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勘違い×勘違い  作者:
4/4

顛末

クリスチナが王宮に呼ばれた日、その日はあのスザンナ嬢も呼ばれていたらしい。

廊下で居合わせた瞬間の気まずさといったらなかった。

王宮の応接間の一つで、陛下とおふたりの殿下は待っていて下さった。人払いは既に済ませてあるらしい。案内をしてくれた侍女もすぐに下がった。

応接間には二人がけのソファが二脚、一人がけが一脚用意してあり、部屋の奥にある一人がけに陛下が座っていた。殿下たちはその両脇にそれぞれかけていらっしゃる。

私が迷いなくエドアルド殿下がいらっしゃる方に座ると、殿下は微笑んでくださった。視界の端でクラウディオ殿下が顔を引き攣らせた気がしたが、気のせいだろう。

クラウディオ殿下の隣にスザンナ様が座ったところで、陛下がそれぞれの顔を見て話を始められた。

クラウディオ殿下が臣籍降下されエドアルド殿下が立太子されることが告げられたときは、スザンナ様は動揺して挙動不審になったが、それも一瞬で粛々と陛下のお叱りの言葉を受け止めていた。

どうも様子を見る限り、私の冤罪は彼女の言葉による物ではないと見えるが、それとは別にクラウディオ殿下を狙ってはいたらしい。上昇志向の強い人だったのかもしれない。

スザンナ様はこの一瞬で何事かを諦めたようだったが、しかしため息ひとつでこの場は収めたようだ。

「そういうお話ならば、私がここに呼ばれたのは、クラウディオ殿下と結婚する意思があるかの確認のためでしょうか?」

陛下に発言の許可を貰ったスザンナ様が言う。

今改めて見る彼女は男性に媚びを売るような女性ではなく、強い目をした勇ましい方のようだ。今の素の彼女なら友達になれそうなくらい気持ちのいい方だった。

なんせ陛下の頷きを見た彼女はクラウディオ殿下に振り返り、問うたのだ。

「うちは働かざるもの食うべからずです。それでもうちにきますか?殿下。正直に言いますと私は貴方を好いてはいません。それに今まで通りではいられません。嫌なことがあったら遠慮なく怒ります。喧嘩もするでしょう。うちの家族は貴方を歓迎しないかもしれません。殿下にうちに来る覚悟はありますか?」

嘘まみれで男受けばかり気にしていた彼女の姿はどこにもなかった。

戸惑いながら頷いた殿下にスザンナさんは頼りになる笑みで笑った。

「しょうがないから拾ってあげるわ。私のせいでもあるしね」


「それで、私はなぜこの場に呼ばれたのでしょう?」

話がひと段落して落ち着いた頃、私がエドアルド殿下に尋ねると、殿下はにこにこ年相応に笑っていた笑みを引っ込めて、ひどく真剣な顔をされた。

奥の陛下は穏やかな顔で微笑んでいる。

「クリスチナ嬢、俺と婚約してほしい。従兄弟だし歳も離れているけれど、周りの説得はした。あとは貴女の気持ち次第。どうか俺の手をとってくれないでしょうか」

突然の話に私は混乱して周囲を窺った。向かいのクラウディオ殿下とスザンナさんは目を白黒させている。陛下は相変わらず微笑んだまま。

「他を見ないで。俺を見て」

殿下の声に視線が戻される。そこには大人の表情をしたまだ幼い少年がいた。

私は後ろめたくて嬉しくて仕方なかった。

殿下に邪な気持ちを抱く私などが選ばれていいわけがない。でも他でもない選ばれて嬉しい。

「クリスチナ、」

殿下の柔らかな声に顔を上げる。いつのまにか俯いていたことに遅れて気づく。

「なあ、クリスチナ、俺のことが好きなんでしょう?なら答えは決まっていますよね?」

「でも、私は」

幼児性愛者で、

「クリスチナ、貴女は俺の成長を心から喜んでくれるんでしょう?前に言っていたあれは嘘?」

クリスチナには首を振るので精一杯だった。頭が働かない。殿下かっこいい。

「それとも成長した俺は魅力がない?」

言われて想像してみる。

絹のような黒髪を背に流し、しなやかな筋肉を身につけて、知性的な目をした殿下。きっと野生の黒豹のような方になるのだろう。

こんなに魅力的な人は他にいないくらいに。

あれ?

クリスチナは違和感が掠めて首を傾げる。

顔立ちも愛らしさが消えて、鋭く美しい青年になる。一振りの剣のような美しさを身に纏う殿下はきっと沢山の女性に好かれる。いろんな噂をされて、社交界の注目の的になるだろう。

女性たちに囲まれている成長したエドアルド殿下を想像して、胸が痛む。

あれ?

じっとクリスチナの様子を見ていたエドアルド殿下は意を得たと笑って、クリスチナの耳元に囁いた。

「クリスチナ、それは幼児性愛じゃなくて、恋って言うんですよ」

兄からもらったアイデアの見る影もない短編になってしまった。

全然世界設定活かせてない…。

面白いって盛り上がって勢いで書いたから、読み直したら拙さが…。

ごめん、兄よ

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