第18話 お前の今のレベルは?ー
16歳にして日本最高峰の剣道の大会の優勝者である高校1年の颯斗は、
勇者召喚に巻き込まれて、異世界に転移する。
自分は勇者の付属品だと言う颯斗だが、
人の限界を遥かに越える力を驚く程の速さで付けていく。
「お~リック、久しぶりじゃないか?
ん?どうした……お前その顔……やつれてないか?」
「あそこめちゃくちゃだよ?」
「あそこ?もしかして迷宮か?まさか顔を見ないと思っていたが、
ずっと潜っていたのか?」
「一月潜りっぱなし……外に出るとまた1層からやり直しだから、
しばらく戻らないって言っておいたじゃない」
「ん?そうだったか?で、どこまで行けたんだ?」
「一月潜りっぱなしでやっと20層。最低でもB級の魔物。
一層一層が前よりずっと広くなった上に、
A級やらS級が、嫌になるくらいゾロゾロ出やがる。
S級だけでも、もう500~600は倒してるんじゃないかな……
トイレする暇もないんだから……」
「それじゃあレベルもずいぶん上がったろうに……今いくつなんだ?」
「それがさ……初めは良かったんだけど、
このところ、あんまり上がらなくなって……
S級の魔物、何体も倒しても全然レベル上がんなかったりすんの……」
「S級でか?そんな馬鹿な……
だが流石に高レベルになると簡単には上がらないのかもな?で、
レベルはいくつになったんだよ?」
「それがさ……参ったな……あと50……行ってないのがあと7層。
食糧がなくなって戻ったけど、
最下層まで行ってもあと10も上がればいいとこかな……
魔王とか、どうやってレベル上げたんだか……」
「〝後50〟?………………聞くまでもなく、
大体計算できるが……お前の今のレベルは……」
「253かな?疲れちゃったよ」
「この化け物が……魔王だって何百年もかけて300まで上げたんだろうに……」
「ねえギルマス。迷宮で疲れてるからかもだけど、
最近寝ようとすると、女の人が現れて、その声が聞こえて、
うるさくて寝られない時があるんだよね……
何か、励ましてくれてるみたいだけど、
疲れてて頭が働かないから何言ってるのかよく分からなくってさ……
何とか神の加護がついたとか……意味分かる?」
「その声って……女神様なんじゃないか?ステータス見てみろよ」
「女神の加護、剣神の加護、武神の加護、魔法神の加護……
何だこれ?神様の加護がいっぱい増えてる……」
「お前それをうるさいとか……この罰当たりが!」
「でも、怒ってはいないと思うよ?
いつも、優しそうな笑顔で、声も穏やか……
あの女の人本当に女神様なのかな……どこかで見た気がするんだよな。
いつも、〝颯斗〟って、優しそうに呼ぶんだよ?
後、〝海底神殿と、世界樹に行って……〟とか。
海底神殿って何だろ?ギルマス知ってる?」
「クラーケン……水の精霊の上位種が守りし海底の神殿……
確かそんな、伝説があったな……」
「伝説なんだ……後、世界樹に会いに行けって……
海底神殿に世界樹……その2つはどこにあるんだろ?」
「さあな?特に海底神殿なんてあくまでも伝説だからな?
場所なんて誰も知らないんじゃないか?」
「ん?リック。今回は早いな?まだ3日も経ってないぞ?」
「あそこ、相変わらず転移が効かないんだけどさ、
俺、思ってたより足が速くなってたみたいで、
魔物をすり抜けられたんだよね。
戦ってもたいしてレベル上がらないから、
なるべく魔物を避けて20層まで行ったんだけどさ……
そこから下に行く階段がどうしても見つからなかったんだよ?」
「前は27層まであったんだろ?迷宮が随分変わってしまったってことか?」
「ジェブにも分からないらしい。
欲しかった武器防具はジェブとの戦いで手に入れたし……
そろそろ先に進まないと……明日にでもこの街を出るよ」
「じゃあ、ギルマス。いろいろお世話になりました」
「おう、寂しくなるな……気をつけて旅するんだぞ。
で、次はどこに向かうんだ?」
「この先は特に決めてはいないよ。
那岐神影流の本部には寄ってみたいけど、
最終目的地が魔族領ってだけ。
本当は魔族領ってハイメルの海の向こうなんだよね?
すごく近いはずなのに、海を渡っては行けないんでしょ?」
「ああ、あの海は風も強く海流の流れもとんでもなく強いんだよ。
しかも一方向の流れときたもんだ……
魔族領からは容易く来れるんだが、
向こうに行こうと思ったら、
船でも飛行船でもそう簡単には行くことが出来ないんだ。
だから、反対方向に世界を一周するのが確実。
急がば回れって言うしな?」
「ギルマス!大変です。あっ、リックさん、
まだいらしたのですね?良かった!
オスカー殿が、不法滞在者幇助の疑いで、
ハイメル王国の王城に連行されたとの事です」
「はあ?どこ情報だよ?」
「ここにもハイメル王国の騎士達がリックさんを探しに来ていて……
彼らがそう言っております」
「不法滞在者って、もしかして俺の事?」
「ただの難癖ですよ。自分たちで召喚しておいて、不法滞在はないです。
リックさんを王城に連れてこようとしても連れて来れず、
オスカー殿を、出汁に使えば、リックさんの方から来る……
たぶんそう考えたのでしょう」
「アンナさんと、エイミーは?」
「オスカー殿1人だけだと聞いております。
そこまでやってしまうと、確実に貴方の怒りを買うことになりますからね」
「もう十分……大安売りの怒りを買ってるんだけど……」
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