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「私は…」


幼い頃、殿下にプロポーズされて嬉しかったこと。お誕生日を一緒に祝って、一緒に勉強したり。常に一緒に行動することが多かった。

学園に入り、それぞれの友人ができた頃から、少しずつ疎遠になった。殿下は将来の側近達と交流があり、私は第一、第二王子の婚約者様達との交流や、それぞれの生徒会役員としての活動など。

始めの一年はお互いに時間を作り、お昼だけでも一緒に過ごしていたが、2年になり殿下が生徒会長になってその時間もなくなった。

お手紙を送っても返事は2通に1通、5通に1通、と段々減り、3年になりアレンとアニス嬢が留学してきて、殿下からの返事はなくなった。

その代わり、花束とお手紙ありがとうと書かれた代筆のカードが届くようになり、カリナは手紙を送るのも辞めた。


アニス嬢とアレンは遠い従兄弟でとても仲が良く、アレンが生徒会に入ったのをきっかけにアニス嬢もよく生徒会に顔を出した。

アニス嬢は男爵令嬢の割りに高位貴族への礼儀に疎く、私が良く注意を促した。

彼女は素直に注意を受け止め、良く私に懐いていた。私が他の令嬢の手前、厳しく注意しても、自分のために注意してくれてる、と理解していた。殿下の周りの側近候補達やウワサ好きなご令嬢達は、私がいじめてるやらいいキミだと笑っていたけれど。

アレンとアニス嬢は理解してくれてたので、殿下も解ってくださってると思っていた。半年前までは。


ある日、生徒会室でアニス嬢が涙ぐんでいた。

どうしたのか聞くと、花壇で世話をしていた花が無惨にも全て引き抜かれていたそうだ。かろうじて無事だった3本をせめて飾ろうと、生徒会室の花瓶を借りにきたらしい。

私は慰め花瓶を探しに部屋を出た。入れ違いに殿下達が部屋に入り、慰められて本格的に泣いた後のアニス嬢を発見した。

元から私がいじめていると言っていた側近候補達だったので、泣かした犯人は私になり、アニス嬢が違うと言っても、私を庇う良い子扱いになり、話を聞いてくれない。

このタイミングで私が戻れば、激しく糾弾されると思ったアニス嬢はアレンに目配せし、アレンが私を探しに出た。

花瓶を握り締め扉の横に立つ私を、アレンはそっと隣の部屋へ引き入れ、侯爵家侍従をよぶから、今日はもう帰った方が良いと告げた。


私は迎えがくるまて、彼らの私に対する罵詈雑言を聞いていた。

彼らにそこまで言われる程、私は貴方達に何かした?

ただ目上の者として、アニス嬢の振る舞いに注意しただけ。

婚約者がいる側近候補達に、節度を促しただけ。

殿下に、諌めるよう告げただけ。


「カリナは昔からあんななんだ。

実家が経済力があるから常に上からモノを言う。

私も嫌気が差してるんだよ。」

殿下の告白が頭の中に鳴り響き、足元にぽっかりと穴が開き底のない暗闇へ落ちて行く気分だった。

 




「カリナ?」

お父様とアレンが私を見守る。

いけない、過去を思い出し随分黙り込んでしまったようだ。

冷めた紅茶を一口含み、ゆっくり顔をあげ、お父様の瞳を見て告げた。

「私は…婚約破棄を承ります。」

「以前より殿下とすれ違いがあり、私の言葉は殿下に届いていないと思うことがありました。」

「本日も、私の言葉より側近候補達の言葉を鵜呑みにして私を責めておいででした。」



「なんと!」

お父様様が強面に戻っていく。今日のお父様は百面相ね、と思い微笑みが溢れる。


「それについては、私からも申し上げましょう。」

ずっと黙っていたアレンがクチを開く。

アレン曰く、殿下の言い分は殿下と側近候補達のみが語っていること。大多数の生徒はアニスがカリナを慕っており、殿下達がアニスに慕われていない故のヤキモチだと思い生温く見守っていたが、今日のことでカリナを庇うカリナ派が出来たこと、側近候補達の婚約者達も自分に降りかかりそうと慌てて婚約解消に動いてること、など、最新情報を交えて教えてくれた。


「主観的意見のみで断罪し、証拠もない。

殿下有責で婚約解消できますよ。」とニッコリとそれは美しい微笑みをアレンは浮かべた。

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