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およそ令嬢らしくない心の声を押し殺していると、虹色の幕に包まれ身体が浮いた、と思った瞬間、幕は消え、
「カリナ様ー!」と聞き慣れた声と身体に柔らかい衝撃が襲った。
咄嗟にシャナが引き剥がそうとするも、カリナに断られ、主人を見守る。カリナに抱きついているのは、国に帰ったはずのアニスだった。
「アニス、またカリナに行儀が悪いと注意されるぞ。」
アレンが呆れながら言う。
アレンをジト目で見て渋々カリナから離れてアニスはカーテシーを披露する。
「カリナ様、シャナさん。ようこそエストレアへお越しくださいました!」
「本当に、アニスなの?」
「はい!」
「本当に、エストレア国なの?」
「はい!」
「兄様、説明してませんね?!」
とまたアニスがアレンをジト目で見る。アレンは
「ほらほら、お客様をおもてなししないと。」
と私の手を取りエスコートする。
アニスが仕方ないと私達を案内する。
クライスラー男爵家のようなダンスホールの部屋からバルコニーに出れば、そこは素敵な庭園で、色とりどりのスイーツが並んだテーブルに、アレンに良く似た淡い色の人々が座っていた。
アレンが進んで挨拶をし、続いて私を紹介してくれる。
この人達はもしかして、アレンのご両親?!ってことは国王夫妻?!
と緊張してご挨拶をする。
アレンによく似た陛下が、
「はるばる、ようこそ、エストレアへ。」
とおっしゃって下さり、皇后が、
「少しの時間だけど、お邪魔させてね。」と微笑んで下さった。
皇后はアニスによく似ている。瞳の色はアレンと同じで、髪の色はプラチナブロンドだ。
アニスはカリナの横に陣取り、ベッタリとくっついている。よほど嬉しいようだ。
お茶を一杯だけご一緒されて、国王夫妻は公務に戻られた。必ずまた来てと約束させられ、アニスもイヤイヤながら引きずられて行く。
「カリナ、突然でごめんね。アニスだけかと思ったら両親も一緒で…」アレンが私の機嫌を伺うように謝る。
普段はかっこいいのにあざとかわいいとは何事?!とまたアレンの新しい顔を見て、赤くなりながら
「大丈夫よ。びっくりしたけど。」と答えるのがやっとだった。




