第11話 スーパースライム
16歳にして日本最高峰の剣道の大会の優勝者である高校1年の颯斗は、
勇者召喚に巻き込まれて、異世界に転移する。
自分は勇者の付属品だと言う颯斗だが、
人の限界を遥かに越える力を驚く程の速さで付けていく。
「本当に誰もいないや……扉も消えて入れる様になっている……」
迷宮の周りは、賑わっていた頃の出店の残骸があちこちに不法投棄され、
廃墟の地となっていた。
切り立った岩場に8m程のアーチゲートだけがあり、扉は消えている。
入ってみると、颯斗の後ろに扉が現れた。
(こう言う事か……)
迷宮の中はギルマスから聞いていた様に、通路も部屋もとても広かった。
(この広さ……魔物が大きいって事だよな?
そこらじゅうに鎧を着けたままの骸骨が転がってる……そばには武器防具も……
死ぬやつも多いって聞いてたけど……収納して連れて帰ってやった方がいいかな?
ん?何かいる……って青く透明……可愛いネオンブルーのスライムじゃないか……)
「でも、最弱のスライムって……なんでここに?
A級やらS級が、ゾロゾロ……じゃなかったのか?
あっこいつ……なんか威嚇してるっぽいな?
面倒だけど……仕方ない……倒しときますか」
〝ボヨョョ~~ン〟
「あれ?切れない……剣は効かない?んじゃファイア~
って……あれれ?無傷?魔法も効かない?ってこれダメなやつじゃん。
物理攻撃も魔法も効かない?どっちかは有効なんじゃないの?そう言ってたよな?」
〝プップップップップッ〟〝ジュワ~~〟
「あっぶね!なんか吐きやがった」
地面が溶けて、煙を出して蒸発している。
「……硫酸だなこれ……舐めるなよ?俺にはまだ最終手段が残ってるんだ……
見よ!せ~の~、に~げろ~」
(あ~はっはっは!勝てない時には逃げるが勝ちってな。
テレビゲームと一緒さ……って、稽古が忙しくって、あんまりやる暇なかったな……)
目にも留まらない速さでスライムから遠ざかった……
と思いきや、目の前にスライムが転移してきた。
(おいおい、こいつ……瞬間転移出来るんか?さ~どうする?
あっ、やな感じ……スライムが瘴気を纒って紫色になっている……超危険)
〝ざっば~ん!〟
「結界!」
バブルの結界を身体の周りに張り、かろうじて瘴気の波から身を守った。
(何この波……もしや全部、瘴気混じりの硫酸?あっ、やっぱそうだね?
あちこちで色んな物が腐食して、泡と煙を出してる……
遺骨も、遺品の武器防具も回収しておいて良かったな……
とか、考えてる場合じゃないよな……さあどうする?)
この状況の中で、何故かレオナルドからは危機感が感じられない。
すると波が少しずつ引いていく。
(ん?やつの魔力が切れてきたのか?あんなたくさんの硫酸、
あの小さい身体から出るわけないもんな?魔法で出しているんだろ?あの硫酸。
とは言えどうする?剣も魔法も効かない……
うん、だったら剣に魔法を乗せてみるか?)
「今だ!ファイア~~~~」
〝ザンッ!〟
「オッ!切れる!よっしゃ~!」
〝ザンッ!ザンッ!ザンッ!カキンッ!〟
最後に核の様なものに当たった感触があった。
スライムは、霧の様にキラキラ光りながら消えていった。
「消えちゃったよ……
まあ、スライムじゃ金になりそうな部位も無さそうだからいいけど……」
〝スキル転移を獲得しました〟
綺麗な宝石に魔石……剣やら防具やら……ガラガラと落ちている。
「なんだったんだ?あのスライム……キングスライムとか?
キングスライムって大きくて王冠被っていなかったっけ?
ああ、それはゲームの中のキングスライムか……
ま、名前なんてどうでも良いや。
部位が取れない代わりに、随分色々ドロップしてくれたな。
たくさん体内に溜め込んでいたのかな?あいつの身体、マジックバッグみたいじゃん。
スライムによく似た色の綺麗な宝石とか、
価値が分からないから全部アイテムボックスにしまっとこ」
歩き出すと、妙に体が軽い。
「どうしたんだろ?ステータス確認してみよ。ん……?レベル113!えっ113?何で?
レベルが8も上がっている……あのスライム倒しただけで?
あいつそれ程の奴だったのか?」
〝ピシュッ!〝
「あっぶね!何このピンク色の……蛇?」
〝ズッシャ~!〟
「……じゃなかった!これ大蛇の舌か?この大蛇でけ~!30m近くね?」
〝ズッシャ~!〟
〝スガ~~ン!〟
避けたつもりが完全ではなく、吹き飛ばされ壁にめり込むほど強く叩きつけられた。
「痛た~……くない?あれれ?」
身体の損傷は無く、痛みも感じなかった。
(レベル113って本当だった!)
右に左に壁を蹴りながら、大蛇の攻撃を避けながら、まるで稲妻の様に飛び回る。
時には天井も蹴り、大蛇の胴体すら足場にして蹴る……
〝グシャッ!〟
鈍い音をたてた大蛇は、霧と化した……
「あれれ?攻撃するつもりなかったんだけど……
足場にしようと踏みつけたら、死んじゃったね?
この踏みつけ蹴りをスライムキックと名付けよう……
と思ったけど弱そうだからやっぱやめた……
それにしてもあのスライム……やっぱ、めちゃ高ランクだったんだな?
もう1回出てくれないかな……」
(スライムと大蛇……そのイメージと力のギャップ……
何それ?強さ逆だろ?それにしても俺独り言が多くね?)
「ん?おい!俺……まだ100mも進んでないじゃん……」
後ろを振り返ると殆ど進んでいなかった。迷宮攻略は前途多難な様だ。
(レベルが8上がっただけでこれか……魔王がレベル300超え?……
うん、逆立ちしても勝てる気しないな……)
レベル上げ……こっちも前途多難だ……
数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。




