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第27話 更なる旅立ち

16歳にして日本最高峰の剣道の大会の優勝者である高校1年の颯斗りくとは、

勇者召喚に巻き込まれて、異世界に転移する。

自分は勇者の付属品だと言う颯斗だが、

人の限界を遥かに越える力を驚く程の速さで付けていく。

「それはさておき、リック君……君にひとつお願いがあるんだが」

「何ですか?改まって……お願いですか?俺に出来ることなら……で、何でしょう?」

「エレーナの事なんだが……もう2人とも19歳。

 結婚してもおかしくない歳だ。どうだろう……

 エレーナを、嫁にもらってはくれないか?」

「えっ?そう言ってもらえるのはすごく嬉しいのですが……

 俺はただの平民ですよ?

 エレーナの事は大好きですし、誰もが納得するような功績をあげて……

 そう思っていたのですが……本当に俺でいいんですか?」

「今の君で、何の問題もない。反対する者などおらんよ。

 崩れた城から皆を救い出してくれたり、

 迷宮の事、龍神様の事……

 もう君は、召喚された〝真の勇者〟だと皆がそう思っている。

 疑う者など、誰一人おらんよ……」

「俺は勇者の付属品(アクセサリー)なんですけど……

 エレーナも?本当に俺で良いのかな?」

「貴方で良いんじゃないの……貴方が良いの……

 私、他の人の事はもう、考えられない……」

「エレーナ……分かりました陛下。その話、喜んでお受けします。

 ただ……今すぐと言うわけには、いきません」

「何故だね?結婚に問題ない歳だと言ったはずだよ?」

「魔王城。どうしてもそこに行かなければなりません」

「そんなに、勇者のことが気になるのかい?」

「それもですが……あの悪魔。放っておくわけにはいかないでしょう。

 安心してエレーナと暮らせない……

 いつか生まれて来る、子供達の為にも……

 結婚して、いきなり旅に出るわけにもいかないでしょう?」

「だったら私、貴方に付いていきます」

「だめだよ?エレーナ……

 君が、強いのは知っている…… 単独でも魔族領へ行ける実力があるのも分かってる」

「だったら……」

「あそこに居るのは、上位悪魔……

 俺が、一歩も動けなかった奴だよ?危険過ぎる……

 待たせるのは申し訳ないと思うけど、それでも待っていてほしい」




「リックよ。済まぬが頼みがある」

「ん?ジェブ?何だ?改まって」

「我に少し時間をくれぬか?」

「ん?全然構わないぞ?お前を縛る気はさらさらないからな。

 どこか行きたい所でもあるのか?」

「この前、アーネスト王が、勇者エリシオン の古い伝説本を見せただろ?

 そこに、我の故郷が載っていたんだ。

 我は生まれてすぐに、

 あの迷宮に転送され迷宮ボスになったのだが……

 あれを見たら一度戻って家族に会ってみたくなった」

「へ~ドラゴンの里か~?いいじゃないか。ゆっくりしてくるとい」

「魔族領に着くまでには戻る。お前一人でも問題なかろう?」



「もう行くのかね?」

「はい、1週間休んだら、すっかり疲れも取れました。

 さっさと済ませて帰ってきます。

 いつまでも、エレーナを待たせるわけにはいきませんから」

「そうか……では、くれぐれも無事に帰ってくるのだぞ。

 エレーナを悲しませたら、許さないからな」

「はい、ありがとうございます。で、そのエレーナは……?」

「ん……あ~あれだ……別れを言うのが辛いのだろう……」

 歯切れの悪いアーネスト王。

「?……そうですか……でしたら言っておいてください。

 あの魔道具の指輪は、肌身離さず持っている様にと。

 何かあれば、どこに居ても必ず駆けつけるからと……

 それから……これを渡しておいてください」

「これは?」

「約束していた、パライバマリンの指輪です。

 1年前に、迷宮に潜る前に、加工を依頼していました。

 とても綺麗に仕上がっていますよ?

 婚約指輪として渡しておいて下さい」

「いや……婚約指輪なら、なおさら自分で渡すべきだ。

 その方が、エレーナも喜ぶだろう?」

「そうかもしれませんね……帰ったら、自分で渡します。

 では、行ってまいります」



 カステルークの街か……案外近かったな?

 まあ、俺の走るスピードも半端なくなったしな。

 それにしても、随分賑わってるな。人でごった返してる」

「何だ?にいちゃん。知らないのか?

 今日は、カステルークの雪まつり……

 あっちこっちから人が集まって来てるからな。

 にいちゃん、その様子だと、宿も予約できてねえだろ?

 今からじゃ、どこにも泊まれる所はねえぜ?」

「マジか?この真冬に野宿は厳しいな……」

「お兄さん。泊まるところがないんですか?

 良かったら、私の所に……」

「えっ、空きがあるんですか?助かり……?エ……エレーナ?

 何でお前、こんな所に……付いてこない様に言ったはず……」

 颯斗に、がっつりと抱きつき、離す気配が無いエレーナ。

「もう嫌なの……貴方を心配しながら待つのは……」

「……エレーナ……だけど……お前を、危険な目にあわすのは……」

「危険だからよ……危険だからなおさら……」

「エレーナ。1人で来たのか?」

「貴方が出発する前日に馬車を用意してもらってね……」

「……心配しながら待つのは辛い……それは分かったよ……

 だったらこうしよう……魔族領に近づいたら、

 その一つ前の街で、待っててくれるか?」

「そこまでは、ついていって良いって事?」

「ああ……本音を言えば、俺だって、

 エレーナが一緒だったら嬉しいからね。

 陛下何にも言ってなかったけど、もちろん承知しているんだよね?」

「うん、ここには王家の別荘があるの。使いなさいって……」

「ハハハ……だからあの時歯切れが悪かったのか……

 この寒空……どうしようかと思ったよ?

 そうと決まれば、雪まつり楽しまなきゃな?」

「うん!そうしよ」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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