表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/60

第45話 あれは……魔竜

16歳にして日本最高峰の剣道の大会の優勝者である高校1年の颯斗りくとは、

勇者召喚に巻き込まれて、異世界に転移する。

自分は勇者の付属品だと言う颯斗だが、

人の限界を遥かに越える力を驚く程の速さで付けていく。

「長殿。我の主人は、

 魔族領の一つ手前の国に迫っている様だ。

 そろそろ、主人の元に戻らねばならぬ」


 ドラゴンの里――

 彼らは普段、人の姿で暮らしている。

 その方が衣食住すべてにおいて都合が良いからだ。

 家があり、畑があり、笑い声がある。

 竜でありながら、ここには確かな“暮らし〟があった。


「そうか……いつか、

 その主人殿も連れてまた訪ねて来なさい」

 長は静かにジェブを見つめる。


「お前のその力……神に近い。

 それを授けたのは主人殿なのだろう?

 その方は……神の力を持っているな」


「ああ。我もそう思う。

 いずれ必ず――……ん?」

 ジェブの瞳が鋭く細まる。

「何だ……この凶々しい気配は?」

 外から複数の足音。

 慌ただしい空気が里を駆け抜ける。


「長!不気味なドラゴンの大群が、

 結界を破ろうとしています」

「ドラゴン?我らと同種族ではないか?

 何が不気味なのだ?」

「あんな連中見た事ありません!

 目が赤黒く、身体は毒にでも侵された様に、

 紫と言うか……黒と赤が混じり合って……

 涎を垂れ流し、問いかけても、何も反応しません」

「目が赤黒い?」

「ジェブよ。何か心当たりでも?」

「悪魔に憑依された可能性のある、

 魔族と人族の目が赤黒かったな……」

 空気が一瞬で凍り付く。


 ーーーーーーーーー


 外へ出た瞬間、言葉を失った。

「何だこの数は……2百、いや3百はいるぞ?」

「馬鹿な……世界中でも10000体いるかどうかのドラゴン種だぞ……!」

「長!見よ!既に一体、結界内に入り込んでいる!」

「そんなはずは――まだ結界は破られておらぬ!」

「ならば何故、あの姿の竜が中にいる!

「あれは……この里のクライブです!

 奥の、ひと回り大きな個体に不意を突かれ、

 憑依されたと……!」


 視線の先。

 異様に巨大な一体。

 禍々しい紫の紋様。

 血を溶かしたような双眸。

「あれは……魔竜」

 長が低く呟く。

「魔竜?」


「あれは、魔竜と、呼ばれているドラゴンに、

 容姿が似ておる」

「長よ。その様なドラゴンが居るのか?」

「ああ、ジェブ。神の使いが神の使徒ならば、

 あれは悪魔の使いと言われるドラゴンだ」

「かなりヤバそうだな?」

 ジェブは魔竜を睨む。

「傷付けられても、すぐに再生すると言われていて、

 倒すのは困難だ」

「まんま悪魔みたいな奴だな……」

「お前も身体が大きく、赤い模様があるから、

 最初は、魔竜ではないかと思われておったのだぞ」

「確かに、奴にも、紫っぽい模様があるな……

 我の模様は、迷宮で育ち、数千年の長い年月、

 濃い魔素で魔力が高まった為出来たのもだ」



「お〜い!クライブ〜!落ち着け〜!」

 〝キシャ〜!キシャ〜!〟

 理性の欠片もない咆哮。

「だめだ……完全に理性を失っている」

「仲間を倒す訳にはいかんが、

 このままだと里が破壊されかねんな……」

「長。我がなんとか押さえつけてみよう」

「気を付けるのだぞ。あれが魔竜の仕業だとすると、

 かなり、力が上がっているはずだ」

「心配するな……我とて、

 主人の眷属になった事で、

 数倍力を付けている。

 更に、俺がこの里に来ていたこの数ヶ月で、

 主人のレベルが、上がった様で、

 我もその影響か、力が跳ね上がっている気がするのだ」



 竜へと姿を戻したジェブ。

 その巨体は雷鳴の如く地を震わせた。

 圧倒的だった。


「お〜い。どうする?このまま締め落として良いか?」

「うまく加減してやってくれよ?」


 だがその時ーー

 外の結界に、無数のひび割れができた。


「長、外の結界はもう保ちそうもありません?

 俺達に、ジェブ殿の様に、

 加減する余裕などありませんよ?」

「いや、我とてこの数相手に加減などしておれんぞ」

「仕方ないだろう……里の者の命が大事だ。

 ジェブも加勢を頼めるか?」

「もちろんだ」


 その時ーー

 外の結界が砕け散る。

 怒涛の魔竜軍勢が流れ込んできた。


「ジェブ殿。大丈夫ですか?

 かなり消耗して、傷だらけ……

 お怪我もされている様ですが?」

「このままだとまずいな……

 流石に数が多すぎる……

 1/3も減らしていない……

 見守ってるだけの魔竜も無傷……」

「どうしたら良いでしょう?」

「我に聞いてどうする?長はどうした?」

「瀕死の重傷を負って、意識がありません。

 ジェブ殿だけが頼りです……」

「……仕方ない……

 我の主人に助けを求めよう……」



「魔竜……悪魔の使徒か……」

 リックは淡々と言う。

「憑依されている奴らは、

 再生するから、かなり厄介だぞ」

「だとしたらお前達だけで、

 良く1/3も減らせたな?」

「再生するとは言え、

 手に負えない程再生のスピードが早い訳ではないからな。

 それに、我の力がここ最近上がっているんだ……

 リック、理由は分かっているのだろ?」

「多分俺の基礎力が跳ね上がったから、

 眷属のお前の基礎力も上がったんじゃないか?」

「レベルが上がったのか?」

「レベルは変わってないけど、お前と別れた後、

 世界樹の実を食べて、細胞が再構成された。

 隠れていた能力も含めて、

 100%使いこなせる様になったんだよ」

「我にもその影響が?」

「だろうと思うな」

「今のリックなら容易く、

奴らを倒せるのかもしれないな?」

「やってみないと分からないけど、

この剣があれば、倒すことはできると思う」

「そんな剣いつの間に?」

「神剣エゼルソードだ」

「いや、神剣エゼルソードは知ってるが、

そんなんじゃなかったろ?」

「今詳しい話をしている時間はないから、

また話すけど、

 これは間違いなく、あの神剣エゼルソードだ。

お前が知ってる剣と同じ物だよ。

 詳しい話は後だ。行くぞ?」

「分かった。頼む!」

「お前の里を思い浮かべてくれ。

そうすれば転移出来る……」

「待って!私も行く」

「だめだよ。危険だから待っていてくれ」

「ドラゴンの里の長達が命の危機なんでしょ?

 傷付いたドラゴンは、私がなんとかするわ」

「………………」

「リック、我からも頼む。

姫は我が責任を持って守る」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ