ガキンッ!ガキンッ!ガッキンッ!〟

 問答無用。

 殺意だけが飛んでくる。

「不味いな……ここで暴れてお腹の子に何かあったら……」


 〝陛下!如何されました?大丈夫ですか?〟

「ジェブ、一旦引くぞ!」


 颯斗はジェブの手を掴む――

 空間が歪み、

 次の瞬間、二人は消えた。



「やばかったな?どうするリック?」


「ここを狂わせてる悪魔を倒すしかない……

 だろ?……」


 〝ガキンッ!〟

「は?逃すと思うか?」

 刃を弾いた先に――魔王。


「魔王?お前も空間移動が出来るのか?」

「お前に出来て、なぜ俺に出来ないと?」


 〝ガキンッ!ガキンッ!ガッキンッ!〟

「リック!大丈夫か?

 お前が避けるだけで精一杯とは……」

 〝ガキンッ!ガキンッ!ガッキンッ!〟

「クッ……違う……こいつ……余裕で避けてやがる……」

「魔王、お前……割と正気だな?」

「……そうでもない。

 意識は……僅かに残っているが……

 制御できない……

 あの二人の友を傷つけたくない……

 逃げろ……お前なら……何とか……」

「ジェブ!」

「おう!」


 空間が裂ける。

 再び転移。


 ーーーーーーーー


「また追ってくるんじゃ?」

「ハハハ……ここは那岐神影流の本山の裏山だぞ?

 こんな距離、追ってこれるわけない」

「そうか?」

「ああ、心配するな。

 俺だってこの距離を移動できる様になったのは、

 つい最近だからな」


「甘いですね〜〜

 そう簡単に逃すわけないじゃないですか?」

 背筋が凍る。

「な、なんだお前は?」

「貴方、少々邪魔ですね?

 死んで頂きましょうか」

「あ……あの時の悪魔……」


「ほお?一瞬で思い出すとは。

 よほど私が恐ろしかったようですね」


「プッ……ククク……」

「何がおかしいのです?

 恐怖で壊れましたか?」

「いやいや……願ってもない展開でさ」

「……何を言っているのです?」

「外に転移した時から、お前の気配は感じてた。

 追いかけて来てくれないかな〜ってな」

「私の前で凍り付いていた男が?」

「そだよ?それが?」

「だったら貴様、何故そんなに余裕ぶっているんだ?」

「あっ、口調が変わった」

「カンに触るやろうだ……死ね!」

 一瞬で間合いを詰める悪魔。


 〝ザンッ!〟

 左肩から右脇へ。

 完璧な斬撃。

「何だよ……呆気ないな?」

「何が呆気ないんだ?」

 斬り裂かれた颯斗の姿が揺らぎ、霧散する。

 背後。

「自分のこと、速いと思ってた?」

 振り向いた悪魔の視界に映る――

 無傷の颯斗。


 全身が銀色に輝き、

 髪は逆立ち、

 瞳は冷たく笑っている。


「遅い遅い……欠伸が出る」

「クソがァァァ!!」


 〝シャンシャンシャン!!〟

 目で追えぬ連撃。

 だが――当たらない。

 斬ったはずの場所に、颯斗はいない。


「ちょこまかと……!

 逃げてばかりでは俺様には勝てんぞ!」

「ん?じゃあ、こっちから行くか?」

「ふん……俺様は貴様のように逃げん。

 好きなだけ斬ってみろ」

「そんじゃ、お言葉に甘えて」

「愚か者。

 俺たち悪魔は実体があるようで無い。

 どれだけ斬ろうがノーダメージだ。

 知らんのか?」

「知ってるよ?」

 颯斗は静かに腰へ手を伸ばす。


「でも――この剣だったらどうだ?」

 〝シャキィィン――!!〟

 神剣エゼルソードが、銀光を放った。

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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