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プロローグ③

 女神は、涙目で頭にできたたんこぶを痛そうにさすっていた。


 「うぅ・・・、神聖で可憐な女神に対する扱いじゃないですよ・・・。」

 「それで・・・俺はこれから異世界に転生するのか?」


 女神の話が事実なら、俺は確実に異世界転生することになるのだろう。だが、転生するとなると、色々と不安もある。


 「はい、というか、その話をさっきしましたよね?あれ、やっぱり、バカなんですか?あ、すみません、生粋のバカだったんですね。」


 こいつーー!!全然反省してねぇ!!もう一発くらわせてやろうか!!

 だがしかし、ここは一旦落ち着こう。転生に関わる話はかなり重要だ。説明が不十分な状態で転生させられたら、何に遭うか分からないからな。


 「・・・じゃあ、その異世界転生に関して、しっかり説明してくれよ。」


 痛みがおさまったのか、女神はすっと立ち上がり、腰に手を当て

 

 「そういえば、忘れてましたね。では、一から説明しますので、耳の穴かっぽじって、よく聞いてください、正真正銘のおバカさん。」

 

 よし、あとで、もう10発殴ってやろう。





 俺は女神から、異世界転生に関する一通りの説明を聞いた。要約すると、次の通りだ。


・転生する異世界は、科学技術ではなく、魔法が発展した世界であること。

・転生する異世界は、人口の約90%がスキルと呼ばれる特殊能力を、2つ以上獲得していること。

(だが、俺は転生体なので、スキルは1つしか獲得できない。)

・今の世界での記憶を忘却して転生することも、保持したまま転生することも可能であること。

(もちろん、俺は記憶保持を選択する。)

・自分の好きな容姿、年齢、性別、種族で転生できること。


 俺は、女神の説明を傾聴しながら、異世界に転生する実感を得ていた。フィクションだと思っていた異世界に転生できるなんて、本当に俺は幸運だ。


 女神はマニュアル的な説明を一通り終え、ふぅっと息を吐いた。


 「ここまでの説明で、何か不明な点はありますか。」


 非常にムカつく女神だが、その説明はお世辞抜きで明瞭かつ簡潔で、とても分かりやすかった。さすがは、神というべきなのか。ただ、異世界転生という非現実的な話だけあって、やはり聞きたいことがたくさんある。


 「えーと、聞きたいことがたくさんあるんだが・・・。」

 「はぁーー!?ここまで丁寧に説明しておいて、質問があるんですか!?これだから、おバカさんは困るん・・・・・・ちょっ、痛っ!痛い!!じょ、冗談ですって!!!!」


 俺は無言で、女神の脳天にチョップを2発くらわせた。よし、時を戻そう。


 「えーと、聞きたいことがたくさんあるんだが・・・。」

 「は、はい、何でしょうか。」


 女神は、涙目で頭頂部を押さえながら答えた。


 「記憶を保持したまま転生する場合、言語はどうなるんだ?」 


 そう、まずは言葉だろう。ただでさえ、俺は中学校からあまり英語が得意ではない。特に、リスニングは壊滅的だ。異世界の言語を話す・聞く・書くなんて、不可能としか思えない。


 「あぁ、それなら大丈夫です。異世界での言葉は全て、自動的に転生者の母語に翻訳されますから。逆に、転生者が話した言葉や書いた文字も異世界語に自動翻訳されますので、ご安心を。」


 おぉー!さすが、神の御業と言うべきか。母語への自動翻訳付き、しかも書き言葉までなんて、最高すぎるだろ!


 「なるほど、それはめちゃくちゃありがたい。次に、魔法とスキルの関係について聞きたいんだが。」


 次は何といっても「魔法」だろう。魔法や魔術はファンタジーの醍醐味だが、そこに「スキル」という要素が介入すると、どうなるのだろうか。「スキル」と「魔法」の関係は何としてでも聞いておきたい。


 「魔法とスキルは相互関係にある場合とない場合があります。そもそも、使用できる魔法には、魔力や適性、才能などで、個人差がありますし、スキルは完全にその人にしか与えられない恩恵です。使用可能な魔法とスキルの相性が抜群の人もいれば、その逆の人も一定数存在しますよ。」


 うーん、なかなかシビアな世界だな。生まれつきの魔法の才能とスキルで、その後の人生が左右されてそうな気がする。もしかしたら、俺がいた世界よりも、格差や差別が厳しいのかもしれないな・・・。


 「じゃあ、スキルについては・・・」

 「あの!!」


 俺の疑問を遮るように、怒った声色で女神が言い放った。え、何か、癇に障ることでも言ったか?


 「もういいですか?早く戻って、寝たいんですけど・・・。」


 こいつーー!!マジでムカつく!!誰だよ、こいつにこの職務を任せたの。ミスマッチにも程があるぞ。今すぐ担当を変えるべきだろ!!


 「はぁ~!?こっちは、異世界への転生に色々と不安があるんだよ!察しろよ、この・・・・・・アホ女神が!!」

 「はぁ~!?誰が、アホ女神ですか!!この童貞ヘタレ野郎!!」

 「おいおい、誰がヘタレだって!?仕事も碌にできないクソ女神だけには、言われたくないんですが!!!」

 「何ですって!?もう一度言ってみなさいよ!!!」

 「あぁ、何度でも言ってやるよ!!このクソ女神!!」


 俺の罵倒に、女神も変なスイッチが入ったのだろう。そこから、俺たちは10分ぐらい、マシンガンのように不毛な罵詈雑言を言い続けたのだった・・・。

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