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「カリナ、大丈夫かい?」
誘われるがまま1曲を踊り終え、手を引かれ中央から退き皆が次の曲で踊り始めるのを確認してホッと一息付き渡されたグラスで喉を潤わすのを見届けたダンスのパートナーが私に声をかけた。
あれ?この声はー
「何故貴方がここに居るの?アレン」
私は隣を見上げてそう告げた。
気遣わしげな視線のまま肩をすくめるという器用なことをする彼は、生徒会副会長でもあったことを思い出す。そして私の手に伝わった振動を不審に感じ視線を下げると、私の手は何かに包まれている。
その何かは美しい長い指を持ったキレイな掌で、その先を辿るとアレンの顔の斜め下、肩に繋がっている。
なんてこと、アレンが私の手を握っている!理解した瞬間に真っ赤になった私とそこまで同じ様に私の視線を辿っていたアレンは視線を合わせ、ゆっくり優しく美しく、少し意地悪に笑った。
「もう1曲踊っていただけますか?」
手を繋がれたままの私は呆然としたままアレンと踊り始める。周りが少し騒ついていたのは、皆の憧れのアレンと踊っているからだと思った。
アレンは隣国の隣国つまりアニス嬢と同じエストレア国の王子である。アニス嬢と違い薄い金の髪にペリドットの瞳だが、やはり色味的に薄い。
我が国は逆に濃い目の色ー私の様に赤い髪や黒、殿下を含む王族でも金髪は暗めの金茶で、全体的に落ち着いたカラーリングが多いので、陽の光にキラキラと輝く金髪のアレンはファンが多い。
いつもより優しく微笑んでいるアレンに見惚れながら、ゆったりと踊り、少しずつ落ち着いてきた。そんな私の様子が伝わったのか、踊り終わり、優しくエスコートされてバルコニーに出る。
途中で受け取った飲み物をいただきながら、ダンスで火照った身体を風が優しく冷やしてくれる。
程よく冷えた頃、私に上着を掛けながらアレンが優しく声を掛けた。
「カリナ、落ち着いたかい?」
「えぇ、ありがとう、アレン。副会長の機転のおかげでプロムが始められたわ」アレンに微笑んでお礼を言う。
目元に気遣わしげな色を浮かべたアレンが私の瞳を覗き込んで言う。
「…僕が聞いてるのはキミのことなんだけど。」
覗き込まれてドキドキしながら私は考える。
アレンはキレイな顔ね、って違う、私のこと?何かあったかしら?…あっ?!
「婚約破棄?!」
「忘れてた?」アレンが少し呆れてるように言う。
そう言えばそんなこと宣ってたなー、殿下。でも、家と王家の話だから、帰ってお父様に判断していただかないと。
焦って顔をあげた私に、アレンはまた優しく微笑む。
「踊って貰ったお礼に送っていくよ」




