第10話 ガードナー王国のギルマス
16歳にして日本最高峰の剣道の大会の優勝者である高校1年の颯斗は、
勇者召喚に巻き込まれて、異世界に転移する。
自分は勇者の付属品だと言う颯斗だが、
人の限界を遥かに越える力を驚く程の速さで付けていく。
「おお……やっとか?あのバカ高い門のある建物……
あれがたぶんガードナー王国の入り口だよな。
地図だと大して離れていないかと錯覚したけど、10日もかかっちゃったよ……」
「ガードナー王国へようこそ!身分証か入国許可証の提示をお願いします」
「え~と……これで良いんですよね?」
「ん?冒険者カードか?若いのに君は冒険者なのか?
まあ……それでもOKだ。見せてくれ」
「はい、どうぞ」
「は?S級だと?お前みたいなガキが?嘘こけ?お前偽造だろそれ。
それとも、どこかで拾ったか?
いや、S級なんてそうそう居ないわな……
そんな冒険者カード、都合よく落ちているわけないか……」
「正真正銘、ギルドが発行した俺の冒険者カードですよ?
今、魔力を通してみますから……ね?ほら、ちゃんと青く光るでしょ?」
「光ったな……お前、どんなトリック使ってる?
その歳でS級とか常識的に考えられんだろ?
今ギルドに確認するからしばらく中で待て」
(国境超えてすぐに王都って、
危機管理上どうなんだって思ったけど、
やっぱり入国審査は、厳重なんだな……)
「すまん。本物だった。その若さで驚きだな?
入国して良いぞ。冒険者だから入国税も無しだ。
それと……外でギルドの職員が待っている。
なんでもギルマスが、お前に会いたいそうだ」
「貴方がリクト様ですか?
私、冒険者ギルドのマスター補佐をしておりますシャロンと申します。
うちのギルドマスターが、貴方とお話ししたいと申しております。
よろしければ御足労いただけませんでしょうか?
それと私、その後のリクト様の滞在のお手伝いを仰せつかっております」
ギルドには、受付嬢を始め美女が多い。シャロンも例外ではない。
「どんなお話しなのでしょう?」
「申し訳ありませんが、私は存じ上げておりません」
「まあ良いか……滞在の手伝いをしてくれるなら助かるし……
俺、ここの事、国も、ここ王都……何も分からないもんな」
「リクト君か?すまんな!呼び出してしまって」
身長はオスカー並みの恰幅のいい男だ。
元気な声は、聞いていて気持ちが良い。
「俺は、ここのギルドマスターをしているヘザーだ。
よろしくな。お前の事は聞いてるよ?
いきなりS判定なんだってな?どんな奴か会ってみたくてな。」
「よろしくおねがいします……って、それだけの理由で呼ばれたんですか?」
「ハハハ……お前、ハイメルの騎士に絡まれただろ?」
「ええ、さすがギルマス。情報早いですね?」
「奴ら、ギルドにもお前が来たら引き渡せって言ってきてる。ふざけんなってんだ」
「すいません。なんか……ギルドにまで……お手数をかけます」
「構わんよ?お前が悪い訳じゃないしな。
それよりお前、オスカーの弟子で、奴とは親子同然なんだって?」
「父さん……オスカーさんを知っているんですか?」
「ああ、昔パーティーを組んだ仲さ」
「そうだったんですか?」
「一悶着あるだろうから面倒を見てやってくれって、
オスカーから伝書バードが来ててな」
「父さん何も言ってなかったな?
ギルマスと知り合いだったなら、教えといてくれれば良かったのに」
「ハハハ。そういう奴だよ、あいつは。
お前さん、なんでもレベル105なんだって?」
「はい、ここに来るまでも魔物退治しながら来たんですが、
全く上がらず105のままです」
「そりゃ無理だろ? 街道沿いの魔物退治程度でレベルが上がるのは、
レベル30以下の低いやつらだけだ」
「やっぱりそうですか」
「ハイエルフのライアン様にも魔法を教わって、
魔法も上位レベルなんだろ?驚いたぞ?凄いなお前は。
勇者に逃げられたハイメルの奴らが、
お前を引き込もうと躍起になるのも無理はねえ」
「引き込もうとしてるんですかね?俺には良い迷惑ですけど……」
「違えねえ!ガッハハハハ!」
「それと……ライアン様の事もご存知なのですね」
「ああ、会ったのは1度だけだけどな。
それで……リクト君?だっけ?」
「はい。リックと呼んでください」
「そうか?じゃあリック。お前、ここ、ガードナーの迷宮に潜るんだって?
分かっているのか?あそこは恐ろしい所だぞ?」
「らしいですね?ライアン様も、〝リックなら迷宮を制覇出来るかも……〟
って言ってましたから……〝かも〟ですよ」
「そりゃそうだろ?未だ5層より下に行けたやつは居ないんだからな。
俺なんざ、3層でギブアップしたよ。ライアン様から……
ってのは分かるが、とにかく命を大事に、
無理だと思ったらすぐ出てこいよ?」
「了解です。ところで、迷宮に入るには、何日ぐらい待てば良いですか?」
「ん?直ぐ入れると思うぞ?何でそんな事を聞く?」
「1ヶ月待ちは、当たり前だと聞いていましたが……
この迷宮は、1人ずつしか入れないんですよね?」
「ああ、それでか?
この迷宮の恐ろしさは、もう今やみんなに知れ渡っているからな。
ここ数年あの方以外は入ったやつは居ないんじゃ無いか?」
「へ~そうなんだ……あの方?」
「聞いてたみたいだが、この迷宮は、1人ずつしか入れない。
誰かが入ると、突如として大きな扉が出現する。
その扉は、外からは決して開けることが出来ない。
1人出てくると、扉が消えて、又誰かが入ることが出来るようになる。
1人ずつしか入れない為、昔は入るのに時間がかかった訳だ。
今だったら、直ぐに入れると思うぞ。
それよりもだ……1人ずつってのもあれだが……厄介なのはそれだけじゃない。
聞いたかもしれんが、あの迷宮は、1層目から、最低でもB級の魔物。
A級やらS級が、ゾロゾロ出やがる。
魔法が効かない魔物……物理攻撃が効かない魔物……
パーティーを組んでいればなんとかなるかもしれんが、
1人でしか入れんからな……それ故に超難関と言われてる」
「それ、レベルアップにはもってこいじゃないですか!?」
「何嬉しそうな顔してんだよ?普通不安がるところだぞ?
まあ、剣も魔法も超一流のお前ならって、
ライアン様も思ったんだろうけどな……
入るのは、レベルアップが目的なのか?」
「ううん。ライアン様が言っていたのは……
あそこには、俺に合った神器……
〝アーティファクト級の剣が手に入るかもしれない……
その剣が、リックを呼んでる〟って言うんです」
「ふ~ん……ライアン様には、不思議な力があるって言うからな……
まあとにかく気をつけて行ってこい」
「うん。ありがとうございます」
(あの方って……誰だろ?)
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