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スキルが1つで、何が悪い?  作者: あっつん
第2章 第1部 
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第82話 城外での戦い

 ユリウスがデイモンとロビンを救出している頃、「黒南風」が剣舞城に到着し、残った4人と対峙した。


 「ユリウス殿の言う通り、こいつら結構強い部類ですね。」

 「確かに。ただ、俺たちの相手にはならねえな。」

 「レティシア、覚悟はいい?」

 「もちろんできてますよ、フィオナ。」


 こうして、ニコラスの「ニュメロ」数十人とディラン・キョウスケ・フィオナ・レティシアの戦闘が始まった。


 「我々の狙いはあの女のみである。奴を仕留めることに専念しろ。」

 「「「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」」」


 ニュメロのリーダー格の男が指示し、十数人が一斉にレティシアに襲い掛かった。しかし、ディランやキョウスケがすぐさま上位魔法を放ち、レティシアを攻撃から守った。


 「ディランさん、キョウスケさん、ありがとうございます。でも、私は大丈夫ですので、お二人は攻撃に集中してください!」

 「本当に大丈夫か?」

 「はい!」

 「・・・分かった。おい、キョウスケ。さっさと片付けるぞ。」

 「了解した。」


 ディランは、レティシアの据わった目を見て確信した。誰かに守られるだけの存在ではないと。


 「ゴッドスキル【荷電】!」

 「ゴッドスキル【残響】!」


 ディランはゴッドスキル【荷電】を発動し、ニュメロ一人一人に強烈な一撃を目にも留まらぬ速さで食らわせた。他方、キョウスケはゴッドスキル【残響】を発動し、不可視の衝撃波を無数に繰り出した。

 「あれが、キョウスケさんのゴッドスキル・・・。」

 「さすが、ギルドヘッドね・・・。」


 フィオナとレティシアは、ギルドヘッド2人の高速攻撃に感嘆していた。もちろん、「魔眼」を発動しているため、どのような動きをしているかは視認できている。


 「【残響】は、空気を自由自在に振動させることで、見えない様々な衝撃波を生み出すスキルだ。風属性魔法で土煙を起こし、可視化しろ!」

 「「「「「ハッ!」」」」」


 リーダー格の男の的確な指示により、城外が土煙に包まれた。


 「どうだ、キョウスケ・タチバナ。貴様のゴッドスキルはこれで封じたぞ?」

 「やれやれ。それぐらいで封じられるくらいじゃ、ギルドヘッドに就任できるわけがないだろ?」

 「なに?」

 「見えても、そもそも避けられないんだよ。」

 「なっ・・・。」


 キョウスケはゴッドスキル【残響】に、竜巻を起こす風属性魔法を合わせ、先程よりも数十倍もの速さで衝撃波を繰り出した。こうして、「ニュメロ」の約半分がディランとキョウスケにより、倒されることとなった。


 「土煙で敵が全然見えないですね。」

 「そうね。」


 フィオナとレティシアは、「ニュメロ」と戦っていたが、突如発生した土煙によって、敵を見失っていた。


 「死ね、レティシア。」

 「『黒南風』を追いかけまわしている貴様も一緒にな。」


 そして、背後から何人もの「ニュメロ」が現れ、フィオナとレティシアを襲った。しかし・・・


 「探知魔法で、すでに位置は分かってましたよ。」

 「『魔眼』があるから、より鮮明にね。」

 「「「「「なっ・・・。」」」」」


 「魔装」を帯びた両手両足で、フィオナとレティシアは「ニュメロ」の攻撃をすべて防いだ。「ニュメロ」は一旦距離をおき、フィオナとレティシアに超級魔法や究極魔法を食らわせた。中には、強力なレジェンドスキルで攻撃する者もいた。


 「はっ、調子に乗るからだ。」

 「これで任務は完了だな。」


 「ニュメロ」たちは、フィオナとレティシアがいた地面が抉れ、火柱が高く燃え上がっているのを見て、殺害に成功したと疑わなかった。そして、ディランとキョウスケの方に向かおうとしたそのとき・・・


 「おいおい、お前ら。俺たちよりも、その嬢ちゃん2人の方が厄介だぞ。」


 火柱がパッと吹き消されると、その場所には無傷のフィオナとレティシアが立っていた。

 

 「ば、馬鹿な・・・・・・。」

 「やっぱり、リツの【覇楯】は最高ですね!」

 「究極魔法もレジェンドスキルも無効化するなんて、本当に凄い!」

 『お褒めに預かり光栄でございます。』


 フィオナとレティシアの賛辞に、リツがうやうやしく一礼をした。


 「次はこっちの番。ウォータースピア!」

 「ダークスラッシュ!」


 フィオナとレティシアは、水属性の初級魔法と闇属性の初級魔法を繰り出し、「ニュメロ」を一網打尽にした。もちろん、めちゃくちゃ手加減はしているが、初級魔法を凌駕する威力であった。


 「おいおい、威力がユリウスレベルじゃねーか・・・。」

 「・・・・・・・・・・。」


 ディランは呆れているが、キョウスケは驚きすぎて、顎が外れそうになっている。こうして、わずか数人となった「ニュメロ」と4人が対峙することになった。そのとき・・・


 「真打登場ということですかね。」

 「ありゃ、やべぇーぞ。」

 「何、この威圧感・・・。」

 「魔力量は私たちの方が遥かに多いはずなのに・・・。」


 ディランたちが戦っている剣舞城門前に、ゆっくりと歩いてくる人影が見えた。それと同時に、「ニュメロ」たち全員ががくがくと震えだし、上手く立てないものまで出てきた。


 「これは一体どういうことだ、お前ら?」


 緋色の2本の剣が描かれた漆黒の仮面をつけた男が4人の前に現れた・・・。


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