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翌日、昼前に迎えに来たアレンからまた両手いっぱいのピンクのバラを受け取る。
相変わらず顔を赤くした執事に見送られながら、赤い顔の私もアレンのエスコートで馬車に乗り込む。
私付きのメイド、シャナもアレンの侍従クリードにエスコートされて乗り込む。クリードはアレンの遠縁の我が国の男爵家出身らしい。
「クライスラー男爵、アニス嬢のお兄様なんですか?」
クリードがなんとも言えない顔でアレンを見ながら、
「クリードと呼んで下さい、シュナイダー侯爵令嬢。
アニス様は留学にあたり我が家を名乗られただけですよ。
でも、許されるなら、妹のように見守って行きたい方です。」
本国では、アニスのお家の方が家格が上なのかしら?と思いつつ、余り根掘り葉掘り聞くのも宜しくないのでやめておく。
「では、クリードさんと。私のことも名前呼びで構わないですよ。」
「ありがとうございます。カリナーデル様」
「そう言えばアレン、アニスはいつ国に帰ったの?」
「あー、僕の卒業と同じタイミングで留学を終えるつもりだったんだが、殿下当たりが不穏だったので、生徒には何も知らせず、後ほど先生から告げてもらう予定なんだ。本人は寂しがったけど、プロムを台無しにするのは嫌だって。カリナの入場を見届けてから帰ったよ。
あ、思い出した。卒業おめでとうってアニスから。」
「以外と呑気なのね、アレン。もう一度アニスに会いたかったわ。」
とため息をつくと、
「じゃあ、会いに行くかい?」とまた呑気にアレンが言った。
馬車が止まるとそこはクライスラー男爵家。男爵家とは名ばかりの、我が家より少し小さいくらいのお屋敷。これが男爵家?!
驚いているとクリードさんが、
「我が家は領地がないので、家だけ立派なんです。」と案内して下さった。いやいや、だけじゃないでしょ!?
花々が溢れる庭園も、調度品もよく手入れされてて美しい。
本邸から裏庭を抜け、池の畔の離宮に案内された頃には、まだ敷地内なのが信じられない程だった。
「はい、お疲れ様でした。」
アレンが優しく笑うけど、私とシャナはもうヘトへトだった。
我が家の敷地の3倍は歩いたわよ!
すっかり疲れてお腹も空いたので、そのまま離宮でお昼をいただいたく。お野菜多めのエストレア国風ランチはとても美味しかった。
アレンに美味しかったと告げるととても喜んでくれた。
「さて、お腹も膨れたし、行こうか。」と私をエスコートするアレン。
「どこに行くの?」隣の部屋に移ると、ダンスホールのような部屋だった。シャナと手を繋ぐように私に指示しながら、
「もちろん、アニスのとこだよ。」と指を鳴らした。
は?へ?!




