表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルが1つで、何が悪い?  作者: あっつん
第1章 第3部
61/90

第57話 Aランクのクエストへ

 1階に降りるとすぐに、こちらに向かって全速力で走って来る女性2人が目に入った。


 ・・・うん、間違いなく、俺の仲間ですね。


 「ちょっと、ユリウス!これに、どれだけの魔力を付与したの!?」

 「ユリウスさんのせいで、依頼失敗したじゃないですか!!」


 めちゃくちゃ興奮した状態で、フィオナとレティシアに詰め寄られた。昨日の一件もあり、ギルド内にいる冒険者から、俺たちは色々と奇異の目で見られている。膨大な魔力が込められたブレスレットの存在が、周囲に知れると厄介だ。ここで話し込むのはやめておこう。


 「ちょ、ちょっと、待ってくれ!ここじゃあ、あれだから、外で話そう!」


 俺は2人を宥めながら、ギルドの外に出て、路地裏で話を聞くことにした。

 

 フィオナたちの話をまとめるとこうだ。


 レティシアがEランクなので、フィオナと同じBランクの依頼はできない。そこで、2人でEランクの依頼を受けることにした。2人が選んだのは、とある廃墟に住まう下等種の魔物「レッサー・フロッグ」5匹の討伐。ブレスレットの効果も試すため、早速、廃墟に向かい、それぞれが最小限の威力で下級魔法「ウォータースピア」と「ダークスラッシュ」を唱えた。すると、眼前の2匹の「レッサー・フロッグ」が跡形もなく消し飛び、さらには、廃墟も粉々に崩れたそうだ。結果、廃墟を巣にしていた「レッサー・フロッグ」が全滅したと・・・。


 「討伐系は倒した魔獣や魔物の一部をギルドに納品して、鑑定を受けることで、依頼達成になるのに・・・。」

 「『レッサー・フロッグ』は、剥ぎ取ることができないほど、見るも無残に潰れてましたよ・・・。」

 「結局、廃墟ごと「レッサー・フロッグ」を消滅させたから、依頼自体は失敗だって・・・。」

 「無許可で廃墟を木っ端微塵にしてしまったので、倍の違約金を払うことになりました・・・。」


 フィオナとレティシアは、どこか遠い目をしていた・・・。余程、衝撃的だったのだろう。


 「なるほど・・・。それは、ドンマイ!!・・痛っ!!」


 俺は、満面の笑みでグッと親指を立てたが、無言で2人にしばかれた。理不尽!


 「何がドンマイよ!前の時より、すごく扱いにくいんだけど!!」

 「ユリウスさん、一体、どれほどの魔力を込められたんですか!!この前言っていた200万よりも、明らかに多い気がするんですけど!!」

 「実は、付与魔力が50万を超えたあたりから、ブレスレットが壊れそうな気がして・・・。」

 「えっ!?このブレスレットには、50万しか入っていないってこと?・・・いや、50万でも十分狂っているんだけど・・・。」

 「いや、だからそのブレスレットに『天鋼』を混ぜてみたんだ。」

 「ち、ちょ、ちょっと、ま、ま、待ってください。ど、どうしてユリウスさんは、『天鋼』を所持しているんですか?」

 「パメラのスキルの残骸を収納魔法に入れて置いたんだよ。」

 「いつの間に・・・。でも、だから、少しブレスレットの色が以前よりも濃くなったのね。」

 「全然知らなかったです・・・。それで、『天鋼』を融合させた後は、どれぐらいまで魔力を付与されたんですか?」

 「予定通り、200万でも良かったんだけど・・・。限界まで挑戦してみたくなって・・・。」


 ここで俺は一度、深く息を吸い、フィオナとレティシアをしっかり見つめ、一言一句丁寧に伝えた。


 「結果・・・500万まで込めてみました!」


 俺の予想通り、フィオナとレティシアは、卒倒した・・・。


 近くのベンチまで運び、数十分後、2人はようやく目を覚ました。そして、俺をジト目で睨んで言った。


 「「やり過ぎ!!!!!!」」

 「すみません・・・。」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 「私たち、これじゃあ、まともに依頼が達成できないんだけど・・・。」

 「ユリウスさんの御厚意は嬉しいんですが、さすがに500万は・・・。」


 2人も顔を引き攣らせて、俺を見てくる。だがしかし、俺には名案があるのだ。


 「ちょっと待て2人とも。俺が何も考えず、膨大な魔力を付与したと思うか?」

 「うん。」

 「思います。」


 ・・・あれ、おかしいな。俺たち仲間なのに。どうして、こんなに冷たいのかしら。まぁ、付与した後に思いついたことなので、2人とも合ってはいるんだけど。

 

 「い、いやいや、そ、そんなわけないでしょ!俺は、2人に『魔術』を体得してもらうために、あえて限界まで魔力を付与したんだよ!」

 「怪しい。」

 「本当ですか?」

 「も、も、もちろん!」


 フィオナとレティシアは、めちゃくちゃ疑いの目を向けてくるが、知ったことではない。押し通すまでだ。


 「というわけで、今から大森林アルゲンティムに行って、俺と一緒に『ジャイアント・マンティス』を討伐しようぜ!実戦こそが、『魔術』のコツを掴む良い方法だからな!」

 「その魔獣、業魔種の中でも結構強い部類でしょ?不安なんだけど・・・。」

 「どうして、『ジャイアント・マンティス』なんですか?」

 「そ、それは、まぁ・・・『魔術』の練習に、ぴ、ピッタリだからか、かな・・・。」


 口が裂けても、「俺が依頼されたクエストを、楽に終わらせるためだよ!」なんて言えない・・・。


 「大丈夫!俺がついているし、もしもの時は初級魔法で木っ端微塵にすればいいから!」


 俺は、訝しんでいる2人を何とか丸め込み(?)、大森林アルゲンティムに向かうことにした。


 2人とも浮遊魔法をめちゃくちゃ嫌がっていたが、俺のクエストは日没までに達成しないといけないので、悠長にしている時間はない。この前よりも、ゆっくり飛ぶことを約束し、2人には妥協してもらった。

「面白い!」「続きが読みたい!」など思った方は、ぜひブックマークと評価をよろしくお願いします!

ブックマークや評価していただければ、作者のモチベーションが爆上がりします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ