第23話 俺もまだまだってことか……
16歳にして日本最高峰の剣道の大会の優勝者である高校1年の颯斗は、
勇者召喚に巻き込まれて、異世界に転移する。
自分は勇者の付属品だと言う颯斗だが、
人の限界を遥かに越える力を驚く程の速さで付けていく。
「で、何があった?」
「うん……」
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「ど、どういたしますか?陛下?」
「先ずは、落ち着きなさい。
城のバルコニーに、魔法騎士団を集め、
直ちに結界を張らせなさい。
良いか?くれぐれもこちらからは手を出さない様に……
騎士団は戦う準備だけして地下で待機……分かったね?」
あえて穏やかな口調で指示を出し、場を落ち着かせようとするアーネスト王。
「手を出すなって言うのか?随分弱気じゃないか陛下も……」
「シッ!聞かれたらただじゃ済まんぞ?」
「だってよ?せいぜい100人程度の魔族だろ?
城を守る騎士団は1000人は居るだろ?何を恐れる必要が……」
「そうは言っても相手は魔族なんだぞ?
人間相手とは違うんだ……油断できないだろ」
「まあ、それはそうだけど……な、なんだあれ?
あいつら全員、とんでもない魔力量だぞ!」
「そう言えばお前、魔力に敏感だったな?あいつらそんなにヤバいのか?」
「やばいやばいやばい……しかも中に桁違いの化け物がいる……!」
「お、おい落ち着けって!
まだ向こうが攻撃してくるって決まったわけじゃないんだから」
「く、来るな! 来るな来るな来るなぁぁっ!!」
〝バシュバシュ!〟
「お……お前……今、何で攻撃した……!?
あ、まずい……何か光ったぞ!」
〝ドッガァァァァン~!!〟
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「先に手を出しちゃったわけだ?奴らの攻撃はその一回だけ?」
「ええ、多分……私はその頃、非戦闘員を地下に誘導してたので、
正確な事は分かりませんけど、見ていた者から聞くには……」
「それで済んだって事は、目的はここじゃなかったんだろうな。
ハイメルの衝撃波は、こんなもんじゃなかった……
それにしても、一発でこの惨状……やったのはあの悪魔だろうな……」
「あ、悪魔?魔族でなく?あの中に悪魔が混ざっていたのですか?」
「うん、俺も奴に遭遇したんだけど、一歩も動けなかったよ。
攻撃された騎士はバルコニーに居た魔道士だけ?」
「ええ、お父様の指示で、ほとんどの騎士は地下で様子を見ていたので……
でも、バルコニーで結界をはっていた数十人が犠牲になってしまいました……」
「可哀想なことをしたな……
とは言え、俺がいても結果は変わらなかっただろうx……
俺もまだまだってことか……先は長いな」
「ねえ、エレーナ。この城はもう使い物にならないよね?
これからの生活はどうするの?」
「建設中の新しい城に仮住まいですかね……
ほぼ完成していますから、住めない事は無いと思います」
「新しい城を造ってたの?」
「あの王都一大きな工事……リックさん気付いてなかったんですか?
こうならなくても、近々新しい城に移動の予定だったのですよ?
ここは、老朽化が進んだのと、城勤めの人が増え手狭になったので、
向こうの丘の上に新城を建設していたのです。
完成間近でしたから、生活に支障はないと思いますよ」
「もしかしてあの、あの青いシートでグルリ囲っている所?
あそこ、城を建てていたのか?
中の様子が良く見えないから、城とは思わなかったよ」
「勇者さん達の目の色がおかしかったのですか?」
「まるで、悪魔の様だった…… 赤黒く濁ってて……
悪魔に取り憑かれているか、それとも操られているかの様だったよ。
他の魔族の目も、同じ感じだった。正直、気味が悪かったな……」
「嫌な予感しかしませんね?
いずれにしても、そういう状態だと、
魔族達の戦闘力は相当上がってるはずですよね?」
「そうなの?
確かに先輩達も、他の魔族も、異様にレベルが高かった気がする。
取り憑かれると、レベルって上がるの?」
「ええ、そう言われています。
ですが……そうなると、リックさんはこれからどうなさるのですか?
勇者のお2人がその状態でも、魔族領へ向かうのですか?」
「う~ん……そうだな……でもまあ、とりあえず向かうしかないんじゃない?
行って確かめてみないと何も分からないから……
ただその前に、もう一度迷宮に潜ろうかと思ってる」
「制覇された迷宮に、ですか?
目的の武器と防具も、すでに手に入れたのでしょう?」
「俺を呼んでる武器と防具は、どうやら別物らしい。
ジェブの話だと、新しい迷宮ボスがもう誕生していて、
内部構造も変化しているそうだ。
レベル上げの意味でも、潜る価値はあると思うんだ」
「……上級魔物がさらに増えたという話でしたね」
「ああ。エレーナのおかげで、うじゃうじゃいる」
「わ、私の……?」
「ルールを破る魔道具を使ったおかげで、
迷宮核が暴走してるらしい。
前回は20層から先に進めなかったけど、
今はもっと深くなっているそうだ」
「……す、すみません……」
「いや、今となっては、俺にとって好都合だけどさ?
何しろあの悪魔、レベルでいったら、700~800はありそうだったんだ。
今の俺では到底太刀打ち出来ない……
奴を目の前にして、一歩も動けなかった……
だったらレベルを上げるしかないだろ?」
「いつ潜られるのですか?そしていつまで?」
「出来れば、すぐにでも。
でも、まずは準備だな。
どれくらい時間がかかるか見当もつかないし、
食料や物資を大量に買い込んで、
長期戦覚悟で行かないとね?」
「大量に?そんなに長くですか……寂しいな……」
「ん?何て?」
「……何も……」
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